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元・経営コンサルタントの投資日記

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2007/07/08
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少しネタが古くなりましたが、先月末、旧シャルレ(レディースインナーの販売、9885大証2部上場)の代表を務めていた三屋裕子さんが、代表を、株主からの総会動議という結末で解任されてしまいました。

三屋氏は2004年、外部より社長として就任。

元オリンピックメダリストからの抜擢として注目された。

注:私は中・高とバレー部に所属、当時主力選手だった彼女の活躍は記憶に残っている。多分、一番知的なプレーをやっていたセンタープレーヤーだった。今で言えば大友選手のような存在。したがって、選手としての全盛期時代を知るものとして、少し思い入れがある。ここでは出来るだけ客観的に取扱っていきたい。

これまでさまざまなことが言われていますが、一応、整理しますと、

1:株主、創業家側の主張

事業の再構築への期待に沿っていない

シャルレは女性用下着を中心としは販売を、ホームパーティーのような社交の場を活用した販売が特色の、ある種訪問販売的な営業スタイルを得意としており、各地域では、代理店がそのパーティーの主催をし、これらの精神的支柱だったのが、林創業家だったようです。

しかし、その林家は2000年以降、同社の売り上げ低下に歯止めがかからず、販売方法に限界があるような印象を持っていること、自ら(夫婦で会社を経営)の高齢化もあり、後継者難に陥っていたことがありました。

創業家は、女性の共働き等による訪問販売形式への女性の参加率の低下などを打破するため、通販、HP販売などをチャネル多様化策として掲げていた模様です。

2:取締役会側の主張

これまでの、純国産製を打破し、中国製などの生産管理を構築したことによる、コスト削減、これによる業績回復傾向へ自信

代理店側との関係を改善し、ブランドイメージが回復

などとなっています。

3:第三者意見

  1. 創業家がわが増資に対する不信(現在約56%の株式保有)、
  2. 創業家長男の林勝哉氏を06年の株牛総会前に解任してしまったことへの不信などが取りざたされています。

 

4:数字による考察

では実際の業績はどうなんでしょうか?

TBSでワコールの特集をやっていた番組のWebから女性下着メーカーのシェアを抜き出して見ました【がっちりマンデー、06年9月放送分】。

下着業界

シャルレは05年ぐらいのデータでしょうか、4位にいます。

比較してよいのか判断つきかねますが、業界首位のワコール、2位のトリンプとも売上高を伸ばしている模様です。

また、販売チャネルとしてのインターネットは存在感を増しています。これはカタログ販売大手の千趣会のインターネット売上高の推移です。

トリンプ売上トリンプインターナショナル・ジャパン売上推移ワコール売上と千趣会HP売上

一方、この間のテン・アローズの売上高推移はいかがでしょうか?

売上高、利益とも減少気味です。ちなみに三屋氏は04年6月の総会でシャルレの社長に就任し、その後06年に同社は持ち株会社、テン・アローズに移行し、同社の代表も兼任していました。

アローズ業績推移

 

 明細2

しかし、レディースインナー事業は売上の減少は免れていませんが利益が回復傾向にありますね。

ギフト卸売り事業とは、林家が経営していた03年にギフト卸売り会社エニシルを買収したもので、この影響で04/3年は売上高が急増しています。

しかし、このギフト卸売り事業、買収当時はよく稼いでいたのに、どうして急落してしまったのでしょうか? 気になります。

確かに、レディースインナー事業の売上高が三屋氏就任以降も減少し続けています。特にこの2年間の下落がワコールと比較しても大きいような気がします。すなわち、景気回復とともにワコールの売上も回復傾向にあるにもかかわらず、なぜ回復しなかったのだということになるでしょうか?

また、ギフト卸売り事業はネット通販も実施しているようです。これも千趣会の破竹の増加勢いと比較すると、その恩恵を受けているとはいえません。

ギフト卸売り事業を買収し、下着販売チャネルの拡大をM&Aのシナジーとして創業家は期待していたのではないかと推察されます。一方、三屋氏は代理店営業を再構築し、生産の中国化などに取り組んでいた模様です。

双方の言い分は、双方の立場においては正しいような推移を示しているのではないでしょうか???

ただし、持ち株会社移行以前では三屋氏はシャルレの代表者であり、ギフト事業への関与がなく、ギフト事業も含めた持ち株会社の代表を務めたのは06年6月以降ですから、ギフト事業の赤字責任を負わされるのは少し酷でしょうし、チャネル多様化の直接指揮を執るには権限不足だったような気がします。

いずれにせよ、三屋氏への期待を創業家側が十分に伝えきれていなかった(または、経営陣側が理解していなかった)ような感じを強く受けます。気になることは創業家側の長男で副社長だった林勝哉氏(現社長)を06年の総会時に退任させていることです。

経営方針の食い違いか、単なるけんかかわかりませんが、過半数の株式を握る大株主代表を取締役から追い出すのは少しおかしく、その結果がこの大赤字では何らかの責任追及は免れなかったともいえます。

しかし、経常利益が出ているのに、最終利益が赤字なのは気になりますね。

三屋氏就任以降の赤字原因は退職金と投資の失敗に大きく分かれます。後者は07年3月期に一気に噴出しており、減損損失、物流拠点の損失ともギフト事業関連のものです。

つまり、買収したギフト事業は会計的にも失敗であったことを意味します。これは三屋陣営の責任ではなさそうな感じがします。減損など数期間赤字が継続しないと認識されません。

退職金、これは特別退職金とは、従業員リストラに伴う、割増退職金のようです。役員退職慰労金は創業家である、林夫婦に対する退職金です。お気づきのように、この2つは過去を合計すると、約16億円で拮抗している点です。

個人的な感想は、従業員に痛みを伴う再構築をしながら、創業者に慰労はないような気がします。せめて半額返上、思い切って全額留保または返上が筋だと思います。これが、三屋経営陣の意思決定の後、株主総会で承認されているのですが、経営陣側として拒絶できない、しにくい事情も理解します。やはり創業家側から辞退を申し出るのが筋でしょう。

なんとも理解できないのは、8億円の退職金をもらった創業家側の林宏子氏が常勤取締役に復活していることです。「会社を食い物にする」ってどこかで聞いたようなフレーズです。

創業家側は、三屋氏にブランド回復への貢献を認めており、常勤取締役としての留任を求めていました。しかし、三屋氏本人が、7人の取締役の連帯責任であるから、と潔く固辞したそうです。

販売方法の急激な構造改革を求めるオーナー家と地道な業績回復を行っていた現経営陣との意見の食い違いが最大の論点でしょうが創業家側のちぐはぐな期待(ギフト事業を放置や退職金)もあり、大いに疑問の残るお家騒動でした。

ではなぜ動議なんかによる解任騒動に発展したのでしょうかねえ。たぶん任期1年でしょう(委員会設置会社)から来年まで待って株主提案の形をとってもよかったような気がします。

外資系の投資家が経営陣を支持しながら、長期的な投資を行うことを基本スタンスとしているのに対し、創業家側はなんとも短期的に結果を求めすぎ。ギフト事業の投資損や退職金など膿が出尽くした感もあり、今後の業績回復と株価も期待が持てたでしょうに。

増資については、数字上の検証は出来なかった。就任以前の株主資本が280億ぐらいで退任時が210億円ぐらいまで減少していましたが、単なる経営の主導権争いが発端か資金繰りが発端かこの数字ではわかりません。後者ではなさそうです。この70億円の減少は記述のとおりの特別損失です。

オーナー企業とは、やはり創業家とのコミュニケーションが何より大切なことであると感じます。

ただ、三顧の礼を尽くして迎え入れた三屋氏を、このような経緯で解任するのは行き過ぎのように感じざるを得ません。

三洋電機の野中ともよさん、アメリカではヒューレット・パッカードのフィオリーナさんなど外部招聘の女性経営者は、就任時点ではもてはやされますが、結局は追い出される結果になっています。

こんなことを繰り返していては、優秀な女性経営者の育つ土壌、および外部からの社長就任はますます難しくなり、時代に逆行していくといわざるを得ません。

もっとも野中さんと三屋さんでは解任経緯が違いますし、三屋さんは経営にどっぷり浸っていたので、野中さん以上に責任もあるでしょう。

株主主義とは言いますが、なんだかしっくりいきません。






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Last updated  2007/07/08 06:08:54 PM
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