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カテゴリ:経営コンサルタント
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IHI170億円営業赤字、500億円越す下方修正・・・9/29日経朝刊 NEC NASDQ上場廃止 相次ぐ新興市場企業の監査人離れや不正会計・・・しょっちゅう発生する 企業年金連合会の運用資金の株式離れ・・・週刊東洋経済8/25 P70~71 日本の景気は好調なはずです。かつ、上記記事は最近表面化した出来事であり、実際に起こっていた(原因となった事象が発生していた)のは半年から1年前のはずです。 景気が不調時に起こるのはまあまあ理解できる(あってはならないことなんですが)として、なぜ好況時に? IHIの大幅下方修正はエネルギー・プラント部門の甘い原価管理や人員に見合わない仕事受注などが原因と書かれています。同社は以前(赤字時代)から原価管理について今ひとつのうわさがありました。 そもそも造船とかプラント建設というのは長期工事が通例で、厳格な原価管理がなくては成り立たないと思うのですがどうでしょう? 確かに受注時と引渡し時や回収時の為替、資材の原価といった不確定要因の可能性があります。受注時の資材市況と実際に調達するときの市況では、昨今の資源バブル状況ではやや同情の余地があります。その分大口需要者として情報やコスト面でも優位なはずなんですが。企業のDNAなのでしょうか。残念です。 個人的には「豊洲の主」となった同社が将来、どこぞやのビール会社のように不動産業になってしまうのではないか? と感じていたことがありました。 注目の街豊洲の地主? NECのNASDAQ上場廃止も、ソフト・ハード・保守の長期一括受注の原価管理が問題となりました。要するにどのサービスで、いつ・いくら売上計上できるのかという点です。詳しそうな知人に聞くと、受注時に「ハードいくら、ソフトいくら、保守いくら。程度の取り決めはあるが、そこから値引きいくらとして顧客に価格提示する。この値引きが何の値引きで、長期だからいつのものかを証明しろといわれれば、日本の商慣行では厳しいだろう」といっていました。値引きは通常、「顧客受注希望価格」に誘導する際の調整弁というわけです。 米国SOX法施行、カナダ通信会社等の不正会計でこの会計処理はかなり厳格化されたと同じく前職時代の米国公認会計士は言ってました。同様の事業を有し、ニューヨーク証券取引所に上場する日立製作所はこんなリクエストはなかったようです。この理由は、NECの子会社が過去に不正売上計上や横領があったことにも起因するようであります(また詳しく取り上げようと考えているのでこの辺で)。 NECとTOPIXの推移、150週週足ベース。今回の事件は、かえって下値不安を払拭したというマーケットの声があるようです。
新興企業市場での相次ぐ監査人離れ等については省略します。大体お分かりだと思うので。
企業年金連合会は東洋経済誌によると「05年度に37%あった国内株式の運用配分を06年度は27%へと大きく低下させた」との記事があります。「05年度までの株高で、積み立て不足が解消されたので、運用リスクをとる必要なくなった」同会矢野専務。残念。個人的に日本のカルパースを期待していたので「運用リスクをとる必要がなくなった」というコメントは日本の株式市場への不信のメッセージと解せます。 http://www.pfa.or.jp/top/houkokusyo/pdf/gyoumu_h18.pdf (27とか28ページにあります) 同誌には各国の年金ポートフォリオ(同連合会のみの運用内容でありません)の内容をグラフ化しています(グラフは掲載できずすみません。週刊東洋経済8/25号 P71を見てください)。オランダが約50%でトップ、米国は40%強、英国40%JUST、ドイツも35%ちょっと、日本は20%を切っています。フランスは一桁台ですが投信が20%以上ありそうです。日本では圧倒的に債券での運用が多く(70%ぐらいありそう)外国債券に流れているようで、豪州が多いようです(しかし、直近の円高はこういった外債の資産額を直撃しているだろう)。 株式投資回避の問題は企業年金連合会が企業年金会計を原因に挙げています。少しややこしいですが、企業の年金資産への積み立て不足が起こると、年金債務の追加引き当てを迫られるため、企業収益の足かせになってしまいます。この積み立て不足の処理を早期化する国際的な流れがあるようです。「リスクをとった年金運用が企業経営へのリスクとみなされ、株式投資がやりにくい時代になる」と矢野専務はコメントしています。 このコメントは個人的には、日本企業の年金見積もりがまだ甘いといっているように感じます。将来割引率の設定が低すぎるのでしょうか。ここは専門でないので勝手な推測です。間違っていたらごめんなさい。専務の主旨は多分、株式運用より確実に運用益を稼げる資産で運用しないと、株式運用益が上がらなかった場合、企業年金のバランスシートの前提が崩れて、追加引き当てを迫る結果となり、企業経営の足を引っ張り、年金資産も直撃を受けるということだと思います。 言い換えれば、日本の株式市場は今いち。また、企業の年金運用担当者の年金資産の運用見通しはすでに何%と発表しています(有価証券報告書に載ってますね)。このままではその%達成が厳しく、株より債権のほうが確実だと思うので、運用先企業年金のために債券にしています、と聞こえました。 (個人的感想:この目標%のために、為替が安定~円安基調という前提で外債に走ったとなれば、・・・ですね。また、議決権行使基準など結構、「うるさ型」年金なので、みずからの運用判断違いで企業収益が悪化した、となると立場が逆転しかねず、痛し痒しなんでしょうか。また、本来企業がもっと株主を意識してがんばってくれれば株式運用のポーションを上げれるのに、中途半端な経営戦略やこういったコンプライアンス上の失策で自滅しているので、連合会としても依頼人のための運用だけれど、依頼人の業績見通しは不安というなんだか矛盾した立場なのかもしれません。) なぜ今いちなんでしょう? 口先だけの証券会社(関係者の方ごめんなさい)?、会計制度?、監査法人?、それともそれを運用する経営者? 米国では仮に超長期(20~30年)投資する忍耐があれば、S&P500インデックス運用(日経225みたいなもの)がいいといわれています。「ウォール街のランダム・ウォーカー」では、「猿に目隠しして、ウォールストリートジャーナル紙めがけてダーツを投げさせ、その銘柄に忍耐強く投資し続けるのと、プロのファンドマネージャーに同じ期間、株式運用させても結果は同じか、猿が勝つ場合がある」という面白いことを分析して立証しています。したがって、素人は余計なテクニックなど考えずにインデックスファンドで投資したまま、資金を寝かせるだけで、一財産になると。これを「バイ&ホールド戦略」といっています(カタカナ+戦略といわれると、かっこよく見えるのはなぜだろう。要は忍耐の問題)。 株式市場になんだかんだ言っても信頼性のある米国市場を証明するような本です。 もっともこの本は個人投資家向けに書かれた本です。ちょっとヘビーですが、金商法などの厳格化などにあわせて読むと余計役立つかも。ちなみに、チャート図を多用していますが、私はファンダメンタルズ派のつもりです。 日本の株式市場では「猿も木から落ちる」のでしょうか? 注:07年春ごろのOECD調査ベースでは、年金資産は調達も支給も金額が巨大化しつつあり、ボラティリティの低い債券市場にシフトするようなトレンドだそうです。しかし、日本はそれにしても少ないですね。バブルのつけが大きすぎるのでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/10/02 01:01:22 AM
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