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カテゴリ:経営コンサルタント
米シティ、株式交換方式で日興コーデを完全子会社化(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20071002AT3L0205X02102007.html
日興側のプレスリリース http://www.nikko.jp/ICSFiles/afieldfile/2007/10/02/071002_2.pdf http://www.nikko.jp/ICSFiles/afieldfile/2007/10/02/071002_1.pdf http://www.nikko.jp/ICSFiles/afieldfile/2007/10/02/071002_4.pdf ついに発表となりました。三角合併第一号案件。やはり、友好的M&Aでの活用となりました。 いきさつ、簡単に 06年12月18日、日興コーディアル会計不祥事発生と日経新聞が報道。株価1340円 07年3月13日 米シティによるTOB開始。 同 1700円(TOB価格) スキームを図示すると以下のとおり。
1 シティーグループ・インクは米国のシティーグループの持ち株会社。CJHへ株式をどう手配するかについては今回は記載なし。 2 日本子会社シティーグループジャパンホールディングス(CJH)はシティーグループ・インク100%出資子会社。平成3年に設立とのこと。今回、株式交換の実施を発表 3 07年3月13~4月27日までのTOBですでに67%超をCJHは取得済み。今回三角合併にて残り33%弱の株式をシティーグループ・インクの株式と交換する。 (注:スキーム自体の活用には、海外企業である必然性はなく、国内企業同士でも同じである) 少数株主に対する注目の交換比率等は 日興 1700円 / シティ(シティグループ普通株価の平均株価)× 為替相場 とのこと。 日興側は1:9月28日を基準日の終値、2:18年12月18日(会計不正発覚日)1419円から基準日までの期間の終値の平均等と3:19年3月6日(シティと日興が戦略的提携を発表)から基準日までの平均終値等を参照して、この株式交換のプレミアムを算出したとのことです。 シティ側は、一定の期間におけるニューヨーク証券取引所における同社の普通株式の1株当たり取引の加重平均価格の平均値を用いるそうです。この期間は今後関係機関と協議の上、別途定めるとしています。
シティ側はサブプライムが災いし、年初来安いレンジになっています。また、為替もかなり春ごろから比較すると円高傾向になっていますね。 春ごろにいきなり合併とか交換とかするよりかはシティ株価の下落分(まだ期間等をどうするか不確定ですが)有利なのかな、などとも思いますし、時間価値から考えると売った方がよかったとも言えるかもしれませんが綿密な計算はここでは時間がない。 シティは東証への上場申請をすでに行っているようで、株式交換の効力発行(来年1月ごろ)までに上場するようです。したがって日興の株主は交換後直ちに売却が出来そうで、三角合併論点の一つであった「実際、外国株式を所有してどうやって売るの?」は解決しそうです。
また、少数株主対策として株価算定に 日興コーディアルには、特別委員会を設置。メンバーは同社の社外取締役4名。 特別委員会はフィナンシャルアドバイザーとしてGCAと米国のアドバイザー2社を選定させ、交換比率等の算定に働かせました。また、特別委員会は法律には中村・角田・松本法律事務所を税務にはトーマツを起用しているようです。 シティ側は、TAXに新日本アーンスト&ヤング、法律に西村ときわと米国の事務所を起用したようであります。 で、特別委員会は9月5日から10月2日までの1ヶ月弱に13回にわたり、これらシティ側のアドバイザーも交えて協議を重ねて、日興の代表取締役に最終株価を報告したとの記載があります。 この特別委員会はこの期間中、さらに、日興側の法務アドバイザーである森・濱田松本法律事務所と契約関係や交渉過程を報告し、同法律事務所は日興にきちんとアドバイスしたと記載があります。じゃあ、中村・角田・松本と森・濱田松本の違いは何なんでしょうか? GCAは3月のTOBのときに、日興に直接雇われて株価算定を行いました。今回特別委員会が指名したようですが(フィーは当然日興持ちですが)たてつけが違いますが、実態は同じとみなすべきなのか、そうでないのか、よくわかりません。同じでしょうね。 これだけのプロフェショナルを総動員して、短期集中的に行った株価が3月13日のTOB価格と同じなんですか。結果はなんとなく個人的感想ながら、そんなもんかという納得感ありそうだが、前回のTOB前の株価と比較するともう一声の感もしないわけでもないですが、その間日興の企業価値は変わりませんでしょうから。 国内初スキームということもありますが、高かったんでしょうね。フィー。 まだ1件目ですが、やはり友好的M&Aでの案件でしたね。誰かが、過半数を敵対的TOBで買占め、その後取締役を解任し、「友好的に」三角合併を実施すれば敵対的でも活用できるとか言っていましたが、個人的には、最初のTOBの後、取締役を解任されれば、その後の手続きがどうなろうと、あまり関心ごとではないのではないか? と思っておりました。 よって敵対的企業買収に三角合併の活用はないと(あっても株価以外の関心がないからその時点で敵対的と呼ぶべきものか)。 シティの自社株調達方法はわかりませんが、すでに保有しているのでしょうか。 この事実上のシティーグループ日本支店の誕生で、金融が変わるのでしょうか。例えば米国のCDOのようなものをもっと導入して、M&Aのときの資金調達を事実上銀行借り入れではなく、投資銀行が社債を引き受け、機関投資家に証券化して売却するようなことが一般化すれば、銀行も融資の引き受けではなく一投資家として自らのリスク判断に応じた額や金利で自由に融資を取引でき、「メインバンク」など腐れ縁的なものももっと希薄化が進みそうです。しかし、一方ではLBOブームだとマネーゲーム反対派には受けがよくなさそう。 取り急ぎこんなところで。 追記:引用記事のリンクを「新しい窓で開く」に変更いたしました。8:40 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/10/03 08:42:12 AM
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