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元・経営コンサルタントの投資日記

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2008/04/03
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本当はきちんと資料を分析した上で述べるべきですが、多忙を理由にご容赦ください。

地域力再生機構とは産業再生機構(IRCJ)の地方版として内閣府が設立を目指してるといわれている。特に第三セクターの再生が目玉とされている。

以前からその存在の意義がよくわからないものと感じていました。なぜなら、地域版の再生処理機構としては、中小企業地域再生協議会というものとRCC(しつこく生きているんですよね)があったはずである。

中小企業・・・は地域中小企業の再生を地元の各機関(金融機関や商工会議所などが集まって、「陳情」を聞き、しかるべき処方を行うもの)が集まって、都道府県単位で行う。

RCC・・・住専処理に始まり、信用組合破綻の不良債権と職員の受け皿となり(懐かしいですね。大阪の末野興産とか京都の木津信用金庫の破綻など色々ありました)、その後、新潟中央銀行や足利銀行など銀行破たんの不良債権の受け皿となった。

さらにIRCJが主に大企業向けであったことに配慮して、中小企業の再生を処理するためにRCCが金融機関同士の権利関係の仲裁をするという権限が付与された。RCCが承認した再生計画により、不良債権を処理(貸し倒れ損失計上するということ)した場合、金融機関は原則損金処理が可能になるという税務のお墨付きが与えられることとなった。

これにより、金融機関、特に地銀は自前の大型不良債権を無税償却できる途が開けた。

 

 

では、第三セクターはなぜ、RCCで再生処理ないんですか??

そもそも金融における「再生」とかっこよく言っているのは、いまさら説明するまでもないが、バランスシートのことであり、原則、ゴーンさんのような損益のことではない。

端的に言えば、銀行が融資先に対し保有する債権を放棄するのである。債務者から見れば合法的な借金踏み倒しとなる。しかし、借金を踏み倒す以前に、株主責任が必要になる。

会社を仮に清算した場合や再生案件のように、帳簿上又は実態上は債務超過になっているケースが多く、そういった場合、まず株主が100%無償減資(ただで株主権利を放棄する)して、そのつぎに債権者が「棒引き」に応じるのである。

株主の有限責任という奴ですね。

第三セクターでは、その株主様に地方自治体が君臨している。この場合、自治体が減資に応じなければならない。減資するとその後、奇跡的に業績が回復しても、すでに減資した分の配当に預かれないし、議決権も放棄することとなる。

一般的に再生の世界では100%減資がまずありきで、そのつぎに経営者責任がくる。税金で出資した分が飛んでしまうため、出資した自治体は責任を問われることになる。助役とかも取締役で兼務したケースや出向したケースもあるので、経営責任が問われる可能性もある。

足利銀行が破綻したときも、県がすでに出資した数億円がぱあとなって、現渡辺金融相は(当時は一議員だったか)、竹中平蔵氏を「鬼平犯科帳」呼ばわりしていました(彼は普段は開かれた金融市場を標榜していますが、足利銀の再生には選挙区である地元の声を考慮したのか、足利銀スポンサー候補にはついに外資はよくわからぬまま落選してしまった。この選定作業は金融庁で行われたが税金返済の極大化という大儀が貫けたか検証できていない)

こういった非常にややこしい問題をはらんでいます(だからRCCがめんどくさいことを引き受けるんじゃないのか?)。

だから地域力再生機構で、どーすんねん。要は重い荷物(負債)を軽くして、身の丈にあった経営にする(収益部門だけを再生しそれ以外は売却・清算などで手仕舞いする)事以外に生き残りストーリーがなく、株主責任は絶対だと思うが?

 

銀行について

大企業となるとそれほど大きく取り上げられないが、中小企業が経営に困ると必ず、支援融資のようなものが出来、信用保証協会や自治体が利子補給する貸付制度など要は「追加融資」をするケースが多い。

利子補給とは貸付金の支払利息の一部を市町村等が税金から肩代わりするもの。企業は低利で融資が受けられるありがたい制度。

ただし、こういった利子補給的なものも、市民税の所得割の納税証明がないと補給してもらえないケースが一般だ。要するに税金を支払っていないものに、税金の還付ともいえる利子補給なんてできません、という理屈だ(銀行で中小企業金融の実務経験上のこと)。

「雨が降ったら傘を貸さない」といわれる銀行ですが、融資資金は健全な収益を元に返済していくものなので、健全な収益が見込めない先に融資するということは株主や預金者に対する背任行為となります。

市町村も本来、真面目に納税している企業を支援するのが本筋のはずです。

ちなみに、日本長期信用銀行をはじめ、破綻した金融機関の経営者の多くは「特別背任罪」として有罪となりました。返済見込みがないのに十分な担保を取らずに融資したと。

私も破綻した金融機関のデューデリジェンス(資産査定)を何度も経験しましたが、必ず弁護士資格をもったRCC職員が融資の違法性を厳しくチェックしていました。

 

こういった過去の破綻事例を見るに、そもそも新銀行東京はどういった層に融資を行おうとしたのでしょうか? 都民の税金(とっても東京本社企業の税金が圧倒的だと思うが)を税金も支払えない企業に融資したのか?

税金も支払えない企業を救済する義務が東京都にあったのか?(引き続き支援する必要あるのか)

貸し渋りが社会問題となりましたが、あれは98年ごろの一時期だけで、それ以後の貸し渋りは自社の財務状況が悪化していたケースが圧倒的でした。当時NHKで東大阪の中小企業が貸し渋りにあって、満足な設備投資が出来ない、というのが取り上げられていました。

翌日、支店長がその会社の財務概要を帝国データバンクで調べてみると、売上高3億円、利益10百万円、点数48点(当時は50点未満でも点数がついた)でした。

その企業が、すでに既存融資が2億円ある状態で、設備投資2億円を謝絶されたといっていました。支店長と二人で「妥当な判断じゃないか」といっていましたが・・・。

資金調達は経営者の大きな仕事です。資金調達ができないのを自分の会社の責任にせず、金融機関にするのは8割以上の確率で(中には銀行側に理解不足もあると思うが)会社側にある、というのが経験です。

それどころか、再生をお手伝いさせていただいた企業は「よくここまで銀行は支援したな」といえるケースが多く、貸し渋りどころか手厚く支援しているという印象が客観的にある(自分の勤務していた銀行ではなく、コンサルタントとして担当した地銀の融資先を見ての感想です)。

 

要するに、元々存在意義のない銀行を延命させる、石原さんは4期立候補しないといっている、彼は売却先が見つからなかったら、人生最後で汚点を残すことになる。

これで東京オリンピック誘致はほぼ不可能だろうな。

 

 






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Last updated  2008/04/04 03:09:56 AM
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