伊藤園優先株式についてのアンケートが気になる
今回は、2593-5 伊藤園優先株式について。 ちょっと気になることがあったので、買い増ししてみた。 何が気になったのかと言うと、1.株主アンケートへの違和感 伊藤園から、「株主の皆様へ」という冊子が届いた。 アンケートに回答すると、抽選で100名に「お~いお茶 ぞっこん320ml×24本」を進呈とあるので、さっそく回答した。 単に優待好きの日常のひとコマだったのだけど、だいぶ後になって、 ”なんか違和感のある質問項目だった?!” と気づき、アンケートの質問項目を見直してみた。 以下、アンケートのうち、気になる部分の抜粋。質問8 議決権行使の状況をお聞かせください ・株主総会に出席して行使している ・議決権行使書を送付している ・行使したことがない ・議案の内容により行使を決める 質問9 当社の優先株式は、個人投資家の皆様向けであり、議決権はありませんが、配当金は普通株式に比べて25%上乗せ、株主優待も届くことをご存知ですか? ・知っている ・知らない 質問10 当社優先株式の単元未満株(100株未満)をお持ちの方は、買取請求、買増請求がそれぞれ可能なことをご存知ですか?※単元未満株の場合、特別口座内においても買取請求、買増請求が可能です。 詳しくは、http://www.itoen.co.jp/finance_ir/faq/をご覧ください ・知っている ・知らない 質問11 当社優先株式が普通株式よりも株価が安い水準で推移していることは、どういった理由によるものだとお考えですか? ・内容が知られていない ・株式市場になじまない ・その他(ご記入ください) 以上、伊藤園の中の人のいらだちが伝わってくるようだ。 私なりに意訳すると、”おい、お前ら! お前ら、個人投資家は、株持ってたってどうせ議決権なんて行使しねーんだろ。 お前ら向けに優先株式作ってやったのに、何で買わねーんだ。 そもそも未だに優先株式の端株持ってるやつがたくさんいて、面倒なんだよ。 買わねーんだったら、そろそろ上場廃止も考えるけど。 ” いや、そんなにガラ悪くないか。 気になったのは、「優先株式が安い理由をどう考えるか」という質問の答えに、「株式市場になじまない」という選択肢が用意してあること。 昨年のアンケートの中身を覚えていないのだけど、昨年もこんなんでしたっけ? いつもの定番質問だったら、私の早とちりで、恥ずかしいだけなのだけど。 株式市場になじまない = 上場廃止 = 優先株式は普通株式に転換 てことですよね。 なんか、出口が近づいているような。 会社側は、優先株に買収防衛策としての役割も期待しているとの見方もあるけど、それならこんな質問項目ありえないと思う。2.伊藤園優先株式についてのおさらい 優先株式は、何が”優先”かというと、普通株式より資産の分配を優先して受けられる というもの。 株式の中では優先だけれども、当然ながら債権よりは後回し。 なので、ベタなクイズで、 ”優先株式と劣後債はどちらが優先か?” の答えは、当たり前だが、”劣後債が優先”。 で、普通株式はどこの会社のものも基本的に同じつくりになっているのだけど、優先株式は発行する会社ごとに千差万別。 だいたいは、会社を清算するとなったときの残余資産の分配について、優先株式の元本的な部分までは普通株式より優先しましょってな感じのが多いのだけど、 伊藤園の優先株式では、優先されるのは配当に相当する部分まで。 伊藤園の優先株式の特徴は、 ・議決権が無い。 ・配当が普通株式の1.25倍(ただし15円が下限)。 (今期は普通株式が年間38円配当、優先株式が48円配当。) ・株主優待は同じ。普通株式と優先株式を保有する場合、それぞれ頂ける。 ・配当原資が無い場合、未払い分は翌年以降に累積していく。 そして、今回ここが重要なのだけど、 ・特別な場合は、普通株式に1:1で転換される。 特別な場合とは、 ・伊藤園が消滅会社となる合併等。 ・普通株式の公開買付により公開買付者の株券等所有割合が50%超となった場合。 ・優先株式が上場廃止となった場合。 3.理論株価と上場以来の状況 優先株式の株価 = 普通株式の株価 - 議決権の価値 + 優先配当の価値 これに流動性の要素等が加味される。 私にとってみれば、配当利回りは重要と感じるのに対し、議決権の行使を切実に感じたことはほぼ無い。流動性も、伊藤園優先株の状況であれば不便を感じるほどのことはない。 したがって、私には、優先株式のほうが価値が高い。他の個人投資家や、多くの機関投資家にとっても同じではと思うのだが。。。 しかしながら、平成19年9月の優先株式上場以来、常に優先株式が普通株式に対してディスカウントされた状態。 上場初日、普通株式に対し8%程度ディスカウントされた株価が付き、その後最大40%程度まで拡大。現在は20%程度まで縮小したものの、優先株式が大幅に安い状況が定常化。 1月17日の株価では、普通株式2,205円、優先株式1,769円(19.8%のディスカウント)。 議決権の有無や、流動性の差が株価の差をもたらしているなどの説明は一応の理屈ではあるが、ここまでの株価の差の説明としては説得力があるようには思えない。 ようするに、市場が間違っているのだ! と僭越にも思っている。 ”市場が間違っている”として、私なりに、なぜ”市場が間違った”のか考えてみた。 出だしが悪かった。まず、平成19年8月末の普通株式の株主に、普通株式1株に対し優先株式が0.3株交付された。中途半端で、昔風で言うところの”株式配当”のようでもあり、端株を持つ人も多く、上場直後の売り圧力につながったのではないか。 で、上場優先株式は伊藤園の一例だけなので、優先株式の評価はこんなもの と相場観が定着してしまったのではないか。 なお、今回触れなかったが、伊藤園普通株式の株価については、バリュー投資的に高からず安からず。”市場様”が正常に機能していると思う。4.私の方針 ・優先株式が安いのは、 ”市場が間違っている” に違いないと期待して、優先株式を保有してきた。 ・なんか、普通株式に転換される可能性がでてきたのでは、てことで少し買い増しした。 ・優待の人気が高く、4月の権利落ち前は値動きをよく見て、権利を取らないことも選択肢。 ところで、アンケートの質問11の答えを、何も考えず”内容が知られていない”にしたのだけど、しかも家族の分も含め4票も。これに気づいていれば、”株式市場になじまない”を選択するか、自由記述で普通株式に転換して!と書いておけばよかった。次の機会があれば絶対そうしよう、と反省。次回は、またまた低位株についての予定。 ※ 投資は、損しても得しても自己責任で!