芽吹きの山々を越えて…
連休は実家に帰ってきました。りんごの花がちょうど満開、カモミールも咲きはじめ、山は美しいやわらかい緑で若々しい。そんな中で父は、孫たちのためにせっせと竹を切ってブランコを作っていた。鉄パイプを組んで作ろうと思っていたところ、そのお金で思わず絵を買ってしまったので、はてどうしようかと考えていたら、目の前にいいものがうじゃうじゃあるじゃないかとひらめいたのだそうだ。そんな自然豊かな里山にある家は、もともとおばあちゃんがひとりでりんご園を営みながら暮らしていたところ。父の育ったところ。家の裏は斜面になっていて、下には谷川が流れている。父はここを子どもが遊べるようにきれいにして、橋をかけたり、坂道に手摺をつけたり、植物を大事にしたり、と忙しく自分のライフワークにいそしんでいるのだ。私が生まれ育った家は、そこから車で1時間ほどの隣の市にある。でも昔は今のようなトンネルもなくて山を越えて行ったからもっと時間がかかった。くねくね曲がった山道がえんえんと続き、私はいつも車酔いしたものだ。今回はまったく違う道を通って、しかももっと高い山を越えて、実家へむかう。あたたかく穏やかな田園風景をすぎると、牧草地が現れ、牛の姿が見えはじめる。しばらく行くとカーブが始まり、山道だ。目指すは遠くに見えるあの頂上。雪が残っているのが見える。…と静かな後部座席を振り返ると、小さなころの私によく似た息子はすでに倒れこんでいる。今の私には、育ち盛りの少年のような緑の木々や、それが途中から季節が戻るように萌黄色の芽吹きに変わっっていくさまや、遠くに見え始めたアルプスの山並みが美しくて目を離せないのだけれど、子どものころって、そんなこと気にもならなかったからなぁ。「ほら、きれいだよぅ」なんていっても車に弱い息子には慰めにもならない、ただの山でしかないんだろうなぁ(笑)。頂上に着くと、そこは木もないし、まだ緑もない。一面の枯れ草原。そして陰になるところどころには雪の残骸が。でもけっこう紫外線は強い。車を止めてひと休みし、皆でおにぎりをほおばる。遠くのアルプスの山並みが、雲というか、もやの上に浮かんだように見える。私はその青と白の山々がとても好きなのだ。さて今度は季節を早回し。2,000mから駆け下りる。木々に萌黄の薄いベールがかかったような色が、少しずつはっきりしてきて、目の覚めるような美しいカラマツの新緑を過ぎると、山桜がほころびだす。さまざまな木々のさまざまな芽吹きの色がまざりあう。里が見えはじめると、またあの少年のような若い緑であふれる。鯉のぼりが悠然と空を泳いでいる。こんな中にいると、頭もすっかり緩む。ぽっかり。そんな調子で緩みきったまま数日間を過ごし、帰京した途端、熱を出して倒れこみ、今朝やっと回復した私。その間ご迷惑をかけてしまった方々も多く、非常に反省。オットにも社会人としての意識が足りなすぎ、と後から言われました~自分でも不安になるほど続いた高熱と初めての長時間頭痛の中で、たくさん思うところもありました。小さな誓いもいろいろしました(笑)。暮らしのささいなことから大切にしようとか、資料はきちんとファイリングしようとか、(恥ずかしい…)何でもやりっぱなしにしないとか、ひとりで抱え込まないとか、まぁ、他にもいろいろ...いや、皆さんほんとにゴメンネ。もう復活しましたので、またがんばりまーす!