鬱患者さんの知り合いがおられる方へ
精神科携わっている人には常識だけど、鬱の患者さんへ、一般の人が案外犯してしまうことに、「励ます」ということがあります。これは鬱の患者さんにやってはいけないことなのです。 鬱がどういう病気かを教えます。重症になったら自殺願望がでてきます。何故でしょうか?それは重症の鬱状態は死ぬことよりも辛い状態だからなのです。一般の方は死ぬ気なら何でもできると思うのです。それは鬱を知らないからそう言うのです。もう一度言います。鬱は死ぬより辛いのです。そしてどん底の鬱状態では死にたいけれど、死ぬ元気もないのです。だからちょっと元気になってきたとき「ああ、やっと死ねる。」と思って自殺してしまうのです。何故励ましがダメなのでしょう?鬱の患者さんは、もともと生真面目な性質の方が多いのです。でも言わばガソリンが切れた車みたいな状態なのです。だから頑張っても動きようがない。そして何故頑張れないのだと思って常に鬱患者さんは悩み、これじゃいけないと本人が一番苦しんでいるのです。そこへ「頑張って」という言葉をかけると、頑張れないのをさらに強調し、ますます落ち込んでいくのです。 長距離を走ったらふらふらになりますよね。そのあと「お前、まだまだ走れるよ、頑張れよ」と言われたら、どう思いますか?でも鬱の方は頑張ろうとするのです。無い力を振り絞って。そしてできない現実を眼の辺りにして、「何で私はできないんだ。」と思って、ますます落ち込んでいきます。 現在、年間何万人という人が自殺をしています。そのほとんどが鬱なのです。みなさん、鬱の方を励ましたらダメですよ。ガソリンの切れた体を休ませてあげてください。