おじーちゃぁあん おじいちゃ~んっ おじいちゃんさぁ~んっ!!
眠ると子どもの頃に居た不思議な湖に降りていける。学校は勉強する大人と、大人が忙しい時に教室に入ってもいい予備の大人が存在していて。大人になった僕とあの子は。予備の方に進んでいた。あの子はパーフェクトなのに、何故か予備を選んで。それで予備の仕事が無い時は眠ってあそこに行けるようになっていることに気付いた。「本当に本当に大丈夫なのね?」「これって本当に大丈夫なのね?」戻れるのか戻れないのかという意味をこめてきっと聴いてたんだと思う。離脱した君を腕に抱えて僕は不安と恍惚の中にいる。屋上から階段を下ると、あの月光にさらされる湖へ。あそこでは、『とっておき』を披露する『決まり』がある。子どもの頃見た父さんの父さんと母さんの父さんがいる。湖に行けたけれど、過去の人に会うことはなかった。今日は居る。おじいちゃんとおじいちゃんさんが居る。「ねぇ、本当に大丈夫なのっ!?」「おじいちゃんさんの『とっておき』凄かったじゃないっ 本当に見て大丈夫なのね?!!」湖の真ん中の岸辺でおじいちゃんさんが、あのヨガのポーズで精神統一を始めている。彼女はいつしか隣に並んで駆け下りている。加速してきっといく向こう側へ。きっと戻れないような予感が悲しくて怖さを紛らわすために、彼らを呼びながら。