VXガス 歴史・・・Wikipediaさんで調べてみたら!
「VXガス」って何ですか?素手で触れるのでしょうか?その歴史と製造法、治療薬はあるの? VXガス VX、O-エチル-S-(2-ジイソプロピルアミノエチル)メチルホスホノチオラート)・・・とは? 猛毒の神経剤(V剤)の一種である。 サリンなどと同様、 コリンエステラーゼ阻害剤として作用し、 人類が作った化学物質の中で 最も毒性の強い物質といわれる。 致死量 大気中濃度 0.1 mg・min/m3。 LD50 15μg/kg(ラット、呼気) 琥珀色をした油状の液体で、 揮発性は低く、無味無臭である。 また、濃度や温度にもよるが、 粘着性を持つとされ、 エアロゾル(霧)を毒ガスとして使用する。 水への溶解度は約3%。 1950年代初期にイギリスで合成された。 揮発性(蒸気圧)が低いため残留性が高く、 そのうえ、サリンなどと異なり化学的安定性も高いので、 温帯の気候においては、 散布から1週間程度は 効果が残留するとされる。 呼吸器からだけでなく、 皮膚からも吸収されて 毒性を発揮するため、 ガスマスクだけでは防護できない。 また、親油性が高く、 水で洗浄しただけでは取り除けないため、 安全な状態にするためには 化学洗浄が必要である。 木材や皮、布などに付着した場合には 長期間毒性を維持したまま留まるため、 VXガスに汚染された物に 触れただけでも危険である。 【歴史】 1952年:ラナジット・ゴーシュ (Ranajit Ghosh) によって イギリスのポートンダウンにある政府研究施設で発明。 1956年:イギリスは化学・生物兵器を廃棄したため、 VXガスもこの時に廃棄された。 1958年:イギリス政府は、核兵器に関する情報と引きかえに、 アメリカへVXの研究資料を渡した。 1961年~:アメリカ軍は、 ロッキーマウンテン兵器工場で VXガスの大量生産に入った。 1960年代初期:VXガスを散布するM23化学兵器地雷、 約100,000個が製造される。 1967年:アメリカでも化学兵器の廃棄が行われ、 7,380発のVX弾頭が貨物船に積まれたまま ニュージャージー沖に沈められた。 1994年8月頃:オウム真理教が合成に成功。 「神通」「神通力」と呼ばれていた。 1994年10月:オウム真理教が滝本太郎弁護士に対して サリンに続きVXガスを使用。 1994年12月2日:駐車場経営者VX襲撃事件 1994年12月12日:会社員VX殺害事件 1995年1月4日:オウム真理教被害者の会会長VX襲撃事件 1997年4月29日:化学兵器禁止条約が発効し、 使用のみならず、製造・保有も禁じられた。 2015年10月現在、同条約署名済み未批准国はイスラエル、 未署名国はエジプト、南スーダン、北朝鮮 2017年2月13日:金正男暗殺事件 【製造法】 VXはエステル交換反応を通して得られる。 三塩化リンをメチル化することで メチル亜ホスホン酸二塩化物とし これにエタノールを作用させ メチル亜ホスホン酸ジエチルとする。 N,N-ジイソプロピルアミノエタノールを作用させることで エステル交換反応により 混合亜ホスホン酸エステルとする。 最後に、この前駆体を硫黄と反応させ、 チオホスホン酸から異性化が起きVXが出来上がる。 VX TransesterProcess.png Transester process 【加溶媒分解】 他の有機リン系神経ガスのように 、VXガスは PAM(プラリドキシムヨウ化メチル)のような 強い求核原子反応によって破壊され、 解毒される。 VXガスで汚染された物を洗浄するには、 加溶媒分解を利用した二種類の方法がある。 一つは水酸化ナトリウムの濃厚水溶液を使用する方法で、 VXガスと反応すると P-O結合とP-S結合が切れて 毒性の低い化合物に分解される。 もう一つは過酸化水素を使用する方法で、 VXガスと反応するとP-O結合が切れて 二つの化合物に分解されるが、 分解物は強い毒性を保持している。 しかし、不安定な物質であるため、 直射日光に晒すなどして 自然分解を待つことで無毒化できる。 VX-solvolysis-P-S-2D-skeletal.png P-S切断 水酸化ナトリウムは、2つの方向でVXと反応する。 それはVXのP-S結合を切り離すことができる。 そして、2つの毒性の低い物質となる。 VX-solvolysis-P-O-2D-skeletal.png P-O切断 過酸化水素と反応すると P-O結合が切れて二つの化合物に分解されるが、 赤字で示されている側は強い毒性を保持している。 【治療薬】 プラリドキシムヨウ化メチル(PAM) アトロピン 【フィクションにおける扱い】 1996年のアメリカ映画『ザ・ロック』では、 テロを企てる海兵隊の武器として、 この液体を内蔵したミサイルが登場した。 この映画の中では 「このガスを少しでも吸い込んだり、 皮膚に付着すると、 すぐさま全身を激しい痙攣が襲い、 内臓を吐き出す」、 「スプーン一杯で半径500メートル以内にいる人間を殺すことができる」など、 テロや化学兵器の脅威を説くため、 いささか誇張・演出的な表現で紹介されていた。 また劇中では球状のガラス製カプセルに封入されていたが、 実際はステンレス製カプセルに封入される。 アメリカのテレビドラマ 『24 -TWENTY FOUR-トゥウェンティー・フォー』では、 「セントックスVX」と称された神経ガスが アメリカ合衆国本土に対して使われるという テロリズム計画がエピソードの中に存在する。 このエピソードでも セントックスVXを天然ガスの パイプラインを通して散布することにより、 およそ20万人を殺害できるとされていた。 ・・・ウィキペデァさまより・・・
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