何が哀しくて、何が哀しくないのか。
空は青い。花は紫。盆栽の緑。南天の赤。空気は透明だけど冷たい。こころは凍えて触れない。七色に輝く虹は見えない。私は白か黒かはっきりさせなきゃいけなくて、日々煩悶と苦しむ。『食べるか食べないか。』『食べて吐くか。』そんな選択肢しかない。明日は何色を見るだろう。悔しさの臙脂色か、喜びの桃色か、怒りの殷紅色か、哀しみの群青色か、楽しみの若草色か・・・。温かな時間。懐かしい想い出。苦しみの過去。優しい母の手。埋まらないこころの穴。全てはこの掌の中にあるのにほろほろと零れ落ちていく。幸せって誰が定義付けたのか。不幸とは一体何の事なのか。関係ない。私はこの1日を必死で生きるだけで精一杯なのだから。笑顔になれたらそれで良い。愛する人の笑顔が見られたらそれで良い。だから、あなたには笑っていてほしい。お母さん、お母さん。笑っていて。その涙は私が引き受けるから。今日も夜が来て朝を迎える。朝日のあたる橋を渡り、ゆっくりと平和な時間を迎えさせてはくれないか?