棋聖戦第1局、山下、覚を粉砕!!
第31期棋聖戦挑戦手合第1局は、黒番・山下敬吾棋聖の中押勝。 はい、今年初の挑戦手合ですね。小林覚は最近勝敗を見れば好調ですが、碁の方はあんまり好調に見えません。小林覚の碁を劣化すると私の碁になる感じでしょうか。形っぽい手を打って力出されると崩壊、というような・・・(覚先生ごめんなさい) 山下敬吾は天敵張栩を撃破して後は世界戦だけという感じですが、棋聖・天元・碁聖などなどこれまで棋戦を防衛したことは一度もありません。 私としては期末試験に追われて更新もままならぬ状態ですが、まあこんくらいはね。書き溜めている文章はあるけど。 さて碁の方ね。棋譜は各人で手に入れてくだされ。 4手目ですぐにかかるのは最近の日本の挑戦手合ではかなり少数派かも。 8~10は当然一貫した作戦であるのだろう。上辺に手を戻すのは厚いが、右辺に黒が展開するのが絶好すぎる。 12は私なら右辺を利かしと見て上辺に手を戻すんじゃないかと思う。三々ツケからもっていく手は隅から抑えてくれればありそうな手なのだが、星に伸びた上でハザマをついてくるのが強力と見たものだろうか? 13で17-5に引くのは気合負け、やはり隅に伸びこみたい所。30までとなると隅ははねてコウにはじいてヨセコウ残り。2の2に飛んだ方が安全だったか?ただそうすると今度は18-7に飛び出す手が成立(かみ取ると18-4が利く上ダメ詰まりで隅はセキくらいにはなる)するので白悩ましい。 結局32と手を戻すのはつらいところ。36とつけた瞬間にコウを起こしフリ替わったが、35とすごいところをガチャンとついだため全局的に黒が厚いか。右下の黒の形がはちゃめちゃに厚いのに対し、白の右辺のポン抜き2つはあまり威力が大きくないように見える。 さらにここで黒がなおも45,47と追及。 50手目は封じ手だが、いろいろ考えられた。右上隅の1-1に置けば攻め合いは勝ち、ただし後手の上外から抜きが次々利いて黒が厚くなってしまう、見た目ほど黒地は大きくない。つげば先手セキだが隅は10目以上違う上味気ない。52との手入れは外に白からもコウを仕掛ける手を残した手で最強。ただ1-1にはじかれると両コウが避けられず後のコウ争いに死ぬほど弱くなる可能性がある。黒の弾力はなかなか制圧できない。 ともかくここを一段落として黒は下辺に回った。でかい。これは黒有望ではなかろうか?しかし、55,57という手のかけ方は重複気味。57と下辺星に打った後にわざわざ53にケイマする気はしない。打ちたければコスミとかじゃない?という違和感をぬぐえないのだが、黒は59と突撃。61と大々ケイマに打つのは実は私がよく使う手法だったり。大ゲイマに打つ方が普通だがその後手を入れても窮屈なのでちょっと欲張る手である。 62に対して63,65とは強欲。おとなしく左辺に手を入れれば普通だが白に手をかけさせてシノギ勝負にする意図か。66まで打たせて67から動き出すとは怖い手だ。黒も白の形にジャブを入れながら脱出をしていってとられることはなさそうなのだが、104までと右上の黒が孤立した頃合を見計らって108のコウ仕掛け。 白も怖いが黒は負けると上辺全滅のコースも見えるだけに命がけ。白としては中央を逃げていった黒石にコウが立つ。他方で白の左辺の石も薄く、上辺一帯vs左辺一帯の超巨大フリカワリさえ考えられるところ。 さてコウ争いの結末はというと、なんとコウは黒が1コウ勝ち。白は仕方なく謝ります。一応中央と左上で損コウを打たせているし、まだ上辺に11-2に伸びだす味(けっこう強烈)があるので辛抱する気になったのだろうか。 しかしこれではほとんど儲けたうちに入らない。 中央に備えられては、もはや下辺を荒らす手がかりはほとんどない。左のほうで3子抜いたのはかなりのぼろ儲けだろうがそんなものではどうにもならなかった。 ふむ、山下の力がうまく炸裂した感じか。 覚といえば形にうるさく良くも悪くも日本的な碁というイメージが強いが、うまくいかないとぐじゃぐじゃにつぶれるイメージも強い。 まあ名人戦の挑戦にも見られるとおり、悪くなってからが覚の本領発揮なので、今後には注目しておこう。