厳島鑑定 その2 証言者の供述の正確さに関する心理学鑑定について
先日飯塚事件考察動画で有名なtamagoさんの動画を見直していたところある方がtamagoさんにコメント欄で執拗に絡んできてました。その中でその方が「厳島鑑定はボンゴを使っていないというのは嘘だ、訂正しろ」と結構な勢いで息巻いてらっしゃいました。(ちなみにその方、あまりにも上から目線なうえ一切相手の意見は無視し、一方的に自信の主張をのべるだけで、しまいには命令口調で訂正を求めるといった態度のためtamagoさんに説教されてましたが、その後はXで「逃げた、論破した」と、一人で勝利宣言をあげてらっしゃいました・・・・・💦幸せな人です。 ) 私も厳島鑑定に関しては、実際の事件があった時期と全く違う時期(その地域で唯一交通量が多い花見のシーズン)に行った上に、八丁峠の山道を通行するのは初めて方々を集め、車の普通のワゴン車の後輪にもうひとつ別のタイヤを並べた偽ダブルタイヤを使っての実証だったため、正直意味がないよといった論調で批判してました。厳島鑑定に関する日記はこちらしかし、ダブルタイヤのボンゴを使った実証であれば、自身の意見を訂正する必要があるのでネットで検索して、二度目の厳島鑑定の資料を入手しました。今回はその二回目の厳島鑑定についてみていきたいと思います。厳島鑑定№2実施されたのは2010年2月19日ですので事件から18年経過してます。ただし、2月に実施したことは評価できると思います。この時期、秋月街道を通行する車はほとんどありません。 参加者は30名使用した車はブルーのマツダのボンゴ車(ダブルタイヤ)参加者に乗ってもらう車は軽四輪トラック(オートマ)※普通乗用車と軽四輪トラック両方の車に乗ったことがある人ならわかると思いますが、普通自動車に乗りなれていると軽四輪トラックは運転しづらいんですよね。事件と同条件で実証するのならば、参加者が乗りなれた車を用いた方ががよいかと思うのですがね・・・。 さて、この二度目の実証実験の結果を見ると私個人的には、八丁峠の証人の証言を補完する内容にも見て取れます。(当然厳島氏は立場上、証人の証言はあり得ないとの方向に導く内容に内容になってます)この辺りは後程意見を述べたいと思います。 こちらがその実証実験に参加した方々の目撃内容です。ちなみに、この実証実験では参加者を二つのグループに分け、何も事前の情報を与えられてないグループと、事前に 「対向車線に必ず駐車している車があるので、その車およびその車の周囲に注意して運転してください」といった情報を与えていたグループにわけられてました。実際の証人の方は常日頃仕事でこの辺りを通っており、当然不審な車を見かければ注意する立場にいた方なので、第二グループ(情報を与えられた方々)の方々の意見を参考にします。 結果はこちら ●立っていた気がします。事故や立ち小便ではなかったので、携帯かタバコか?(だったのではないかという予測)●何かの調査か作業をしていたような気がします。立っていた。もしかしたらパンクをしていたのかも…… というイメージ●右側の車: 車の後部(ボンネットを開けられるところ)に後ろ向きに立っていた。何かをしている様子だった。左側の車:車内(運転席)に乗車。タバコに火をつけていた●助手席側の外で立っていた。厳密に言うと、助手席側のフロントガラスの方から助手席のドアの方に歩いていた。何かを探しているような感じだった●トランクをあけて中を整理しているようだった。後ろのトランクです●何かさがし物をしている様にみえた。車の左側を何か確認している様にも見えた。あわてている様にもみえた●立っていた。車の方を向いていた●車の横で立って待たれてました。(男性でした)1 歩、2 歩、歩いているような様子●車のむこう側、助手席側、にはじめは居て、こちらの車に気づいたら、車の後ろに行き、かくれるようにしていた●車の側をウロウロしていました。ズボンのポケットに手を入れていました●車のうしろに立っていたような気がします●特に何かをしていた様子でもなく、顔は見ていません。下のものをとるようなしぐさ? という内容であった。この通り、同じ状態の人物を見たにもかかわらず見た人によってこれだけ内容が異なってます。 ここで八丁峠の証人の証言を振り返ってみましょう。 八丁峠のTさんの証言はこちら 「私は、こんなカープのところに車を駐車して迷惑だなと思い、時速二五キロから三〇キロのスピードで走りながら駐車している車の方を見ますと、この車に向かって右側の雑木林の中から男が一人出てきて、私の車の方を見るやあわてたようで 前屈みにすべったようでした。私はこの状態を見て、こんなところでなにをしているのだろう、しかもあわててと思いながら、その車の横を通り過ぎながら車の窓越しに、後ろ斜めに又見たのです。この男の人相は頭の前の方が禿げていたようで、髪は長めで分けていたと思うし、上衣は毛糸みたいで、胸はボタンで止める式のうす茶色のチョッキで、チョッキの下は臼のカッター長袖シャツを着ておりました。その感じから、年齢は三〇〜四〇歳位と思います。」何かいい加減というか、「思います」が多い証言ですね。でもそれはよく理解できます。数秒間見ただけで人の服装やら風貌を完全に覚えることは難しいからです。まさにこの実証実験結果からもよくわかりますね。このように実証実験の結果、実は目撃した人物についてばらつきがあります。年齢、着衣、行動など見た方によってそれぞれ違う感想を持たれてますね。つまり、一瞬人物を見ただけでは年齢や服装などを正確に観察することは難しいということがよくわかります。冤罪派の方々は、このTさんの証言を逆手にとって「被告と年齢が全く違うし髪型も違うので別人だ」と主張されてますがまさか 厳島鑑定が、人の年齢や表情を短時間で鮮明に覚えることは難しいことを証明してくれるとは思ってもみなかったのではないでしょうか。そもそも、八丁峠の証言で重要視されたのは女児が姿を消した三叉路付近で目撃された車が目撃されたことです。Tさんは被告を見たなどとは証言してません。そこは、八木山バイパスの新証人のKさんにように「私は被害者を見た。小学一年生だったから間違いない」などとは証言してませんのでご注意を。さて、それでは注目の車についてはどのような結果になったのでしょうか。結果はこちら ●濃青色の10 人乗りくらいのサイズ、ジャンボタクシーのようで、かなり古そう●軽、キューブやヴィッツ・フィッ卜・マーチ等、よく目にする車種ではなかった。大型でもなく、押しつけてまとめると、新型ではない小〜中のセダンタイプ(力ローラぐらいの)●ジャンボタクシーと同じくらいの大きめな車8人のり。2 ・3 ・3 の3 列●ワゴン車(大きめ)●ワンボックス(大きめだった)●6 − 8 人のりの乗用車。タイプはわかりませんでした。ボックスカーのような。ちょっと古い感じ●軽のバン。人物の方に注意が行った。かっこうが気になった。●トヨタ。商用の1BOX (箱バン)●バン。四角い。6 人乗りくらい? 軽ではない●バン(車種不明)●ボンゴ(ライトバン)●1BOX の商用車タイプ。古いタイプのやつ。旧式。ボンゴかな?●ワゴン●ワンボックス●ワゴン。よく仕事とかで使用するタイプ。このなかでボンゴと答えた人は二人もいたのは意外でした。また、詳細しシートの配列を詳細に覚えている方がいたのも意外でしたね。それ以外にもワンボックス、バンと車の特徴をとらえている方が思ったより多かった印象です。事前に注意しておけば結構車の特徴は覚えることができるようですね。 そして実証実験ではダブルタイヤの後輪についても訪ねてます。前回は偽ダブルタイヤでの実験だったこともあり、裁判でもその部分は指摘されてましたので、二度目はようやく本物のボンゴを用意したようです。 その内容がこちら。 後輪について見えたかどうかを尋ねたところ、一般教示条件では「見えた」と報告した者が3 名であった。他の者は「覚えていない」か「見えなかった」との報告であった。注目教示条件では、「見えた」と報告する者が2 名であった。他の者は「覚えていない」の11名か「見えなかった」2 名との報告であった。注意を払って見るように促しても、後輪の知覚はこの程度なのである。見えたとする者の説明を見ると、一般教示条件では、一人は 鎖?雪用のチェーン?あまり覚えていない特徴と言われれば付いていたのかな?と思ってと報告し、もう一人は 落ち葉があるところに止まっている感じとの報告があるだけである。注目教示条件では、特徴は「なし」と「わからない」であった。それでは八丁峠の証人Tさんは何と答えていたかといいますとこちら。後部のタイヤがダブルタイヤでした。私はダブルタイヤのワンボックスタイプの車については、タイヤ八ウスが車内に出ないようタイヤが前輪よりも小さくなってダプルタイヤになっていることや、ダブルタイヤの場合、タイヤホイルの車軸の部分が普通のシングルタイヤと違ってへこんだ形になっていることを知っており、目撃した車を見た時、前輪タイヤより後輪タイヤの方が小さいことや、後輪のタイヤホイルの車軸の部分がへこんだ形になっていることも見ており、ダブルタイヤだったと思いました。他に、タイヤのホイルの車軸の部分がへこんだ形になっていたのですが、その中央のボルトがしめてある辺り 、つまりハブのふちの辺りが黒っぽい線状になっていたような記憶もあります。 さてここで少し考えてみてください。事件があったのは1992年実証実験は2010年その差18年 私くらいの年齢(1992年時点で既に車に乗れる年齢でした・・って歳がばれますね)の者と、2010年に車が運転できる20~30代の方を比べてみると知ってる車の車種は全然違いますね。私の世代でぎりぎりボンゴの実車を見たことあるのかなと思いますし、あの印象的だった「ボーンゴマルチバーン」といったフレーズのCMをリアルタイムで見たことがある世代の下限ではないでしょうか。確か小学生のころボンゴのプラモデルを買った記憶もありますし。 私は 車は好きなほうなので、1990年頃に販売されたワンボックス車の中で何を買いたいと思うかといいますと、ボンゴよりもバネットやハイエース、キャラバン、またちょうど三菱にデリカが人気になっていた時期なのでボンゴは全く眼中にないですね。ダブルタイヤのボンゴは見た目バランスも悪く「格好悪い車だなぁ」って思ってます。マツダの皆さんごめんなさい💦 さて、2010年ころの自家用車のワンボックス車でダブルタイヤの車って存在してましたっけ?ネットでそのころ販売された中古車の記録を見てもみつかりませんでした。トラックなどではボンゴと同じような小さな後輪のダブルタイヤはあったようですが、何度も書きますが、後輪が小さく横から見るとバランスが悪く見えて格好悪いんですよね。それに比べそのころ人気だった三菱デリカは日本なのになぜかカンガルーバーがついていたり、見た目は少しずんぐりした感じだったと思います。会社の同僚が新車で買って何度か乗せてもらいましたが室内も広くとても快適でした。何が言いたいかというと、一目見てダブルタイヤをわかる世代は少なくとも1990年前後に車に乗れる人、車に興味があった人ですね。年齢で考えると2010年時点で40歳前後ですね。この実証実験の参加者の年齢が伏せられているので何とも言えませんが例えば今現在、20代の人を集めてボンゴ見せてもダブルタイヤと気づく方は多分ほとんどいないと思います。それにT証人が証言しているように、ダブルタイヤのことを知っている人とダブルタイヤのこと全く知らない人を比較しても意味が全くありません。厳島鑑定は心理学を鑑定する学術としての価値はあっても、実際の犯罪の証言として、特異なダブルタイヤのことを知っている人とそうでない人を比べても意味がないのではと正直思いますね。例えて言うと、メジャーリーグの一流選手50人集めてその平均アベレージや上限下限のデータを参考に「大谷の成績はあり得ない、それは50人集めた実証実験の結果を見ればわかる」と言われても、大谷はその一流選手の中でも特異な選手ですから、当てはまるわけないんですよ。 事実大谷選手は一人で 50ホーマー50盗塁達成しちゃったんですから。さて、結果として再審請求でもこの厳島鑑定№2の結果は判決に影響がなかったようです。一度目は時期が違う、車も違う、タイヤも違う実験で二度目は18年経過したうえに、その時点で自家用車ではほぼ採用されなくなったダブルタイヤを見分けることができない人たちを集めた?これって、結局結果ありきりの実証だったために判決にも影響がなかったんじゃないでしょうか。もし一度目の実証実験が事件から数年内で八丁峠を複数回通行した人を集め、その方々が普段から乗りなれた車に乗ってもらい、事前に「もし不審と思う物を見かけたら注意してください」と伝えたうえでダブルタイヤのボンゴを使って行った実証だったら、はたしてどういった結果になったのでしょうね。興味あります・・・・・。みなさんはどのようにお考えになられますか。