門外漢のねごとたわごとひとりごと

[絵画関連] カテゴリの記事

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  果たしてこの作品は“ゴッホ”だろうか？…

  「風車を描いたゴッホ作品、本物と証明され展示開始」という見出しが目に付いた。どうも私は、何故かしら絵画芸術関連のニュースには、敏感に反応してしまうのです。内容は、オランダの地方美術館で24日、新たにゴッホの作品と証明された絵画の展示が始まったというネットニュース。添付されていた写真を見ると、オランダならではの風車と人物を描いた絵ですが、1886が年作とされていました。数十年間倉庫に眠っていた作品が、このほどゴッホ美術館から本物と認証されたとのことで、展示を始めたという。どれどれと、おもむろに作品写真を拡大して見た。この作品1886年作ということであれば、ゴッホがパリを訪れて半年くらい経った頃の作品ということになる。その頃のほかの作品はとみると、有名な“ジャガイモを食べる人たち（1885年作・写真下左）”や“ムーラン・ド・ラ・ギャレット（1886年作・写真下右）”などがあって、画風に変化が大きく現われる時期でもある。　　　　　　　　　　　 確かにこの作品、同年に描かれた“ムーラン・ド・ラ・ギャレット”とおなじく風車をモチーフにしているのですが、私の直感では今度発見された方の作品は、ちょっとゴッホらしくなく“垢抜け”がしていて、ゴッホ独特の“泥臭さ”や“粘っこさ”が感じられず、さらりとしているように感じられて、いささか首をひねるモノではあります。もちろんゴッホ作品の研究家・専門家が綿密な調査をして出された結論ですから、その通りホンモノなのでしょうけれど、一度実物を観て見て確かめたい私ではあります。

  2010.03.03

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• リアルに描いていると大真面目だったらしい…

  私の好きな絵画は、リアルな表現がなされた作品がほとんどですが、中にそうではない好きな画家がいます。“アンリ・ルソー”その人です。彼は専業の画家ではなく、一方で生業を持ちながら、年齢もそこそこいってから制作活動を始めましたから、周りからも自分自身も「日曜画家」を自認していたようです。彼の描くどの絵も、一見稚拙さが見て取れるような表現なのだが、色使いや画面の隅々まで同じ力を注いだ密度、頭で想像した植物描写などから醸し出される幻想的な世界が、今思えば、シュールレアリスムの先駆けのような位置にいたのではないかと思ってしまいました。ルソーの表現は、本人はいたって大真面目に、自分は最大限リアルに描いているつもりだったようだと、何かの本で読んだのか、人から聞いた話だったかは定かではありませんが、覚えがあります。彼の初期の作品は、すでに40歳前頃ですからほとんどの作品が、かなり高齢になってから描かれていることになります。そんな数ある彼の作品の中で、私が最高傑作だと思うのがこの作品「蛇使いの女」です。私はこの絵を一度だけ観た事がある。たしかオルセー美術館だったと思うけど…、かなり大きな絵で、この蛇使いの女の目に射すくめられ、圧倒されたことがありました。本を読んでいたらこの絵がモノクロで出ていたので、ちょっと書いてみることになりました。

  2010.02.23

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  あのヨーロッパを代表する王家のコレクション…

  600年以上続いたハプスブルク家栄光栄華の歴史に、華麗なる花を添えた美術品コレクションが“ウィーン美術史美術館”および“ブダペスト国立西洋美術館”から貸し出され、現在京都国立博物館で展示展覧されている。これは両美術館が誇る、歴代皇帝や王妃などの肖像画をはじめ、オールドマスターの傑作がたくさん来ていた。絶大なる権力を誇った“ハプスブルク家”であったが、それは政略結婚を繰り返し、血縁関係の構築によって超広大な領土を有するものになったとか…。私はそのハプスブルク家には、大きな興味は持っておりませんが、いやが上にもこの特権階級の贅沢（という言葉では表わしきれないが…）な生活ぶりが見えてきて、あまりの別世界ぶりに圧倒されて、頭がクラクラしておりました。この展覧会に於ける私のお目当ては “アルブレヒト・デューラー”の“若いヴェネチア女性の肖像”です。　　ものすーごく小さな絵です。今までは、画集の写真でしか観た事が無かった作品ですから、ぜひとも観ておきたいと思っておりました。やはりこの絵描きさん、とても良いです。この人の作品は“ハズレ”がありません。この女性の肖像も小さな絵なのですけれど、なんといっても密度の濃さを感じます。密度の濃い絵の前では、いつまでもその絵を眺めていられるのです。他にもティツィアーノ、ティントレット、ベラスケス、ジョルジョーネ、ルーベンスそしてヴァン・ダイクらの作品も展観されていて、壮観な展覧会でした。これらの作品、今後はウィーンやブダペストへ赴かないと、もう見ることはできないでしょう。

  2010.02.12

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  １億４０００万円でニュースになるかー？…

  “貴婦人の肖像”という題名のさほど大きくない古い絵が、ちょっと前にニューヨークのオークション“サザビーズ”で、１億４０００万円で落札されたとのニュースがありました。また巨匠の作品が売りに出されたのだろうとは思ってみたのですが、ちょっと考えて「たかだか１億４０００万円くらいでニュースになるのんかー？」と突然疑問が湧いてきた…。それもそのはず、レオナルド・ダ・ヴィンチの模写が売りに出されたそうなのですけれど、ただしこの作品、一時は真贋論争喧しく、レオナルドは同じ絵を２枚描いたのだとまでいわれていた、曰く付きの作品なのです。長い間の研究調査の結果、１８世紀前半ころの模写との判断が下され、真贋論争に終止符が打たれて、このたびのオークション出品で一般の世に知れわたるところとなりました。どこの誰が描いたか全く分からないような作品が、売りに出されて高値がつく、それなら“１億４０００万円”がニュースになるのもよく分かろうというものである。この模写を描いた人が、１８世紀当時の有名巨匠修行時代の作品だったりすると、これはもう落札価格の１０倍以上の値がつくかもしれませんね！上の写真がその模写といわれているもので、下の作品がレオナルド作とされているものです。見比べてみると、やはりレオナルド作の本物とされている作品はそれなりの風格というものが漂っていると感じますが、今回オークションにかけられた作品には、その重厚さにまでは究められていないような気がします…。　　　　　　　　　　　　

  2010.02.04

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• 過去にこんなこと、意外と無かった…

  こんな記事に出合った。「メトロポリタン美術館は、同美術館で展示していた２０世紀を代表するスペインの画家パブロ・ピカソの作品“役者”に、来場者の女性が誤って倒れかかり、キャンバスが損傷した」私は展覧会を観に美術館へはよく行く方だと思う。ガランガランに空いた展覧会もあれば、入場するのに２時間も並ぶような物凄く混み合った展観もある。今回の事故のようなことが心配されるような事も皆無ではない。ガラス越しとか、近寄れないようにする柵付きなど展示方法にも寄るのでしょうが、このような事故の発生が、これまで意外と少ないなーと前から思っていました。いや、ちょっと思い直して、本当はもっと頻繁に発生しているのだが、その作品がピカソのように大物ではなかったから報道されないのか？　とも思ったりするのですが、実態はよく分かりません。心配になるのは、このような重要作品には事故の事を想定して、保険がかけられているとは思うのですが、それでも損害賠償のようなことは起こらないのかしら？　それにしても、私はこのピカソの作品を存じませんでしたが、とってもいいですねーこの絵！

  2010.01.27

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• 今年も日本で一番大きい団体展へ…

  むかしはこの団体展はほとんど観なかったのですが、ここ10年ほどは毎年観ている。友人の日本画家の作品を観るのが、第一大きな目的なのです。その友人の画風が、とてもどっしりと落ち着いて安定してきているのです。最近の5～6年は静かなフランスの田舎、その町並みや石畳そして古い教会などをモチーフとした連作です。今回の作品もやはり同じ流れで描かれたものでした。彼の描く風景は、とてもいい雰囲気を醸しだしているのですが、わたしはそれを観る時、いつもちょっとした不満があるのです。その私が持つ不満とは、彼の描く風景が何かいつも感じること、ちょっと寂しいのです。それその事こそが作者の目指すところなのかもしれませんが、私にはどうも納得がいかないのです。この作家の作品はいつもそうなのですけれど、なぜか人気（ひとけ）が感じられないのです。“虚無感”というほどではないけれど、それに近いようなさびしさが漂っているのです。つまり作品中のどこか隅っこにでも、小さく人物が描き添えられていたら…、といつもそのように感じてしまいます。こんなこと望むべくものではありませんが、私がこの絵の作者なら絶対に必ず人物はどこかに描き入れるはずです。そうすることでもっと絵が生き生きとしてくると思えてならないのですが…。そんなことを思いながら、この200号くらいの大きな絵の前で、しばし佇んでおりました。

  2009.12.14

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  やっぱりクリムトはいいですね…

  昨日は６日日曜日に開催したイベント出勤の代休をいただきました。行きたいところがあったのです。サントリー・ミュージアム天保山。いま展観しているのは「ウィーン・ミュージアム所蔵　クリムト、シーレ世紀末展」という企画展です。クリムトは私の大好きな画家の一人ですから、見逃すわけには参りません。ウィーン・ミュージアムというのは昔のウィーン市立歴史博物館で、その19世紀末作品がグスタフ・クリムトとエゴン・シーレの作品をはじめ100点以上展示されており、なかなか見ごたえがありました。この展覧会開催期間は12月23日までなので、年内のスケジュールを見ると昨日くらいしかなかったのです。むかしはウィーンに行かないと見られない絵だと思っていた作品が来ているので、彼の地へ出かけなくてもこのような作品が見られるのが嬉しくなります。昨日はウィークデーでもありましたので、展覧会場は想像以上に空いていて絵画鑑賞という意味では最良の環境であったのではないでしょうか。作品の細かい事はいろいろたくさんありますが、それはさておき、クリムトの画集にも出ていなかった、今まで知らなかった作品が何点かあったことが新しい発見ではありました。このような出合いがあるので、ミュージアムへ足を運ぶことの愉しみは増幅いたします。ところでこの「サントリーミュージアム天保山」<; サントリー創業90周年事業として1994年11月3日に南港天保山に開設されて、ミュージアムの設計は建築家安藤忠雄氏によるものです。このミュージアムの位置づけは、東京のサントリー美術館が日本古来の美術・工芸品を収集しているのに対して、近現代美術の収集・展示を行う事を目的としてつくられたのです。しかし、2010年つまり来年末までで閉館する事が決まっているようですね、残念です。

  2009.12.10

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  目玉作品の意外なエピソード…

  いま、京都国立近代美術館で開催中の「ボルゲーゼ美術館展」の事。ローマのボルゲーゼ公園の中にある、名門貴族ボルゲーゼ家の枢機卿が、絶大な権力と富と審美眼によって集めたルネサンス・バロック美術のコレクションとして有名です。今回初めて日本で公開されたボルゲーゼ美術館展コレクション約50点の中で、ボッティチェリやカラバッジョ晩年の作品やベルニーニの彫刻、なかでも目玉作品とされているのが、ポスターやリーフフレット画像にもなっているラファエロの　“一角獣を抱く貴婦人”　という作品でした。この作品はラファエロ20代前半の作品で、レオナルド・ダ・ヴィンチの影響が大いに認められるものです。貞淑の象徴であるユニコーンを抱く、この婦人像には逸話があるようなのです。ボルゲーゼ枢機卿が収集した当時の姿は、少し違う図柄だったという事のようです。後に後世の加筆が判明し、その加筆部分が取り除かれてラファエロのオリジナルな図柄に修復が成され、現在の姿になったという事です。修復以前は「アレクサンドリアの聖カタリナ」とされていて、マントを羽織って車輪を持っていたというのです。　　　　　　　　　　 したがって、一角獣も隠れてしまっていたのだということです。そういえばこの加筆されたものには、手の表情なんかにぎこちなさが見られますね。なお、この貴婦人が誰であるのかは特定されてはなく謎だということです。展覧会場のロビーの一角で行われていた、ビデオ解説で学んだ事でした。

  2009.11.24

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  久しぶりに　“創画展”　を観たのだが…

  予報では天候の悪い休日、午後から天気が抜群に良くなってきたので、出かけることにした。さて、どこへ行こうか？　ただ、出かける時間が遅かったものだから、そんなに面倒ではないところがよい。となると行き先は限られてくる。そうですね、京都市美術館です。実は、今何を展示しているのかを知らずに行きました。開催中の展示は「第36回創画展」でした。「創画会」の前身は「新制作協会日本画部」とよんでいた日本画の公募展です。古く物故作家では、吉岡堅二さん、秋野不矩さん、上村松篁さん、加山又造さん、山本丘人さんなどが所属していました。現在も健在で活躍してる人には、石本正さんや上村淳之さんなどが重鎮として居られます。今回久しぶりに「創画展」を観ての印象は、創画会に限らずの事ですが、日本画は相変わらず大きな絵ばかりで、“この題材でこんなに大きな絵を描くの？”　とびっくりしてしまう作品もありました。その作品の大きさ故だと思えますが、完成度の低さがすこし気になりました。そんな中で、何室目かの展示室へ入るとすぐに「あれはなかなか良いなー」と目に付いたのがこの写真の作品です。　　　　　 近くへ寄って作品名を見ると「野薊（のあざみ）―石本正」とありました。この石本正さん、舞妓をモデルにした絵に素晴らしいものがあり、その中にはヌード作品が何点もありました。おそらくもう90歳くらいではないかと思いますが、この絵を観ても分かるように、いまだに若々しい感性を持ち続けておられるようです。日本画家の中では好きな画家の一人です。まだまだ、なお一層の活躍を望みたいところです。それにしても「新制作協会」が「創画会」と改組改名されてから36年も経ったのですね。

  2009.11.15

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  友人の浄土真宗僧侶の個展…

  ３年に一度くらいのペースで個展を開いている。滋賀県の中学校長をしていて、家がお寺なのである。もともと学生時代は彫刻を学び、前回の個展までは彫刻作品の個展だったのだが、今回はガラッと趣を変えて、木版画と板画で墨一色の世界へと変貌していた。　　　　　　　　　　今回の個展テーマは「僧」、作家自身が浄土真宗の僧侶であることが大きく作用して、親鸞像や釈迦十大弟子などの連作だった。寺に生まれ育った作者が、紆余曲折の制作活動を経て行き着いたテーマが、今回の自身が目指す仏道を辿る「僧」の姿だったのだろうと想像できる。作家本人は教員も早期退職して、持病との闘いと制作活動に打ち込むも、時には制作活動が思うに任せず大きな労苦があったと聞いている。今回の個展は、その大きな努力が実を結んだ成果であったのだと思う。　　　　　　　　　 今後も、この方向での制作活動を追求される事を期待し、新たな展開を楽しみに応援もし、見守っていきたいと思っている。

  2009.11.04

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  またあの彼女がやって来るようですね…

  額に青い鉢巻をまいて、耳には大きな真珠色の耳飾りをしているあの彼女です。オランダから日本にやって来るのは、これで２度目ですね。前回、彼女が来たときには、私は４回も会いに行ったのですけれど、今度はどうなるのでしょうか？でもやって来るのは2012年7月からとの事で、まだ随分先の話しということになります。その彼女とは、「青いターバンの少女」とか「真珠の耳飾りの少女」とかの名前で呼ばれている、オランダの17世紀の画家ヨハネス・フェルメール36作品中の1つで、縦45センチ弱×横39センチほどの小さな油絵です。この画家、昔から私の大好きな絵描きさんですが、何も私だけが好きなわけではなく大方の日本人の好きな画家だと思います。したがって、近年この人の数少ない作品が次々と日本にやってきてくれます。とても喜ばしい事なのですけれど、あの「超」の字の付く大混雑だけは全くいただけません。何とかならない物かと思いつつ、でもなんともならないだろうなーと、諦めの境地に陥る事なってしまいます。でも大いに楽しみである事には変りありません。　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　我が家にもその彼女が一人いるのですよ！

  2009.10.30

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• この人の代表作はやはりこれ…

  “カンディンスキー”　と並び称せられ、抽象画初期の発源元となった　“モンドリアン”　という19世紀末～20世紀のオランダ出身の画家がいた。なぜ急にこんな事を書き出したかというと訳があります。　“絵画は見て感じるよりも読んで理解する方がずっと面白い”　といった内容が、ふんだんに書いてある本を読んでいたら、このモンドリアンが出てきたのです。取り上げている作品は、この写真の作品「赤・青・黄のコンポジション」という作品で、中学校あたりの美術教科書には、必ずといって良いくらい出てくるからご存知の方も多いと思います。この絵はご覧の通り、垂直と水平の黒い線で画面を分割して、その区画を原色で塗り分けるという究めてシンプルなもので、使っている色も赤と青と黄それに黒の４色しか使われていません。しかしこの本がいうには、この分割されて塗り分けられた色面の、大小比率や位置関係などが絶妙で、これ以上の構成は絶対に無いと言い切るのです。この黒い線で分割された画面の色３色を、あれこれ入替えて検証してみているのですが、確かに指摘の通りこの作品の色面配置と面積比率が最も　“静謐”　で　“怜悧”　な雰囲気を湛えています。ちょっと　“赤と青の入替え”　や　“赤と黄の入替え”　また　“青と黄の入替え”　“赤と青と黄全ての入替え”　など、想像してみて下さい。黄と青を入替えると暑苦しい感じになり、赤と青の入れ替えでは重苦しい。などの感覚を持ちます。結局は最終作品となっている配色とスペース比率の揺るぎなさを納得する事になるのです。これは何もモンドリアンの直感や感性の賜物ではなく、熟慮に熟慮を重ねて考え抜かれた結果生まれた、考え得る最も心地よいコンポジション作品なのだということです。したがって鑑賞者の方も、「抽象画だから何が描いてあるのか判らない」とか「抽象画だから感性で感じるだけで良いのだ」とか言うのではなく、絵画を読み解くという観点で鑑賞すると、知的好奇心が大いに刺激される事にもなるので、一層面白い事になってくるといったことだった。モンドリアンの作品は有名なものだけでもかなり沢山あるけれど、やはり最高傑作はこの　“コンポジション”　だと思うのです。

  2009.10.13

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• 今回の絵画鑑賞は　“院展”　です

  日本画の団体公募展の中では、一番古いというか歴史があるのが　“院展”　です。東京美術学校を辞めた岡倉天心が、横山大観や菱田春草、橋本雅邦、下村観山などの日本画家とともに、美術研究団体として1898年に日本美術院を結成し、その公募展として　“院展”　ができ今日に至っている。発足当時の院展は彫塑や洋画部門もあったようですが、現在は日本画のみとなっていてます。現在の日本美術院の理事長は平山郁夫さんです。今回の鑑賞は　“第94回院展”　です。毎年できるだけ観るようにはしてきていますが、今年は最終日になってしまいました。私が昔から院展でずーっと注目してきた画家が　“下田義寛さん”　です。この人の若い頃の作品は、日本画という観念にとらわれずに、独自の絵画世界感を構築していて、技法も日本画以外のテクニックも取り入れるなど、先鋭的なものがありました。今もその名残りが多少感じられることもあるのですが、日本画の本道に帰着しようとされているようです。あの若い頃から技術的には進歩していて、巧い絵を描くようになっているのですけれど、勢いというかインパクトの点では、どうしてもパワーダウンしているのが否めません。同じ方向性を追い求めた画業だと、年とともにそうなることが多いのだろうとも思えます。ピカソのように画業が変貌に継ぐ変貌を繰り返して、その度にパワーが増幅してくるというのは、極めて稀なケースと言わざるを得ません。一人の画家を追っかけて観ていると、こんなところにも気付いてしまう事があります。

  2009.10.05

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  やはり休日は混んでいた…

  当初はウィークデーに休みを取って行くつもりだった。それはこの種の展覧会場は土・日・祝日が混みあうのが通例だからだ。でも、なぜかシルバーウィークの最後の23日に行くことになった。いつもこの兵庫県立美術館へ行く道程は、往路も復路もほとんど人がいなくて、もちろん美術館内も大変空いているのですが、このたびはちょっと勝手が違いました。最寄の駅から美術館方面へ歩いていく人が、随分沢山いるのです。そして年齢層が美術鑑賞をするにしては若い。というよりも、子供連れがすごく多い。これは連休中だということがかなり影響していると思えます。けれど子供連れが多かったのは、祝日だからというよりは、何と言っても今回の展覧会テーマによるところが大きかったのではないでしょうか。そうです、その展覧会は「だまし絵展」！　通常の絵画展なんかだと、ほとんどの子どもたちは退屈してしまっているのですが、だまし絵となると、なんだか　“謎解き”　のような　“ゲーム感覚”　がありますから、子どもたちの一生懸命さも見て取れました。当然、私も面白く鑑賞したのですが、あまりの観客の多さに若干辟易としてしまって、いつものようにじっくり鑑賞とは参りませんでした。これは時間をかけて観てみたいとも思っていますので、日を改めてウィークデーにもう一度訪れようと考えています。しかし、アルチンボルトと歌川国芳が200年の時を経て同じ感性で構成した、ダブルイメージの絵画が有る事は知っていましたが、改めて同じ展覧会場で見ると、なにかしら感慨のようなものが有りました。

  2009.09.25

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  やはりきっちりと計算されている…

  　　　　先日、目的を持たずにフラッと街へ出かけた折に、額縁屋さんの前を通りがかった。店の前に沢山の油絵額やデッサン額、ポスター額などがたくさん並べられていました。私がこのお店に入るのは初めてのことでした。チラッと見ると値段がかなり安い。よく見ると　“わけあり品”　だったり、もう既に　“製造打ち切り品”　だったりするのです。この額もその　“わけ有り品”　だったのですが、それがあまり気にならない程度なので、ひときわ安く感じたのでしょう。一方我が家には、藤田嗣治画伯画集のポスターが１枚あって、その絵「カフェにて」を気に入っているものだから、そのままクローゼットの扉に貼ってある。その事を思い出して、きっちりとポスターのサイズ把握しているわけではありませんが、大きさも概ね好い塩梅のようだと思って、その額を１点買いました。そしてサイズを測ると、絵の図柄の天地はぴったりでしたけれど、左右が数センチ額の方が、残念ながら小さい。そしてこの絵の図柄をもう一度検証してみたところ、このたったの左右数センチをカットする部分がないのです。それを無理やり額に入れたのがこの左の写真ですが、やはり随分と窮屈なイメージを持ちます。右下のサインが切れているし、左側はテーブルの上においてあるペンの先部分が切れてしまっている。後方に立っている後姿の人物も空間が窮屈だ。このことひとつを取ってみても、このレベルの画家の描く絵画には、あたり前の事ながら、無駄な物や無駄な空間は何もないのだと、あらためて「画家はきちっと計算ずくで描いているのだ！」と思い知った次第です。絵と額の雰囲気や相性、色味などはなかなか好い感じなのですけれどねー。ちょっと惜しい！

  2009.09.21

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  ４回目の　“ルーブル美術館展”　…

  好きな絵は何回観ても良いものです。東京で１回、京都で観るのが今回で３回目です。「ルーブル美術館展―17世紀ヨーロッパ絵画」。またまたウィークデー水曜日を狙って行きました。ところが現地京都市美術館についてみると、意に反してどうでしょう！　長蛇の列なのです。美術館とざっと１周取り巻いているようなのです、ウィークデーなのに！　おそらく美術館入り口に到達するのに１時間半はかかりそうです。それを見た瞬間　“これはだめだな”　と思い、諦めざるを得ませんでした。幸いにして私はもう３回観ているし、うちの奥さんも２回観ている。繰り返し同じ展覧会を観に行くのは、通例はお目当ての目玉作品を重点的に観に行くということになるのですが、この展覧会ではそれ以外の風景画や静物画などにもよい作品がありましたので、今回はそれを　“じっくりと”　と思っていたわけです。結果、それは適いませんでしたけれど、せめて図録だけでも買っていくか、という事にいたしました。図録を見ていると、もっとしっかりと観ておけばよかったな、と思える作品が随分沢山ありました。特に静物画なんかに良いのがあって、こんなの　“１点我が家に欲しいなー”　なんて夢見ながら…。しかし、その絵を描いた作者の名前を見ると、まったく今まで聞いた事の無い画家です。もちろん私がその名前を知らないだけかもしれませんが、過去に日本にその絵描きさんの名前がまったく紹介されてこなかったという事が大きな理由と思われます。あるいはこのレベルの画家は当時のヨーロッパでは、ごろごろと居ていちいち日本に紹介するまでもなかったのかもしれません。このような大掛かりな展覧会を観る場合は、ポスターになっているような “目玉作品” を観るのも重要ですが、その影に隠れている　“無名の名品”　を探して、じっくり鑑賞するのも楽しみの一つになるのです。　　　　　　　　　　　　　 したがって、作品の数が多い展覧会だと、何度も足を運ぶ事になるのです。

  2009.09.17

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  これはとても怪しいと思う…

  またまたニュースネタが続きますが、とても気になりましたので書きました。＜＜９０年のクウェート侵攻時に盗まれたとみられるピカソの絵をイラク中部ヒッラで発見したと発表した＞＞　というニュースが今朝方に流れました。思わずテレビの前に座りなおして画像を見たのですが、私の直感ではこの作品は極めて怪しいと思いました。いくらピカソ初期の作品といえども、ピカソ特有の真作だけが持つ　“鋭さ”　というか　“重み”　というか　“訴えかけてくるもの（訴求力）”　など、つまり　“力”　がこの作品にはまったく感じられないのです。あのデッサン家としても頂点を究めたピカソのものとするには、この作品はあまりにも魅力に欠けると思えるのですが…。何よりもピカソは、フランソワ・ブーシェの 「ディアナの水浴」からポーズを採って、それをデフォルメやアレンジを加えずに、リアルな表現で模写をするわけがないと思うのです。ＡＰ通信が伝えるには、この絵にはピカソの署名やクウェート国立美術館の刻印があったとしていて、「１０億円程度の価値がある」と話す専門家もいるというのです。真贋（しんがん）のほどは定かではないとしているようですが、その決着は如何相成ります事やら。

  2009.08.28

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  結局、書斎に架けることにした…

  今月の５日から個展を開催している友人がいて、その初日に会場を訪れた事は既に書いた。その時に買った小品の人物画が一昨日に届きました。 我が家には、部屋や廊下のあちこちに　“絵画”　が、かなり点数が架けてある。中には、私やうちの奥さんの絵もあるけれど、ほとんどが私の友人達の絵です。そんな数ある絵画（油絵）に、仲間がまた１点加わった事になります。さて、この絵を何処に飾ろうか？　この絵が着ていた額縁が、通例の額縁よりもかなり個性が強いモノだったので、架けるところは相当に考える必要がある。あれこれ考えた結果、我が家の書庫兼書斎として使っている部屋に架ける事にした。余白スペース的には、少し厳しいけれど（もっとゆとりが欲しいところです）、巧く嵌まったのではないかと思っています。時間とともに、より一層馴染んでくるものと楽しみにしておきます。なお昨日電話をしたら、喜ばしい事にその絵描きさんの今回の個展の結果は、「まずまずの成功だった」と言っておりました。

  2009.08.21

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  朝から堺の三国が丘へ直行した…

  私の出勤先のオフィスは大阪中之島にある。北区だ。通勤も阪急電車ですから、これも北だ。したがって私の日頃の行動エリアは、本屋さんに行くのもＣＤ屋さんに行くのも、外で昼飯を食うとしても、飲み屋へ行くのも、何もかもが大体この周辺近辺という事になる。めったに職場から南方面へいく事がないといっていい。ところが昨日は、勤務先には午後出社という事にして、朝から堺市の三国ヶ丘というところへ出かけました。もちろんこの駅で下車するのは初めてのことです。大学時代の友人が油絵の個展をやっているのです、昨日５日水曜日が初日でした。その友人は、毎年ギャラリーは変るのですが個展の開催を続けている。今回の個展のギャラリーが 三国ヶ丘だということです。こんな事でもないとこの駅に降り立つ事はきっとなかったはずです。梅雨も明けて汗だくになりながらたどり着いたら、何と一番乗りだったみたいで、まだ本人が作品のタイトルカードをセッティングしていて準備中といった感じでした。久しぶりに会ったその友人絵描きさんは、昔と変わりなくとても元気そうで、絵の方も頑張っていて安心をいたしました。今回の個展内容は、以前に彼が描いていた幻想的なものとは打って変わって、今年初頭に訪れたイタリア各地の風景画が中心となっていて、それに加えて彼が得意としていた人物画も６点ほど展示されていた。今回の個展出品作全体を見て、以前の　“頭で描いていた”　絵とは違っていて、何か吹っ切れていたような自然体な印象を持ちました。つまり肩の力が抜けたというか、つき物が落ちたといったような感覚なのです。観る側にはある種の心地よさと、落ち着きを感じさせてくれるようなものでした。彼も既に学校の先生を退職していますから、これから油絵一筋に頑張っていくと思いますし、応援もしていきたいと思っています。そして、何よりも大学時代の何人もの私の友人達が、それぞれに絵を頑張って描いている。その事に大きな刺激をうけた事が、今後のわたしをも、その世界に連れて行ってくれそうな予感がしたことも確かです。久しぶりの再会と互いの健康を祝した。この個展の成功を祈りながら、小品の人物画を１点を購入して、後日の再会を約し会場を後にした。

  2009.08.06

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  実はこの子は男の子だそうだ…

  フランス18世紀に、パリを中心に活躍した静物画で有名な　“シャルダン”　という画家がいる。フルネームは　“ジャン・シメオン・シャルダン”、ロココ時代の画家だ。しかし、この画家は華美なロココ様式よりも、一般庶民の生活臭のする日常的静物画や風俗画を好んで描いてきた。今読んでいる本に、このシャルダンの描いた「食前の祈り」（写真右）という絵についての話が出てくる。(因みにこの絵はいま「ルーブル美術館展」で大阪に来ております）その本は、泰西名画に描かれた人物が着ている衣装と、その時代との関係を解き明かしてくれている。描かれた服装が、当時の時代背景や慣習などを如実に反映しているのだと。この「食前の祈り」には、そこそこ裕福と思える家庭のダイニングキッチンで、母親あるいは家庭教師かも知れない女性と、姉妹と見える子どもが２人、３人の人物が描かれている。テーブルを囲んで、食事前のお祈りというありふれた瞬間を、あたたかい眼差しで捉えて、情愛豊かに描かれているのです。 その本の筆者が言うには、この絵の手前に座っている姉と見える方の子どもは、実は男の子だというのです。そんなこといわれるまでは、何の疑いもなく女の子が二人描かれているのだと思っていた。「19世紀の末頃までは、ある程度以上裕福な家庭では、子供が５～６歳になるまでは、男の子も女の子の服装をさせて育てられていたのです」というのです。また「でも、そうした慣習の由来について、なるほどと得心がいくような明快な答えを出してくれた研究者は、私の知る限りまだいない」ともいっていた。へーそうなんか！　と初めて知りました。したがって、この頃に描かれた幼い子供の性別は、一概には服装だけでは判断できないという事が結論になるようだ。こんな事、この本に触れるまではまったく、思い至るはずもなく、“まだまだ知らない事はいっぱいあるのだなー”　とか、あるいは　“まだまだ知らない事ばっかりだなー”　と思い知らされる事があれこれたくさんありますね！と思っていたら、先日６月23日にこの絵の実物を観ることになったことは、偶然とはいえちょっと驚きでした。ちなみに、この本のタイトルは「ファッションから名画を読む」というもので、著者は服飾史家・深井晃子さん（京都服飾文化研究財団理事・チーフキュレーター）によるものでした。

  2009.07.10

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  同じ時期に二つのルーブル美術館展…

  　期せずして同じ時期になってしまったのだろうか？　あるいは意図的にダブル開催にしたのだろうか？　定かではありませんが…。両展覧会ともに東京開催を終えて、いま関西へ２つの「ルーブル美術館展」がやってきています。そのひとつは、「ルーブル美術館展（美の宮殿の子供たち）」大阪中之島の国立国際美術館で６月２３日（火）から。そしてもうひとつは、「ルーブル美術館展（17世紀ヨーロッパ絵画）」京都岡崎の京都市立美術館で６月３０日（火）から開催というもの。この両方の展覧会ともに、私は初日に鑑賞することになりました。特に、17世紀ヨーロッパ絵画の方は、かなりの混みようになると予想されますので、休みを取って初日に行くことにいたしましたところ、これが大正解！　極めて良好な環境で名画を鑑賞することができました。今後、混むであろうことが予想される展覧会には、できる限り立上り初日の火曜日（美術館・博物館などは通例月曜日が休館日です）に行くことに決めました。ところで、それら両展とも「ルーブル美術館展」というタイトルは同じですが、その内容はまったく違う切り口になっていました。「美の宮殿の子供たち」の方は、ルーブル美術館の「絵画・彫刻・美術工芸・素描版画・古代エジプト美術・古代オリエント美術・古代ギリシャエトルリアローマ美術」の７部門を結集して、　“子ども”　というテーマを通して、異なる文明・時代と対話するといった構成になっていました。一方の「17世紀ヨーロッパ絵画」の方は、既に私は東京展（長時間並び、すごく混んでいた）で一度観ていますが、今回京都でも再度鑑賞することになりました。こちらの内容は、文字通り17世紀ヨーロッパ絵画に絞り、時代の流れを追っていく昔ながらの名作絵画展という趣で、有名作品が何点も展示されておりました。両方の展覧会を観た感想を申しますと、私の個人的好みとしては「17世紀ヨーロッパ絵画」展の方が数段好きでした。それはやはりフェルメールやレンブラント、ラトゥール、ムリーリョなどの傑作絵画主体の構成が、私の目的と合致しているからにほかなりません。でも、「美の宮殿の子供たち」の多くの作品中で、思いがけず「これはちょっと得をした」と感じた作品がありました。それは　“シャルダンの「食前の祈り」”　という絵に出会えたことで、す。この作品は大好きな絵でした。この絵が今回来ていることはまったく知らなかったので、感慨はもひとしおでした。以前から是非一度見てみたいなーと思っていた一枚でしたから…。この絵については書きたい事がありますので、近い内にブログにアップいたします。

  2009.07.03

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  アマチュアの絵描きさんの個展…

  先日のある日、あるアマチュア画家さんの個展案内状が届いていた。その昔、我が家の外が花だらけだった頃のこと。家の外が花だらけだったとは、我が家の奥さん（つまり妻の事）が花作りに凝っていた頃のことです。小さな我が家ですので家の内側ではスペースが無くて、家の敷地の外側で塀に沿ってプランターでの花作りをしていたというわけです。敷地外ですから問題は有ったかもしれませんが、家の前の道路は私道でしたから、お咎めはありませんでした。その頃は１年中、四季折々の花が途切れたことがなく、目を楽しませてくれたわけです。そんな頃に、毎週土曜日とか日曜日に限って、写生用具一式を持った人（男性）がやって来て、花をスケッチさせてくれと言う。見たところとても誠実そうな地味な人で、明らかに “日曜画家” さんである。この人がものすごく熱心で、いつまでも日が暮れて薄暗くなるまでスケッチをしている。いつしかその日曜画家さんと親しくなっていったのですが、ある時この日曜画家さん、生写真を貼り付けた手づくりの個展案内状を持ってきてくれた。　その人は日本画を描いているというのです。当然私も見せてもらう事になったのです。以後、彼は２～３年に一度ずつ定期的に個展を開いていて、今回で私が見せてもらうのも４回目になるわけです。この土曜日に拝見いたしました。今回は日本画が少なくて、水彩画がほとんどでしたが頑張っている。とても頑張っていると思いました。回を追って観る毎に、技術的には上手になっている。画題は風景や花が多いのですが、人柄そのままが画面に現れた予想通りの真面目で誠実に取り組んだ絵だ！これからもこの絵描きさんは、この姿勢を変えずにどんどん継続していく事と思いますし、ますます頑張っていくのだろうと…、大いに応援もしている。でも、今回この絵描きさんの個展を見せてもらって思ったことが一つあります。絵画というものは、表現能力たる技術や情熱を持っている事は当然のことだとは思いますが、加えて重要なものが少なくとももう一つあるなーと感じてしまいました。私がこんなこと言えた立場ではありませんが、それは　“センス！”　私はそう思えてなりません。こちらも頑張らないと…と考えさせられました。帰り際に彼の絵が印刷されている　“一筆箋”　を３種類いただいたので、画像を載せておく。---------- 　上手だ！

  2009.06.15

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  今からちょうど100年くらい前に…

  今から100年と少し前にピカソとブラックは、描く対象物をいろいろな角度から観察し、それを平面上に表現する「キュビスム（立体派）」のという革命的な技法と理論を生み出した。このキュビスムは、後の抽象絵画やコラージュ技法への道も拓いたといえます。また、近代モダン・アートの展開にも決定的な影響を与えました。というような事がリーフレットに書いてありました。西洋絵画史の変遷を見てみると、このキュビスムの出現が、それ以前までの絵画との落差、あるいは変貌といったものが突発的に発生したように見えます。もちろんその以前にセザンヌが存在していて、その流れを汲んでいるのだろうことも読み取れはするのですが…。キュビスム作品が見るものに与えたインパクトが強烈過ぎて、当初の受け入れられない状況は想像に難くありません。私はもとよりピカソは好きだったのですが、それはやはり初期の作品が中心だったのです。　　“青の時代”　を過ぎて　“薔薇色の時代”　辺りまでの作品が精一杯といったところでした。それがこの歳になってようやくというか、キュビスム以降の作品にも魅力を感じるようになってきたのです。ピカソの作品の意味などを語ることは私にはできませんし、するつもりもありませんが、感じる事だけはできるようになってきたのでしょう。ピカソが描こうとしたものは、何かしらぼんやりと分かるような気がするのです。ピカソほど、表現方法の変容が激しかった画家はいないのではないかとも思います。それまでの自分をどんどん打ちやって進化していく。信じられなく豊富なイマジネーションと尽きる事を知らないバイタリティとを兼ね備え、突っ走っていった。彼は91歳で亡くなりますが、100歳を超えて生きていたら、どんな作品を生み出しただろうか、この人に関しては興味が尽きることはありません。ただただ偉大だと思う。兵庫県立美術館で開催中 の「ピカソとクレーの生きた時代展」を見て、そんな事を考えていました。クレーについてはまた日を改めて、ということにしましょう。

  2009.05.09

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  なんと美術愛好家の多いことか…

  おとといから１泊で東京でした。仕事明けの昨日は、朝から流れ解散ということで開放されたので、上野の国立西洋美術館へと歩を進めました。こんな時間に行くと開館までかなり待たされそうだなー、と思いながらゆっくりと行くと、上の公園一帯はもうたくさんの人出でした。ウィークデーだから、こんな時間だとガランとしているのだろうなーと思っていた私は祝日だったのかと錯覚するくらい。そんな風景を見てちょっといやな予感が…。やっぱりそうだった！　もう入り口の門の前にはずいぶんの人が並んでいる。まあ、これも仕方が無いなーと私もその列の最後尾へ連なることになりました。それでも思いのほか早く入れて、中の絵画鑑賞環境もそんなに劣悪ではなかったので、まずは良しとするか…と、目当ての絵をじっくりと観て来たわけです。ありましありました、レンブラント、ラ・トゥール、ルーベンス、プッサン、ベラスケス、ムリーリョ、それから最大のお目当てフェルメール「レースを編む女」です。しっかりと鑑賞してまいりました。小さい、本当に小さな絵。密度はそれに反比例してすごく濃密でありました。さすがです！　この絵に関してはもうひとつ、とっても綺麗な惚れ惚れするような額が付いておりました。それにしてもこういう絵画展で、入館するのに並ぶ事が、昨今とても多くなってきています。そんな時いつも思うことは、日本人には絵画愛好家がなんとたくさんいることなのかしら、とちょっとだけあきれてしまうことも……。とはいえ、朝っぱらから超一級作品の芸術鑑賞とは、なかなか乙なものではありました。ところで、これで私のフェルメール行脚はどれくらいクリアしたのかな？ひょっとしたら半分くらいは超えたかもしれない。一度点検してみようと思う。

  2009.04.24

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• 今回は見送ることにいたしました…

  今日は昨年12月以来４ヶ月ぶりの東京です。この出張は半年に一度で年に２回あるのですが、今回は前回との間隔があまり空かなかったようです。いつもはこの出張の空き時間を見つけて、上野の美術館へと赴いて展覧会を一つか二つ観てくるのが楽しみでした。今、開催中の展覧会では「ルーブル美術館展＝17世紀ヨーロッパ絵画」がなんといってもメインでしょう。レンブラント、ルーベンス、プッサン、ラ・トゥール、ベラスケス、ムリーリョなどの代表的作品が来ていて、大半の作品が日本初公開となっているようです。そんな中でもフェルメールの＜レースを編む女＞が、私にとっては目玉的作品になるでしょう。とても楽しみにしています。しかし今回は、所用の方の時間帯の問題もあって、上野へ行っている時間がなさそうなのです。ただ、６月下旬から同展覧会は京都でも開催されるとの事ですから、今回は京都市美術館で観ることにいたします。近年はこのように重要作品の入っている展覧会は、日本各地（複数個所）を巡回することが少なくなってきています。したがって、わざわざ東京まで出向かなくては観る事ができない事が多くなってきているのです。これは作品を貸し出す側の美術館が、借り受ける側の要望で複数都市を巡回すると、その分貸し出し賃料が大きく跳ね上がる事になっているようです。昔は、貸し出し期間で賃料が決められていたようで、複数個所を巡回することがあまり大きくは考慮されていなかったとの事なのです。そんな話を専門家から聞いた事があります。

  2009.03.31

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• 研究し尽くされていたと思ってた…

  “ルネサンス期の芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチが鳥の飛行する様子を研究したノートの中に、ダビンチの３０代頃の自画像である可能性が高い人物像を発見した”　というニュースに出合った。へーっ、まだそんなものが出てくるのんかー、と思って画像を見ると、なるほど晩年の年老いた有名な自画像と同じ向きの、それも赤チョークで描いたと思われるデッサンであった。発表の通り、おそらくは間違いなくレオナルド本人の手によるものと思われる。これがどうして今頃になっての新発見なのか？　それがよく解からない。写真を見れば、そのノートに絵が描かれているのは、明らかに判別できると思うのだけれど…。このページを過去に開いた事がないわけはないと思うので、観察すれば必ず発見できると思うのだが…？レオナルド・ダ・ヴィンチという天才は、それくらい多くの手稿を残していて、研究がまだそのページまで進んでいなくて、初めてそのページを開いたということなのかしら？　そんなわけないわなー！　なんていうことをいろいろ考えてしまいました。世紀の大発見というわけではないと思いますが、ただでさえ作品の数が少ない人ですから、とりあえずこの発見に拍手をします！

  2009.03.04

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  ３連休連日のお出かけでした…

  チケットをわざわざ持ってきていただきました。一昨日の成人の日に美術館へ、日本で一番大きな団体展を見に出向きました。美術館の周辺で大きな成人式会場があったのでしょう、晴れ着で着飾った新成人の皆さんをとてもたくさん見かけました。それでも今年の新成人の数は過去一番少ないのだそうです。この展覧会のチケットをくれた人は、 この団体展の日本画の絵描きさん、私の友人です。出向いたのは、もちろんこの画家の作品を見るのが第１の目的であることはいうまでもありません。今回も、この絵描きさんのテーマは昨年まで同様、フランスの田舎町風景でした。この画家の作品は回を経るごとに、落ち着きが増してくるように感じられ、安心感とでもいうものが醸し出されてきているように思います。それにしても大きい！　会場へ入っていつも思うこと。この団体展に限らず、ほかの団体展も同様にいつも感じることなのですが、日本画も洋画も作品１点１点がものすごーく大きいのです。何でこれほどにも大きな絵を描かなければいけないのだろうか？絵の内容を見ても、こんなに大きく描く必然性が感じられないものがたくさん見受けられる。大きな画面の必然性があればいいのですけれど、ただ水増しして大きくしただけで大作だとの見方では、あまり意味がないようにも思えるのですが…。したがって図録などの写真で見るほうが、絵そのものの密度が凝縮されて見えるため、実物の大きな絵の前に立つと、いささか残念な思いがすることも、また失望することも数多くあるのです。なお、ここに書きましたコメントは、私の友人の日本画の絵描きさんの絵のことを言っているのではなく、一般論としてという前提であることを申し添えておきます。　くれぐれも念のために！たまたまこの３連休は連日忙しく、神戸・大阪・京都と　“お出かけ”　することとなってしまいました。

  2009.01.14

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• 追伸：フェルメール展を観て、その後…

  もう既に10日以上前になりますが、11月26日にフェルメール展を観に、東京へ出向いたことは書きました。前回は私の目当てであった「小路（こみち）」についてのコメントを書きましたが、今日書くのは今回この展覧会のもうひとつの話題作品である「ヴァージナルの前に座る若い女」という小さな作品についてです。この作品は数少ないフェルメールの中でも、一番最近に真作と認定された絵で、縦25センチ横20センチというはがき３枚分くらいの面積しかない小さなモノ。大型作品のないフェルメール作品の中でいえば、最も小さい方から数えて３番目か４番目の絵だと思います。10年以上の科学調査の結果、真作認定されたあとにロンドン・サザビーズのオークションにかけられ、33億円を超える値段で落札された絵だということなのです。フェルメール絵画の中で唯一の個人蔵となるものです。したがって今回見逃すともう見られる可能性はほとんど無いと言っていい。あれから何度も図録を見返して、どうなのだろうか？　といろいろ思い悩んでいるのです、気持ちが…。といいますのもこの作品、実物を見るまでに印刷物などで見てはいたのですが、真作かどうか私は半信半疑でした。というよりも、むしろ真作が持つニュアンスや匂うような情緒の点に於いてかなり否定的でした。でも実際に実物を見てみると、小さいながらもそれなりのオーラは放っており、私の懸念はかなり薄らぎました、が…。しかし細部を見れば、モデルの顔や腕・手と黄色のショールなどには今でも大きく疑問が残ります。でもフェルメール最晩年の作で、画家の画力が落ちたのだと思えば納得できなくは無い。また、フェルメール作品で背景が明るい壁で何も描かれていない絵は、この「ヴァージナルの前に座る若い女」と代表作の１枚ともいえる「レースを編む女」の２点だけなのです。その出来を考えると、やはりこの絵にはちょっと首を傾げざるを得ないかもしれません。ヴァージナル前面における反射光の描写や、背景のほんのり青みがかった明るい壁の色（ラピスラズリが使われているらしい）などはフェルメールそのものという気がするのですけれど…。なんともグラグラと想いが揺れております。いつまで経ってもミステリアスな絵描きです！

  2008.12.08

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  もうひとつの展覧会…

  めったに来る事のない東京上野で、「フェルメール展」を観てさらにもう１つ展覧会を観たのですが、こちら方の画家は、最近までその存在を知りませんでした。19世紀後半から20世紀初頭にかけての画家だということですが、私の知る限りこれまで日本には全く紹介されてこなかったのではないでしょうか。 ヴィルヘルム・ハンマースホイ。デンマークを代表する画家の一人であり、当然の事ながらご当地ではとても有名な絵描きさんなのだそうです。“アカデミーとは一線を画する活動によって、生前にヨーロッパで高い評価を得ました。その名は、日本ではまだほとんど知られていませんが、北欧の象徴主義美術を代表する最も重要な画家のひとりです”と解説に出ていました。彼の作品は、昨日ブログに書きましたオランダの画家フェルメールに、ある種似通ったテイストがありました。それは“静謐感”というか、音を感じない“静寂感”とでも言うようなものが漂っていましたが、しかしフェルメールには感じられない“虚無感”を強く感じてしまったのは私だけでしょうか。画家の奥さんをモデルにした絵がたくさんありましたが、何故か殆んどが後姿なのです。ほかにも無人の室内の絵や風景画などもたくさんありましたが、どの絵も不思議な謎に満ち満ちているのです。この展覧会はとても興味深く鑑賞いたしました。気が付けば、しばしとっぷりとその世界に取り込まれてしまっていた気がします。昨日書いたフェルメールも素晴らしかったけれど、このハンマースホイにも思わぬ感動をしてしまいました。おそらく、私がこの画家の事を何も知らなかったことで、その感情がより一層増幅されたのかもしれません。---------------------- 世界には、まだまだ日本に紹介されていない作品や画家がたくさんいるのでしょうね。これからも、できるだけたくさんの素晴しい作品と出合いたいものです。

  2008.11.28

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  昨日朝から上野へ…

  「フェルメール展」を観た。すごい事に今回は、彼の真筆とされている全作品の約５分の１に当たる７点もの作品が世界各地から集まって来ていた。彼の生まれたオランダ国内ですら所蔵している総数が７点ですから、東洋の東の果ての日本に７点も集結するのは稀有な事です。そして……展覧会を観て思った事、期待していたとおり“流石っ！”と思わせるものでした。過去に、「画家のアトリエ（絵画芸術の寓意）」や「青いターバンの少女（真珠の耳飾の少女）」など、この人の作品の超１級品を既に観てしまっているから、ひょっとしたら私の期待が裏切られるかもしれない、との懸念は少しだけ持っていた。フェルメール以外の同時代作品も、“デ・ホーホ”はじめみなそれなりに魅力有る作品ばかりだったことも確かでしたが、やはりフェルメールを超えるものではありませんでした。フェルメール作品の中でも、特にこの「小路」は秀逸。彼の作品で２点しかない風景画の内の１点です。この絵が、今回私が一番観たかった絵です。小さな絵なのですが、とても密度が濃い。会場の中でもこの１点が際立っていました。この絵はおそらく、寸法を10倍以上に拡大しても十分に画面を維持できうる程の濃密なものが詰まっているという気がします。こうなると、残り１点の風景画でフェルメールが描いた絵の中でも大きな作品「デルフト眺望」（これも超１級品です）を、是非観てみたいという欲求に駆られてしまいました。それともうひとつ感じた事、日本という国はなんと美術愛好家がたくさんいるのでしょうか。会場に入るのに１時間以上かかってしまいました。ウィークデーなのに！まー、それはそれで良いことなのでしょうけど。

  2008.11.27

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• これを観ると３６分の１５ということになる…

  新たに真作認定されたフェルメールが１点、いま日本に来ている。その作品名は“ヴァージナルの前に座る若い女”、大きさはというと２５ｃｍ×２０センチというとても小さな絵です。その絵が展示されているのは、東京都美術館で開催中の“フェルメール展＝光の天才画家とデルフトの巨匠たち”だ。この展覧会の開催は東京のみで、他の都市での巡回展は無いのです。この過去の画集には掲載されていない作品を見るためには、東京まで出向かなければならない事になるのです。それはそれでそこそこの出費にはなる。でも是非とも観たい！　この作品は個人蔵なので、今回見逃すと二度と観られなくなる可能性が強い。もちろんその絵以外にも、４点もまだ観ていないフェルメールが来ている。この展覧会を観る事によって、私のフェルメール制覇は“３６分の１５”という事になるのです。（まだまだやなー）１２月の半ばまで開催しているので、期間中のどこかで行く事にしようと考えているところです。鑑賞が実現したら、また報告編を書こうと思っていますが、いつになることやら…。

  2008.09.18

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  日本画はなぜサイズが…

  友人に日本画家がいる。一方で大学教授として教鞭を取りながら描き続けてきた。その彼が中心となって５人の日本画家が集まり、文化会館でグループ展が開催されていたので、一昨日の土曜日に訪れて鑑賞させていただいた。５名の作家の作品総数は11点とこじんまりした展観で、友人の彼は３点の作品を出品していた。こじんまりとした展観とは書いたが、実際にはその言葉は当てはまらない。何故かと言うと、その11点の作品のどれもがすごく大きいのですサイズが！友人の彼の作品でいえば、３点とも２メートル四方のスクエアーという大きなもの。会場は広く天井も高いので、現場ではあまり感じないのですが、あの絵を一枚自分のうちに持ってきたと想像するとどうだろう？　とても置き場所がない、というよりまず家の中に入れることができないだろうと思える。------------　 以前から思っていたことですが、国内にいろいろな公募展はたくさんありますが、日本画のジャンルの展覧会はどこもとても大きな絵を描くのです。公募するときのサイズ指定がそうなっているのです。あの大きさのものを描くエネルギーにも驚くが、費用もずいぶんかかることだろうなー…とちょっと下世話なことも感じたりもする。ともあれ友人は、風景画を得意としており、近年の彼の作品は南フランスやイタリアの田舎町を題材に町並みや教会などを取材して作品にしている。取材旅行にはいつもご夫婦で出向くらしくて、絵にもほのかに温かさが感じ取れるものになっている。これからの活躍を期待して応援もしていきたい。同時にそろそろわたしも絵を描き始めようかと考えさせられた。それにしてもあんなに大きな絵、すべての作品が完売してしまうこともないと思いますので、その作品どこに保管するのでしょうか？　そういった大きな保管庫のような部屋がきっとあるのでしょうね！----------------- この作品は彼の２年前の作品です。今回のグループ展の出品作品ではありませんが、好きな作品なので載せておきます。

  2008.06.23

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  ギネスブックにも名を連ねている…

  “パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ・マリーア・デ・ロス・レメディオス・クリスピン・クリスピアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ”ぼんやり画集を眺めていたら、こんなのが出てきました。これが35年前に91歳で亡くなった20世紀の天才画家“パブロ・ピカソ”の正式な名前です(なんだか“寿限無”みたい！）。スペインのマラガ市役所の出生届けにこう記されているのですが、当の本人も覚えきれなくって名乗れなかったようです。結局、最初と最後だけ取ったのですね。彼は名前の長さもさることながら、その作品数も尋常でなく膨大で、かのギネスブックにも最も多作な画家として載っているらしいのです。- -- 調べてみるといろいろ説があるのですが、一般的には絵画作品が13500点、版画10万点、挿絵34000点、彫刻300点（1300点と表記しているものもある）他などとされていますが、正確な数は殆んど調べようがないのです。この数字はざっと荒く見積って、赤ん坊の時からを含めて一日に４点以上の作品を創作してきた計算になります。なんとも驚嘆すべきエネルギーではないですか！

  2008.06.17

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  ハン・ファン・メーヘレンって？…

  オランダ17世紀を代表する絵画の巨匠はレンブラントとフェルメール。何度かブログで取り上げたフェルメールですが、生前は高い評価を得ていたようですが死後は埋もれてしまったみたいで、19世紀も後半に美術史家で画商でもあるトレ・ビュルガーという人物に再評価されるまでの長い間、日の目を見ない状態だったのです。そのトレ・ビュルガーが、当時フェルメール作品と認定していた作品の数は70数点といわれています。 でも現在フェルメール作品は、最大でも36点とされていますから残りの30数点はフェルメールではなく、別人の作ということになりますね。その後の調査研究などで、当初の半分が真作ではないと判断されて現在の数に至っているわけです。さて、時代は20世紀半ばの1945年のこと（ナチス・ドイツ敗戦後）。ナチス・ドイツの国家元帥へルマン・ゲーリングの所有物としてフェルメールの「キリストと悔恨の女」という作品が発見、押収されます。（この作品がそれですが、私にはとてもフェルメールには思えないのですけれど…？）--------------------------------------------- この作品の売買ルートの捜査で、ハン（ス）・ファン・メーヘレンという人物が容疑者として浮かび上がり、オランダの至宝ともいわれるフェルメール作品を、敵国に売り渡した売国行為反逆の罪で逮捕されることになりました。ここからが面白い。このメーヘレン当人が言うには、「敵国にオランダの至宝を売り渡したわけではない、“キリストと悔恨する女（キリストと姦婦）”はフェルメールではなく私が描いた絵だ」と告白するのです。このきっかけから何点ものフェルメール作品と認められてきた絵が、メーヘレンの贋作であることが表面化するのです。その中には、当時オランダでは最高の値段がついてロッテルダムのボイマンス美術館に入った「エマオのキリスト」という作品、これも「自分が描いたのだ」とメーヘレンは言うのです。サー大変です！　一連のメーヘレンフェルメールを絶賛してきた評論家専門家たちは、困惑を隠せずメーヘレンの自白を信じようとはしないで真作説を唱える人も出てくる始末…。結局、法廷は真偽をはっきりさせるため、メーヘレンに衆人環視の中でフェルメール風の絵を実際に描かせることにした。その絵画制作作業を見ていた者のすべてが、メーヘレンの発言内容に嘘がないことを認めることになったのです。これが大スキャンダルの顛末です。でも少し胸のすく想いがするのは私だけでしょうか？なお、ボイマンス美術館は「エマオのキリスト」を、自戒の念も込めてハン・ファン・メーヘレン作として今も展示しているそうです。

  2008.06.09

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  久しぶりに京都岡崎の美術館へ…

  昨日は、京都国立近代美術館で開催中の「ルノワール＋ルノワール展」を観に行きました。ウィークデーなので空いていると思っていましたが、予想に反して意外と混んでいて、やはりルノワール！　根強い人気があるのだなーと再認識。それはまー良いのですが、問題はその展覧会…。　巨匠ピエール＝オーギュスト・ルノワールと息子の映画監督ジャン・ルノワールの映像とのコラボレーションで構成されている。新たな試みの展覧会でしたが、一級品の傑作が来ているわけでもなく、コラボが特に面白かったわけでもない。息子ルノワール監督の映像で、父の絵からの影響やイメージの復元などは見て取れましたが…。パリで３年前に開催された時は、すごい反響だったというコメントを読みましたが、私にとってはほとんど観るべきものはなかったような気がしました。ルノワールの絵画作品としては、小品作品に１、２点良いのがあったくらいです。この展覧会は、鑑賞の仕方を転換して発想を変えないと理解しきれなかったのかも知れませんね！帰りはいつもの通り歩き。すっかり濃くなった緑を満喫しながら、東山沿いを歩いて円山公園まで行き、四条河原町までゆっくりと…、とのんびりした一日でした。

  2008.05.28

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  最近はあまり開催されませんね…

  私の好きな絵画ジャンルに「ラファエル前派」というのがあります。「ラファエル前派」の原語は Pre-Raphaelite Brotherhood 。”ラファエル”とはイタリア・ルネサンスの古典主義の完成者であり、その後のアカデミズムにおいて規範とされたルネサンス三大巨匠の一人”ラファエロ・サンティ”のことを指します。「ラファエロ以前」という言葉には、19世紀のアカデミーにおける美術教育に異を唱える意味があり、彼らはラファエロ以前の芸術、を範としたと言うことになっているが、実際には、ラファエロ以後の絵画の影響も非常におおきかったようです。1848年、ロイヤル・アカデミー付属美術学校の学生であったダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハント、ジョン・エヴァレット・ミレイの３人の画家を核にして結成された。後にメンバーは増えてくるのであるが、これがラファエル前派の立ち上がりメンバーでした。ラファエル前派メンバーに入れない向きもあるようですが、”ジョン・ウイリアム・ウォーターハウス”という描写力の卓越した画家がいました。二時代ほど昔に私が観た展覧会「ラファエル前派とその時代」展で、そのウォーターハウスの「マリアムネ」という作品、かなり大きな作品だった記憶がありますが、この絵がとても好きでした。【作品解説】「マリアムネ」とは、ヘロデ王の10人の妻の中で、マリアムネはヘロデ王が一番愛した妻であった。しかし、ヘロデ王の妹サロメの策略でマリアムネは処刑される羽目になる。このサロメは、ヨハネの首が欲しいと言ったサロメとは別の人物です。ヘロデ王はローマ帝国を後ろ盾にして、ユダヤ民族を支配した。ユダヤの宗教・文化を無視してローマ化を進めたため、ユダヤ人たちからは反感をかっていた。後年は猜疑心に捉われ、人々を次々を処刑していった残忍な王であった。ちなみに、現在、ユダヤの聖地となっている「嘆きの壁」は、紀元70年のエルサレム崩壊時に唯一残ったヘロデの神殿を囲んでいた壁である…、とのこと。調べていたら以上のようなことがわかりました。後に私はこの作品 の模写を描くことになりました。最近は流行らないのでしょうか、このラファエル前派を中心としたビクトリア朝時代の展覧会が全くありませんね。昔は数多く開催されていたと思いますが、少し残念です。

  2008.05.27

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  「液晶絵画」展を観て…

  国立国際美術館で「液晶絵画」展というタイトルの展覧会を開催しているというので、ちょっと興味をそそられ、観に行きました。本当を言えばあまり期待せずに行ったのですが、予想外にとても面白かった。 多くの作品は基本的にはビデオアートなのですが、どれもすごく絵画的なのです。よって、見る前に思っていたよりも気持ちが移入しやすかったように思います。ビデオアートは昔からありましたが、液晶ディスプレイをはじめとする、映像環境の技術革新によってもたらされたクリアな映像の作品群は、確実に進化しているようでした。中でも”あれッ”と興味を持ったのが、70年代初頭から様々な音楽活動をしてきたイギリスのロックミュージシャンで、環境音楽の提唱者かつ開拓者でもある”ブライアン・イーノ”の作品も展示されていて、ちょっと懐かしくて嬉しく思いました。私は古典絵画も好きですが、現代アートにも興味を持って観ています。理解に苦しむような作品もたくさんありますが、そういった作品を見るときは、理解しようとして”脳”を使うのではなく、感覚（五感と第六感）を研ぎ澄まして、その作品がこちらの感性に”訴えかけてくるもの”あるいは”語りかけてくるもの”を鋭敏に掴み取る。そのように観ればニューアートも面白く楽しむ事ができると思っています。もちろん中には、生理的に受け付けない作品があることも確かですが…。40～50年ほど前に一世を風靡していた「ポップアート」も、あの頃とても新鮮でした。”アンディー・ウォーホール””ロイ・リキテンシュタイン””ジャスパー・ジョーンズ”などみんな好きでしたが、とりわけ気に入っていたのが”ロバート・ラウシェンバーグ”。テクニックはよく知りませんが、シルクスクリーンのコラージュで構成されていて”都会的で”現在感”とでもいうような匂いのする作品。 先日５月14日の朝刊に、そのラウシェンバーグの死亡記事が出ていました。享年82歳。ウォーホール、リキテンシュタイン、ラウシェンバーグが亡くなり、ポップアートの名残がどんどん薄れていく気がします。でも、ポップアートというのはもともとそういった刹那的な部分が大きいものですが…。

  2008.05.16

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  私を美術好きにしたきっかけ…

  ４月18日はギュスターヴ・モローの命日です。フランス19世紀末の画家で、他の画家や文学者に大きな影響を与えた、象徴主義の先駆者ギュスターヴ・モローが110年前に72歳で亡くなりました。この人は美術学校の先生をしていた事もあって、幾人もの印象派の巨匠達も彼に学んでいた事があるのです。今から45～6年前だったか、日本で開催された最初の本格的な泰西名画展覧会といえる「フランス美術展（確かこんな名前だったと…）」を見にいった。中学1年生くらいの時ではなかったか？その展覧会で見た絵の中で強烈な印象を受けたのが、クールベの波の絵とこのモローの「一角獣」でした。特にこの「一角獣」に対しては、当然のごとく意味も何もわからずにただただ見ていただけですが、色の鮮やかさと緻密な描き込みに衝撃を受けて虜になった事だけは今でも覚えています。それ以来、私の美術愛好との長いつきあいが始まることになるのです。この「一角獣」とは、後年それも35年ほど経てからもう一度再会する事になるのです。モロー美術館で！　（一昨年にもこの作品日本に来てますが、残念ながらその時は観る事ができませんでした）この美術館はモローが生前、自宅兼アトリエとしていたものが改装されたようで、そんなに大きくはなかったと思います。たしか３階建てと記憶していますが？　内部の壁面がとにかくすごい！　壁面がほとんど見えないくらい何段にも絵が架けられているのです。そのほとんどの絵が画集に載っている 作品で、惜しげもなく無造作に犇きあっているのです。とても贅沢な展示の仕方で、逆に言えばなんだか”有り難味”が薄れるというか、勿体ないというか、同時に不思議な気持ちがしました。作品の前に柵が設置してある訳でもないので、あの「一角獣」を息がかかるくらいの傍で見る事ができました。私が訪れた時はなぜか来場者が異常に少なくて、私を含めて５人くらいだったと思います。あのような贅沢な絵画鑑賞の仕方をしたのは、後にも先にもあの時だけで、至福の時間を過ごした事になります。写真を撮るのもフラッシュ・ストロボさえ作動させなければ撮影ＯＫだし（もちろん係りの人に聞いてからですよ！）、信じられないひと時でした。ただ、今もそうなのかどうかは分かりませんが？

  2008.04.18

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  何かちょっと違う…

  このポスター、寝室のクローゼットの引き戸に貼ってある画集のポスターです。私が藤田嗣治の代表作の中でも一番と思っている「カフェにて」です。毎日このポスターは見ているのですが、展覧会で見た絵とちょっと何か違う感じがする。最初は気にならなかったのだけれど…。２年ほど前に藤田嗣治展が京都国立近代美術館であったのですが、そのときにこの「カフェにて」が２点並べて展示してあったのを見て、同じ主題のバージョン違いがもう１枚あったんだ！　と知りました。ポスターに使われている絵は、そのうちの１枚だと思い込んでいましたが、どうもそうではない。何かニュアンスが違う、それもほんのちょっとだけ雰囲気が違って感じられる。そういうつっかえたような、落ち着きの悪さがつきまとっていたのです。それで調べてみたわけです。するとどういうことでしょう、同じモチーフの「カフェにて」が３枚も出てくるではないですか！ よく観察すると、ポスターになっている作品は、２年前に見た２枚のどちらでもなく、その３枚目がそれだったのです。この３枚の絵、それぞれに違う味わいがあってどの絵も大変魅力的です。レオナール藤田さん、いったい「カフェにて」を何枚描いたのですか？

  2008.04.13

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  やはり全作品を一同に観たい…

  私はフェルメール作品の模写を一枚持っている。その絵は「青いターバンの少女」とか「真珠の耳飾の少女」とも呼ばれているあの絵だ。私の古い友人に凄腕の画家がいる。その絵は彼が自分の勉強のために模写したものだという。当然のごとく出来栄えは非常に良い！この絵がそれ。こんなにゴテゴテした額に入れても絵が全く負けていない。 私はこの模写を人に見せたいやら見せたくないやら、独占していたい気持ちだったりと、この絵には特別な思い入れを持っています。我が家を訪れるいろんな客人がこの絵を見ても、一様に何の反応も示さない。もちろん中には絵画にまったく興味の無い方もいらっしゃるのはよくわかりますが…。不思議に思ってすこし突っ込んで聞いてみると、どうも皆さんこの絵のことを”複製の絵画”だと思い込んでいたようなのです。そこで模写なのだと説明すると、皆さまが仰天される。すこし前に”フェルメール行脚”のことを書きましたが、行脚をせずに一同に全作品32点（あるいは36点）を見られるような場所があればいいなーと以前から考えていました。真作での可能性はありえないわけですから、それはそれ模写作品ばかりの模写美術館という事にはなるのですが…。完璧に近い模写ができるのなら、それもある意味”壮観”といえるのではないでしょうか。それを可能にする絵描きさんはたくさんいらっしゃると思うのですが…。どなたかそれをプロデュースしてくれる人はいませんか？これこそ、”ねごとたわごとひとりごと”の本領発揮ですね。青木敏郎さんという画家がおられます。この絵描きさんも、過去にフェルメール作品の模写を、自分の勉強のために描いておられたことがあるようです。たしか本の装丁と口絵だったと思いますが、「絵画芸術の寓意」と「デルフト眺望」の２点を写真で見ました。私は疑いもせず、本物の絵を装丁に引用されているものと思っていたのですが、後で模写とわかりびっくり、これまた凄いものでした。一度、その模写の実物を見たいものです。フェルメールねた第３弾でした。 青木敏郎氏模写「デルフト眺望」

  2008.04.03

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  奇跡のような出来栄え…

  この絵はフェルメールの「信仰の寓意」という絵です。画題のとおりこの絵には、寓意がいっぱい散りばめられていることでしょう。それはそれで非常に興味がありますが、今日はそのことには触れるつもりはありません。世にはフェルメール愛好家がたくさんいるというのは前回書きました。その愛好家たちのほとんどが、おそらくこの絵に関しては"ウームッ”と唸って、首を傾げるほどではないにしろ、かといって手放しで賞賛もできかねる、といった戸惑いのようなものを感じているのではないでしょうか。抑えようとしても収まらない、なんとも得体の知れない胸騒ぎがするのです。もちろん真作かどうかを疑っているわけではないのです。紛う事なく彼の作家活動晩年にあたる頃の作品だと思います。では、何がそう動揺させるのでしょうか？描かれている人物のポーズが、理由の大半を占めるのではないかと考えています。ほかの作品の静けさ（フェルメール作品には”音”をあまり感じません）とはかけ離れた、なにか芝居がかったようなわざとらしさや、大仰さを感じてしまうからではないでしょうか？ポーズそのものにも寓意が宿されているのかも知れませんが、詳しいことは分かりません。ほかにも納得できないところはあります。例えば、服の襞や布の質感表現、市松模様っぽい床も他の作品とは違って、この絵に関しては少し”ぞんざいさ”を感じてしまいます。フェルメールにしてはいい加減なのです。何か「慣れ」と「技」だけで、惰性のように描き上げられた気がしてなりません。胸に突き刺さる気迫のようなものを感じないのです。ただ、この絵の中で１カ所素晴らしい完成度で、さすが！やっぱり！と思わせるところがあります。それは画中の女性が踏みつけにしている、地球儀と思われる球体のもの。この部分の比類なき仕上がりというか出来栄えには、言葉を失ってしまいます。ひょっとしたらフェルメール、この地球儀を描きたかったのではないでしょうか…？

  2008.03.21

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• いつもこのテーマの絵を見ると…

  絵画鑑賞をする中で不思議に思うことはたくさんある。なんでなんやろー？　私の中で、答えが見つかることもあるし、未解決のままのものもある。だから絵画鑑賞は面白い！　ともいえる。これをテーマにした絵は、どの作者の絵にも同じことが言えるのです。私の知る限り。なぜなのか答えがよく解からないのです。そのテーマは《聖家族》!ジョット、ラファエロ、ミケランジェロなどなど、数多くの画家の絵画テーマになってきた作品たちです。聖家族とは、聖母マリアと幼子キリスト、そしてマリアの夫ヨセフを描いたものなのですが、どの絵にも共通していることがあります。そのことこそが疑問に思っていることです。それは…！ヨセフが不機嫌なのです。つまらなそうなのです。画像はラファエロの「聖家族」（実物を見たわけではない）ですが、このヨセフなんか最大限つまらなさそう。むしろ幼子を恨めしそうに見ている。キリストの仕草も逃げるように見えて反抗的ですらある。非常におおらかで善人としてのイメージの強いヨセフが、どうしてこういう描かれ方をするのか不思議に思っていました。はたまたそれは私の想い過ごしでしょうか？私なりに答えはひとつ持っているのですが、その答えはあまりにも人間くさい理由なので、とても聖家族をテーマにした疑問の正解だとは思えないのです。どなたか教えていただけませんかー？

  2008.03.17

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• なんで東洋的なの？…

  数々の名画でおなじみの「受胎告知」。聖書の中で、その説明は意外なほど少ないそうだ。新約聖書の中で、「受胎告知」を取り上げているのは、４つあるキリスト伝のうちルカ伝とマタイ伝のみらしい。詳しく書いた方のルカ伝でも１ページに満たない量で、マタイ伝たるや、たったの２行ばかりだそうである。あとのマルコ伝・ヨハネ伝にいたっては、エピソードを取り上げてもいないらしい。ある本にそう書いてあった。ことほど左様に大きく取り上げられたわけでもない、にも関わらずこのエピソードはたくさんの画家をインスパイアさせるに十分だったのですね！　数ある名画「受胎告知」の中で、日本人絵画ファンの人気投票をすれば、おそらく上位３位には入ると私が勝手に思っている名画がこれです。シモーネ・マルティーニ作の祭壇画「受胎告知」！なぜなのか考えてみました。そのひとつは金色の背景が、日本の屏風や襖絵の金箔背景を思わせ、なじみ深いものを感じさせて、われわれ日本人には違和感が無い。もうひとつは、マリアの顔立ちがとても東洋的なので、すごく親近感を持ってしまうのだと思うのですが、いかがでしょうか？でも、西洋のそれもイタリアという土壌で、あのような東洋的面立ちのマリアが描かれたのはとても不思議に思います。彼の地の人たちは、この絵のマリアさまをどのように感じているのか、すごく知りたいところではあります。

  2008.03.12

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• 私はまだ36分の１０…

  熱狂的なファンというものはいるものだ。スポーツの話ではない。行脚！　巡礼者のようにゆく行脚。今回のテーマはフェルメール全作品踏破の旅！　フェルメール行脚です。この画家のファンは世界中にたくさんいて、当然日本でも人気のある画家ですから、いっぱい行脚をする人がいるのです。こういった行脚ができる画家はといえば、彼以外にはレオナルドとミケランジェロくらいではないでしょうか。それは作品の数が極端に少ないからです。フェルメールの場合、真作といわれているものは３６作品とも３２作品とも言われていて、これが世界中に散らばっているわけです。彼らはこれを全部見ようとしているのです。私はまだ３分の１にも到達していませんが、今秋にも何点か日本に来るようなので、楽しみにしています。なかなかこちらから出向いて、というわけにも参りませんので…。しかしそんな熱狂的な彼らでも、現在では絶対に見られない作品が１点あるのです。それは、ボストンのイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館が所有していた「合奏」という絵（写真）。１９９０年に盗難にあったまま未解決なのです。そうです、盗難以前に見た人以外は、現在それをこっそりと、地下室かどこか秘密の部屋に隠し持っている人しか見られないわけです。ともあれ、「合奏」が早く見つかり、できるだけたくさん見たいなーとは思っております。※余談ですが、フェルメールの絵は小さい絵が多く、全作品の面積を足してもレンブラントの「夜警」の半分くらいだと聞いたことがあります（本当のところは確認していませんが）。また、フェルメールねた書きますね！ところで私の思いでは、彼の真作は「３２作品」派なのですけど！

  2008.03.07

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