ここも改修されることになるようだ…
古来よりシルクロードを通じて伝来された文物は数限りない。その文物・宝物の最終的到達点の一つは、大和東大寺正倉院といわれてきた。私は東大寺へ行くことがあれば、必ずこの正倉院は訪れている。訪れているとはいっても中へは入れないので、門扉越しに隙間から眺めるだけなのですけれど、その倉の持つ歴史の重みというか、重厚感、存在感、静謐感は数ある寺院建築関連の中でも独特のオーラを放っている気がいたします。大むかしには、この正倉院のぐっと近くまで行けたような気がいたしますが、現在は年に１回正倉院展開催時にしか、そばまで行くことはできません。その正倉院正倉の施設改修工事をしようと目指しているようで、平成23年度予算の概算要求で工事費として3億6,000万円を盛り込むことを決めたという。これが実現すると約１世紀ぶりに改修されることになるのだ。改修するところは主として屋根。少したわんできているようで、傷んだ板材や瓦の交換を、４年の歳月をかけて行う予定。いつから取り掛かるのかは存じませんが、またここも覆いを被ってしまって観ることができなくなります。唐招提寺は解体修理に10年かかりましたし、薬師寺東塔は今年秋からこの先10年かかるらしいし、そして今度は正倉院が4年ほどかかるという。正倉院にまつわる逸話で、こんな話を思い出しました。事実かどうかは不明ですが、こんな事を聞いた事があります。正倉院は高床式校倉造りであることはご存じのとおりで、その高床も相当に背の高いものです。その高床の床板底に“焦げ痕”が付いているというのです。これは江戸末期か明治か大正か昭和の初めか？ 時期は全くわかりませんが、まだ自由に正倉院の傍まで行くことができた頃の事。正倉院のそのものの床下に住み着いた人がいて、そこで暖を摂ろうとしたのか煮炊きをしようとしたのかは定かではありませんが、たき火をしたらしいとのことです。当然そのころの事ですから、正倉院の宝物はそっくりそのまま倉に入った状態だったと想像できます。これはとっても恐ろしいことです。この話を聞いた時、震えがくるくらいにゾッといたしました。 この話、実話かどうかは確かめておりませんが、ありそうな話ではありますなー。
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