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カテゴリ:フィクション
自分は怖い話っていうのが苦手なんですけど、やはり苦手も克服しなければいけないと思います。
嫌いな食べ物を好きになるように子供だけでなくその親も色々な努力をします。 まぁそんな感じで怖い話の載っている本を数 冊図書館で借りてきました。 全然季節感が違いますけど。。。 一冊目を手に取る。 「あくまのぬいぐるみ」という本だ。 中々怖そうなタイトルである。 私は緊張しつつもその本を読み始めた。 ともみちゃんは今日で4歳の誕生日。お父さんから何がもらえるのか楽しみにしていました。 お父さんはプレゼントをともみちゃんに手渡しました。 「ありがとー。なにかなー?」 「ふふふ。なんだろうねー?」 「あ、くまのぬいぐるみ!」 (完) 私にこの上ない衝撃が走った。 なんだこれは。ただのダジャレではないか。 私は憤怒して出版社に電話した。 「はい、緑川書房です」 「あのー、『あくまのぬいぐるみ』っていう本を読んだんですけど、ホラーじゃなくてただのダジャレじゃないですか。こんなの詐欺ですよ!」 「いや~、あくまはあくまであくまですので」 「そんなダジャレで収まると思ってるんですか!?」 「あ、すみませんもう受付終了なので明日また窓口があくまでお待ち下さい」 「え、あ、ちょっと・・・」 切られました。 まぁいい、気を取り直して次の本を読もう。 「きょうふの味噌汁」。生活味の溢れるタイトルだ。 読んでみた。 まさお君はお母さんの作るお味噌汁が大好き! 今日も学校から帰ってくるなりお母さんに尋ねます。 「お母さん今日のお味噌汁はなーに?」 「今日、フの味噌汁よ」 (完) 突っ込まずにはいられなかった。 おい、ちょっと待て、と。 私は再び受話器を手に取り出版社に電話した。 「はい、緑川書房です。」 「また御宅ですか。さっき『きょうふの味噌汁』っていう本を読んだんですけどまたダジャレだったんですけど!」 「フに落ちませんか。」 「だからそんなダジャレで収まると思ってるんですか!?」 「すみませんちょっとこっちきょうふうが吹いてるので失礼します」 「え、あ、ちょっと・・」 またも切られました。 まぁいい。まだまだ本はある。私は次の本を手に取った。 「学校のかいだん」という本だ。 なんとなくオチは分かるがとりあえず読んでみた。 学校には必ずあるものがある。 それには手すりや滑り止めが付いており、人はそれを使って上階に行く。 人はそれを「学校の階段」と呼ぶ。 (完) 予想通りすぎて逆に腹が立った。 私は再度出版社に電話をした。 「はい、緑川書房です。」 「またですか。さっき『学校のかいだん』っていう本を読んだんですけどまた何か上階に行く階段とかいうつまらないオチだったんですけど。」 「上階に行くだけの階段など下らないと。」 「だからそんなダジャレで収まると思ってるんですか!?」 「すみません私今から他社の者とかいだんがありますので失礼します」 「え、あ、ちょっと・・」 またも切られました。 しょうがない。 私は最後の4冊目を手に取った。 「じごくにおちる」という本だ。 なんか平仮名ばかりなのが非常に怪しいが、読んでみた。 柔道家の原田邦雄は、世界でも右に出るものは無いほどの強さを持っていて、一度も負けた事が無かった。 そんなあるとき、彼は練習中に不慮の事故から足を痛めてしまった。 リハビリを何度もしたが、その傷が癒える前に世界大会が始まってしまった。 そして試合がスタート。 足を痛めている彼は勝てるはずもなく、人生で初の敗北を味わうことになってしまった。 つまり、事後邦雄散る、ということだ。 (完) 無理やりすぎる。。。 これを考えたやつは間違いなくアホですね。 憤怒を通り越しあきれた私は再び出版社に電話をかけた。 「はい、緑川書房です。」 「あのさっき『じごくにおちる』っていう本を読んだんですけどまたしょうもないダジャレだったんですけど。」 「見事にオチましたでしょう。」 「だからそんなダジャレで収まると思ってるんですか!?」 「すみませんもう受付終了のじごくなので失礼します」 「え、あ、ちょっと・・」 最後まで無理のある終わり方でした。 まぁ別に怖いものに耐性をつける必要はないかな、とも思えてきました。 そして私が本を片付けようとすると、急に背筋がゾクッとしました。 なんだこれは、、と思いふりかえるとそこには私の母親が立っていました。 「なんだオカンか。。。」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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