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頭の中のふわふわしたもの

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2009年01月06日
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カテゴリ:フィクション
「そろそろお前も友達というものを作らなくてはいけない時期になった」

父上は言った。

「しかしながらお前は勉学においては素晴らしい才能を持っている。私は安心してお前を下界へ送ることができよう」

私はすこし照れくさかった。

物心が付いた頃から今まで私は一度も外に出たことがなかった。
父上の厳しい英才教育の元、私はひたすら勉学に励んだ。

そして12歳、下界で言えば中学一年生を迎えるこの季節に、私は下界の中学校に通うことになった。

父上は言った。

「我が一族の恥とならぬように振舞うのだぞ。クラスではいつもトップの成績を取り、知らないことなど一切あってはならん」

「勿論です。父上」

私はこれまで人と接することが一切なかったが、私の中は自信に溢れていた。
この12年間の努力がその根源だった。


かくして私は中学に入学した。


始業式の日。

隣の席の男子が気さくに声をかけてきた。

「俺相田っていうんだ。」

「私は梶原。」

「梶原君ね。よろしく。」

彼はおもむろに右手を差し出した。

なんだこれは。何かを求めるサインか?
手を立てていることから見ると何か薄いものを求めている・・・?
今のやりとりで求められる薄いもの・・・?
・・・名刺か!

しかし生憎私は名刺を持っていなかった。
というのも、会社に入るまでは名刺を作る必要はない、と父上に言われたからだ。

「ごめん。ちょっと、まだ・・・」

私が答えると、彼は少し残念そうに

「・・・そっか。いきなりは変だよな。まぁまたいつかでいいや」

彼は名刺を持っていたのだろうか。
もしかすると持っていないのは私だけなのでは・・・?

そんな考えが頭をよぎった時、ホームルームが始まった。

「えー、みなさん入学おめでとう。担任の伊藤と言います。一時間目はホームルームってことで色々やってこうと思うけど、とりあえずまずは面識を深めるために班の中で色々話し合ってみて。」

私は先ほどの相田君を含む6人構成のグループの一員として話し合いに参加した。

とりあえず一人ずつ名乗ったあと、順番に質問をしあうことになった。

「んじゃ梶原から時計回りに答えてくって感じで」

誕生日は?とか家から学校までどれくらい?とか他愛もない質問を交わした。

前にいた男子が質問した。

「皆漫画とか好き?何冊ぐらいもってる?」

マンガ?なんだそれは。冊というからには本の類であることは間違いないようだ。
一般的には何冊ぐらいなんだ。
うーん、分からん。。


「まぁ、ぼちぼちかな」

苦肉の策だった。


「へー、俺は30冊ぐらいかな」

「おれは50冊ぐらいかなぁ」

「お前結構持ってんなぁ」


なんとか切り抜けられたようだ。

さらにバレないように

「私もさすがにそんなに持ってないなぁ」

などと同調してみた。


「あれ知ってる?涼宮ハルヒの憂鬱ってマンガ」

「あー知ってるー。」

私も怪しまれぬよう便乗して

「知ってるー。」

などと言ってみる。

「一番好きなキャラ何?」


地雷を踏んでしまった気分だった。

キャラって何?
涼宮ハルヒの憂鬱って何?
語感から察するに涼宮ハルヒというのは人物名であろう。
憂鬱は気分のことで間違いないだろう。
ある人物が憂鬱になるようなもの。
考えてみよう。なぜ特定の人物でなければならなかったのか。
きっとハルヒという人物がとてつもないポジティブな人間であって、憂鬱になることなどない人間だったんだ。
そんな性格な人でさえも憂鬱にしてしまう本、ということか?
ん?性格・・・?
もしかしてキャラはキャラクターの略か?
とするとつまり性格とか性質という意味だ。
つまり好きな性格、好きなタイプを聞こうとしているのか。
じゃぁ、、、

私は意を決して発言した。

「やっぱ物静かな感じの・・・」

「あぁ長門派?意外~」

「そうナガト!」

ここぞとばかりに強調しておいた。
長門?なにそれ?
でもまぁなんとか切り抜けられたぞ。


そして先生が終了の合図を出す。

「んじゃ班長だけ決めてー」


班長。つまり班の長である。
常にトップに立たねばならぬ私には無くはならない地位だ。

私が立候補しようとする前に、相田が早口で指揮を取った。

「立候補とかいないっしょ?じゃんけんでいいよね。」

班員も皆うなずく。
私もつられてうなずく。

じゃんけんって何だ?
分からないが勝負事なのだろう。
これに勝たねば長となる資格がない。
幸い見渡した所私に勝るような切れ者はいない。
ルールさえ慎重に見極めれば負けることは無いはずだ・・・!

相田が勝気に言う。

「んじゃ俺パー出すから」

パー!?
なんだそれ?
出すって何?
何かを出して、その優劣を競うものってこと?
出す時の美しさを競うのか、それとも飛距離を競うものなのか?

私が熟考していると、班員たちが相田に言う。

「それ言っちゃダメだろー」
「絶対パー出さないっしょ」

私は更に混乱した。

言ってはいけない、ということは相田の発言にルール違反があったということ。
発言と空気から考えて、ネタバレ的要素が含まれていたと考えられる。
つまり「パー」か「出す」のどちらかに重点が置かれたゲームであるということだ。
雰囲気から考えて「パー」が重要視されているに違いない。
つまり「パー」と呼ばれるもの等のいくらかの定型化されたものの中から一つを選び、その中で優劣を競うゲームである可能性が高い。
とりあえず「パー」の実態が明らかになればこの場は逃れることができる。

私は考えた末、皆に提案した。

「練習で一回やろう」

「そうだな。なんか怖いしな」

なんとかなった。これでルールを把握すれば勝つ確率は非常に上がる。
しかし相田は私に更なる絶望を与えた。

「んじゃ最初はグーな」

最初はグー!?
まてまて、冷静になれ。
「グー」は語感的に「パー」の類であることが予想される。
つまり最初の手は皆グーを出さなければいけないルールであるということだ。
まずは「グー」の優劣によって勝者を絞り、続いて「パー」、ということもあり得る。
とにかく「グー」の正体を掴まないことにはゲームをはじめる事はできない。。

考えている間に相田は元気に言い放った。

「さーいしょーはグー!」

皆が拳を前に突き出した。
私も慌てて前に突き出す。

「おい梶原後出しすんなよー」

「ごめん。急にはじめるからさぁ」

「分かった。じゃもう一回な」


危なかった。
しかしこれで「グー」の正体と、「出す」の意味が分かった。
グーは拳のことだったのだ。
また、同時に出すことが重要であることが分かった。
大分進歩した。
あとは「パー」の正体だ。


「じゃ行くよ。さーいしょーはグー!」

今度はキチンと皆が同時に拳を突き出した。
するとすぐに皆は手を引っ込め、私もすかさず手を引っ込めた。
続いて相田が掛け声をかける。

「じゃーんけーんポン!」

皆がまた手を出そうとしていたので、私もとっさに先ほどの「グー」を出した。

どうやら「じゃんけんぽん」というのが号令のようだ。
同時に出すことが重点に置かれたゲームであれば、号令が必要なのはうなずける。
周りを見ると、様々な形をした手が見受けられる。
「グー」も含めると3種類に分類される。
一つは手を開いた形であり、もう一つは人差し指と中指のみを突き出した形である。
先ほどの「グー」を出している人もいるから、どうやらこれらが「グー」だの「パー」だのと呼ばれるもののようだ。
つまり手の形に愛称をつけていたというのが真相だ。
手を出したのは私を除いて5名であるから油断はできない。他に手の形があるかもしれない。

皆がまた手を引っ込め、相田がまた掛け声をかけた。

「あーいこーでショ!」

皆が再び手を出した。
私は相変わらず「グー」であったが、周りを見るとさっきと違う形を出している人もいた。
どうやら一回戦では勝敗がつかず、二度目を出すことになっていたようだ。
更に、皆が出した手からどうやら手の形は3種類のみである可能性が濃くなった。
3種類の勝負で思い出されるのは三すくみである。
あのヘビとカエルとナメクジのやつだ。
あれが応用されているのではないだろうか。

相田が周りをチラチラ見て、

「川崎と井上が勝ちだな」

どうやら「グー」は手を広げた形に弱いようだ。
これで全貌が明らかになった。
三すくみの要領でいけば「グー」は二本指に勝てるということになる。

つまり必勝法としては、出す瞬間に誰かが指を立てようとしていなければ、私は手のひらを見せる形を出せばよく、そうでなければ、私は二本指の形を出せば負けることは無い。

つまり集中力と反射能力を問われるゲームである。
そこをいうと私はスパルタで鍛えられているので問題は無いだろう。

案の定私が一位を取ることができた。
12年培った能力をフルに生かしてこの危機を脱したのだった。

すると相田が言い放った。

「んじゃ負けた飯田が班長な」

「え・・・」

私は目の前が真っ暗になった。





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最終更新日  2009年01月07日 03時04分32秒
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