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カテゴリ:フィクション
私は再び振り返った。
するとそこには少年が立っていた。 5,6歳ぐらいであろうか。少しうつむいているので表情は読み取ることができない。 しかし彼は何とも言えない不気味な笑みを作っていた。 私は一連の不可解な出来事に頭がついていかず、ただ立ち尽くすしかなかった。 彼は再び私の名を呼んだ。その姿からは想像できないほど低く小さい声で。 そして彼は後ろを向き、走り出した。 彼は門を出ると、左に曲がり、すぐに私の視界からいなくなった。 私は何が何だか分からなかったが、考えるよりも先に足が動いていた。 追いかけなくちゃ。 私が何故そう直感したかは分からない。 彼の不気味な呼びかけが、私をそうさせたのかもしれない。 しかし私はその行動が最善だと確信していた。 私は門を出て左に曲がった。 すると突然、逃げ出したくなるような感覚に襲われた。 この世の終わりを想像させるほどの莫大な負のオーラを感じとったのだ。 それは、確かな思いでここに来たはずの私を、一瞬で後悔させるほどのものであった。 20メートルほど先に少年は立っていた。 少年の隣に、そのマイナスオーラの根源があった。 それは お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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