「語りえぬものについては、沈黙せねばならない。」
1. 世界は成立していることがらの総体である。2. 成立していることがら、すなわち事実とは、諸事態の成立である。3. 事実の論理像が思考である。4. 思考とは有意味な命題である。5. 命題は要素命題の真理関数である。 (要素命題は自分自身の真理関数である。)6. 真理関数の一般形式は[Ρ,ξ,Ν(ξ)]である。 これは命題の一般形式である。6.4311 死は人生のできごとではない。ひとは死を体験しない。6.432 世界がいかにあるかは、より高い次元からすれば完全にどうでもよいことでしかない。神は世界のうちには姿を現しはしない。6.44 神秘とは、世界がいかにあるかではなく、世界があるというそのことである。6.54 私を理解する人は、私の命題を通り抜けーその上に立ちーそれを乗り越え、最後にそれがナンセンスであると気づく。そのようにして私の諸命題は解明を行なう。(いわば、梯子をのぼりきった者は、梯子を投げ棄てねばならない。) 私の諸命題を葬りさること。そのとき世界を正しく見るだろう。7. 語りえぬものについては、沈黙せねばならない。 ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』(野矢茂樹 訳 岩波文庫版)よりひとは沈黙のうちに「それ」をひきうける、そうして生きる。各位はそれぞれの生を「生きよ!」と「論考」の著者は云うのだった。そうして、「語りえぬものについては、沈黙せねばならない」。■拙著 「ナイチンゲール・カンパニー」 を最後まで読まれた方にささげる。続編(第3部9章から13章予定)は、この「沈黙」のなかからはじまります。