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カテゴリ:ことば
高校、予備校、そして大学の先生、誰に聞いても
「最近の学生の英語のレベルは下がっている」 というのは、共通した認識だと思います。 悲しいことに、新指導要領の施行によって、語彙、文法、作文、 すべてにわたって落ちているという感じがします。 わたしが担当する予備校の高校クラスには、私立2校、公立3校の 生徒がいます。 そのうち受験校である私立1校は、以前と変わらない教科書と 授業を続けているので、実力はほとんど変化ないでしょう。 一方、公立高校は明らかに実力が下がっているので、格差は 激しく拡大しました。 公立のうち1校は、さすがにこのままではいけないと考えたの でしょう、去年から宿題や補習を増やして(それも、ちょっと 極端なくらいなのが問題ですが)、なんとか以前の実力に戻そうと 躍起になっているのが手に取るようにわかります。 英単語のメルマガを発行しているので、語彙がどのくらい減って いるのか調べていました。 生徒たちの「使える」語彙数は、格段に減っているのが明らか なので、教科書の語彙数が減っているに違いないと確信していた からです。 文部科学省が定めた「最低語彙数」は、確かに少し減っています。 ところが、実際に教科書に出てくる単語については、むしろ 増えているというデータがあったのです。正直驚きました。 これは、新指導要領の「生活に密着した英語」「広い話題を扱う」 という観点から、読解テキストの扱う話題が広くなったということ でしょう。 じゃあ、語彙力がアップしたかというと、全くその反対なんですね。 なぜそうなるか。 ひとつの単語を理解し、覚え、使えるようになるためには、反復が 不可欠です。 ここで、「反復」という言葉が誤解されることが多いのですが、 これはひとつの単語を10回唱えるとか、100回書くとか、 そういうことではありません。 Lesson1で出てきた単語が、別の状況でLesson3に出てくる。 Lesson5の書き換え問題に出てくる、作文演習にでてくる、 そういうことが本当に意味のある「反復」ですよね。 下の参考文献によると、教科書に出てくる英単語の反復回数 (全ての単語の平均)は、このように変わってきたとのこと。 1980年代 中学3年間 8.4 高校3年間 15.7 1990年代 中学3年間 8.4 高校3年間 10.5 2000年代 中学3年間 7.1 高校3年間 9.1 教科書だけの単純平均ですから、これだけで結論は出せません。 それにしても、極端な減り方ではないですか! なんとかしなくちゃ! でも、どうしたらいいの!??? 【参考資料】 [PDF] 学習指導要領の改訂に伴う学校英語教科書語彙の時代的変化 -1980 年代から現在まで- http://www5d.biglobe.ne.jp/~chujo/data/let2004.pdf お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年01月11日 07時54分16秒
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