今季のドラマ初回感想「ブスの瞳に恋してる」
本ブログにおいて、季節ごとの連続TVドラマに関するコメントも定番となった感があるが、大方にとってはどうでもいいことだろう。そして初回の感想については深く突っ込まず、全部まとめて記述していたものであるがこれもどうでもいいことだろう。従って今回は、先日スタートした「ブスの瞳に恋してる」についてのみ言及するものである。私は芸人としての森三中をあまり評価していなかった。理由は色々あるが、特に生理的に受け付けなかったのはそのネタがあまりに下品であった為である。ライブで観たことは無いので何ともいえないが、深夜枠でも放送を憚るような内容は、笑いどころか不快感しか得ることはなかったものである。私の中での”芸人”森三中は、完全に「ヨゴレ」の部類にカテゴライズされて認識されていた。つまり決して王道たりえない存在。一般に知られることのない存在であろうということである。ところが私の予想に反して彼女らは頻繁にTVで見かけるようになった。あろうことか一般への認知度を計る指針とも言える「笑っていいとも!」のレギュラー出演も果たしている。以前ネットで見かけた記事に、彼女らのギャラが異常に安いことから露出が増えた、みたいな内容のものがあったが、真偽の程は定かではない。そして一般への認知度が高まると共に、と言うかそれ以前から、私が初期の頃に見かけたような下品な下ネタは封印されていったようである。当然と言えば当然だが、それによって生理的な拒否反応は大分薄れ、本来の毒のようなものは影をひそめることとなる。同じような芸人を挙げると、レイザーラモンHGにもこの傾向が見られる。これが芸人にとって良いことなのかどうかは今の時点で私に判断できるようなことではない。しかし彼女(村上知子)はとんでもない快挙を成し遂げる。それが本作「ブスの瞳に恋してる」の主役抜擢である。タイトルが示すように本作は明らかにキワモノであり、王道の恋愛ドラマの趣きとは大きく異なるものであるが、それでも連ドラの主演である。これはもう前代未聞と言ってもいいだろう。原作は同じく森三中の大島美幸のダンナ、構成作家の鈴木おさむ氏が自身の結婚にまつわるエピソードをまとめたものである。原作は未見なのだが、ドラマ化にあたり大きく改変されている事実がある。それはブスの相手役(つまり著者)が、イケメンの構成作家という設定である。ドラマのコントラストとして、ブスにブ男の組み合わせではきついというのも理解できなくはないので、本人(著者)の発案によるものでなければ許せる変更であると言えよう。ドラマの舞台はTV番組の制作現場。主人公、山口おさむは売れっ子のバラエティ番組構成作家であるが、最近の自身の仕事に対して何となく情熱を無くしかけている。ところへ自分以外の存在になりたいという意思でもって女優を目指しているヒロイン太田美幸と出会い、かつての自分が持っていた”オモシロ魂”を取り戻すのだが・・・いみじくも劇中で述べている通り「ブスは笑えない」というのは事実である。少し違うか、「笑えるブスは非常に少ない」方が正しいかも知れない。これには全く同感で、顔がブサイクというのは男の芸人にとって持って生まれた武器になり得ても、女の場合はそうではないケースが多い。これも言葉で表すのは難しいが、リアルにブサイクな女がTV画面に映った場合、観ている側は一瞬反応に困るのである。芸人ならば当然これを笑いに繋げるのであるが、ブサイクなことと笑えることというのは全く次元の異なる話であり、同義となりにくいと言えるのではないか。つまり、本当にブサイクな女性に対して笑うという行為自体がためらわれるというか、何となく後ろめたい気になってしまうものである。或いは底抜けの不快感か。面白いという感情の前にこれが出てしまうともうダメで、以後その芸人が何をやっても言っても面白いと感じられなくなってしまう。そう考えれば、森三中を始めコンスタントにTVに出ている女芸人に共通するのは、いずれも美人とは言えないが、思わず目を背けるほどの容姿の者は誰もいないということである。ブサイクというキーワードを笑いに昇華するには、当人が本当のブサイクであっては成り立たないとも言える。ややこしいが。話は変わるが、ナインティナインの人気バラエティ番組、「めちゃイケ」にレギュラー出演している光浦靖子の相方(名前失念)がこんなことを言っていたのが印象的であった。「お前は笑えないブスだ」とプロデューサーに言われたことがある云々~その発言が妙に納得できて記憶しているものである。そういう意味で、同じ森三中の村上知子のキャスティングはこれ以上ないハマリ役と言える。ココリコミラクルタイプのレギュラー出演で、コンスタントにミニドラマに出演していた実績も買われたのかも知れない。イケメン&美人が一同に会している舞台ばかりのドラマにおいて、彼女の出演は比類のないくらい設定にリアリティを持たすばかりか、ブス故のつらい過去や経験のモノローグが非常な説得力を持って視聴者に迫るのである。そこにある哀しみに視聴者は共感する。何故なら視聴者の多くがブサイクとまではいかなくとも非イケメン、非美人であるからである。TVという虚構の世界の住人が現実に存在しない人間であるということは無論ないが、一般人の日常生活において芸能人並みの容姿を持った人間とそうでない人間との比率は、圧倒的に後者が前者を上回るものである。一般人の多くはその現実と虚構の差異に折り合いをつけているものであるが、稀にそれができない人が不幸な日常生活を強いられることとなる。そういう意味でこのドラマは中身以前に企画の勝利と言えるのではないだろうか。初回について、山口おさむが太田美幸に場違いな格好をさせて笑いをとる件はちょっといただけないかな、と。下手をすれば主人公への共感を失ってしまいかねる演出で、恋に至る前に彼女を傷つける必要があったとしても、もう少しやり方があったのではないか。劇中のセリフではないが、笑いのセンスとしては確かに最低である。初回拡大版とは言え、上記の演出に伴う”泣き”の演出が短時間に複数続くのも若干やり過ぎの感がある。結末の幸福をより際立たせる為に”泣き”は不可欠であるが、過剰だと引いてしまう可能性がある。基本はコメディの線を崩さず、ここぞ、という場面にとっておいたほうがいい。安易に展開にメリハリがつけられるが故に多用したい気持ちはわからんではないですがね。伏線としてバイト先の同僚がほのかにヒロインに想いを寄せている・・・風な普通の恋愛ドラマにありがちな設定も本作において必要かどうかは微妙だ。イケメンが二人、ブサイクに恋をするという展開では逆の意味でリアリティが損なわれると思われる。あと、やや登場人物が多くてまとまりがない印象も受けた。これですべてなら許容範囲であるが、新たな登場人物が増えるのならば要注意である。すごい細かい部分だが、ヒロインのバイト先のラーメン屋において、カウンター奥のブスの日めくり格言の文言(ブスも美人もレントゲンをとれば同じ云々)が非常にツボにはまってしまったwいやに長い感想となってしまったw中身も見終わらない内に言うのも何だが、この企画を通したことに素直に賞賛を送りたい。いずれにしても楽しみなドラマである。それにしてもエビちゃんはやっぱり反則級に可愛いなw何処をどう転んでもエビちゃんか村上知子かならば答えは出ている気もするがw