ヒックちゃんについての日本語の記事発見!
去年の秋にソウルに旅行した時に、猫専門書店「シュレーディンガー」に行き、そこでインスタで人気の済州島に住むヒックちゃんの本を購入(その時の記事はこちら)。
そのヒックちゃんの、日本語の記事を発見‼️
ヒックちゃんの人気も、ついにインターナショナル👍👍👍
勢いに任せて買ったものの、、、まだまだ私のレベルでは読みこなせるはずもなく、本棚に。。。
もっともっと頑張って、いつの日か読み終えてみせますよ(鼻息フンガー)
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捨て猫「ヒック」が韓国でいちばん有名な猫になるまで(文春オンライン4/20/2018)
真っ白でもふもふした毛並み、すこーし太めのボディ、揺らすとぶんぶんという音が聞こえるようなりっぱなしっぽ。
韓国で今、いちばん有名な猫「ヒック」の話だ。
インスタグラムで12万人のフォロワーを持つ人気スター。野良出身で、推定、3人の獣医から3歳、5歳、7歳といわれたが、共に暮らし始めた年から数えて4年目。名前は、「色白美人(美男)」からつけられた。
韓国で静かなロングセラーに
韓国で今、静かなロングセラーになっているのが、このヒックと著者の暮らしぶりが書かれたエッセイ集『ヒックの家』だ。
昨年10月に出版されると、初刷りの3000部は4日で売り切れた。ネット販売を主流とした本では異例の大ヒットだった。
版元の「ヤオンソガ」のコ・ギョンウォン代表が言う。
「うちのような一人で切り盛りする出版社ですと、初刷りはせいぜい1000部くらい。『ヒックの家』は出版を記念したイベントも開催していこうと企画していたので多めに刷ったんですが、まさかこんなにあっという間に売れるとは思ってもいなくて、慌てました(苦笑)。急いで、次の2刷りも3000部印刷したら、今度は2日間で売れてしまいまして、その後は、増刷を5回重ねて、1万5000冊ほどが売れています」
猫人気が目立つようになってきた
韓国ではここ10年くらいの間にペットブームの波がゆっくりと来ていて、最近ではペットを飼うのではなく、「伴侶犬」「伴侶猫」と呼ばれて、「共に暮す家族」という概念に変わった。かつては犬の人気が猫のそれを圧倒していたが、昨年頃から猫人気が目立つようになった。
わが家の柴犬が通う近所の動物病院の獣医に聞くと、
「昨年初めくらいから、猫を連れてくる飼い主さんがぐんと増えた。感覚だと、犬7:猫3だったのが、今は犬4:猫6くらい。飼い主さんは20代~30代の女性がほとんどかな」
と言う。時折立ち寄る書店でも昨年あたりからは猫本が目を引くようになり、大型書店の調べでは、昨年の猫関連本の部数は、前年比で17倍にも増えたという。
猫をテーマにした出版社を立ち上げた
14年間、雑誌の記者をしていたコ代表自身も猫エッセイストだ。2006年に偶然、保護猫を育てることになり、以来、どっぷり猫に魅せられ、2年前にはまた別の保護猫も迎えた。初めてのエッセイは、取材しながら歩いた街で知り合った猫を巡る話で、2007年に出版した『私は猫に耽溺する』だ。
「行く先々で撮った猫の写真と、その猫たちにご飯をあげる人、救助する人、獣医、里親さんのインタビューなどでまとめました。2000年に入って広がり始めたブログではその頃から猫の人気はあって、今に始まったことではありません。ただ、見えづらかっただけ。
私の本も1万部ほど売れました。私が本を出してしばらくしてから、2009年頃からか、一人暮らしが増える中で、散歩も必要のない猫の人気が目に見えるようになってきて、大手出版社も猫市場に参入して関連本も増えてきました。でも、どう育てるのかのような実用本ばかりで、もっとたくさん猫と人との関わりについて伝えたい、伝えるべきことがあるのにと歯がゆい思いが積もり積もって(笑)、昨年、猫をテーマにした出版社を一人で立ち上げました」
社名の「ヤオン」は韓国語で猫の鳴き声で、「ソガ」は書家。猫に関連する本だけを出版する猫専門出版社だ。『ヒックの家』はヤオンソガ社の第一作だった。
韓国では飼い主のことを「執事」と呼ぶ
ヒックは済州島でゲストハウスを営む“執事”と共に暮している。韓国では飼い主ではなく執事と呼ぶことが多い。
犬でも猫でも飼い主どうしは、その名前にママ、パパや母さん、父さんなどの呼称をつけて呼んだりするが、著者は自身を「ヒックのとーちゃん」と名乗っていて、その理由を著書でこう語っている。
「自分一人の身も守っていくのも苛酷な世界でひとり、子猫を育てる母猫を見たら、母親という言葉がとても大事に感じられた。母親という呼び方だけはヒックを生んでくれた本当の母親のために残しておきたかった」(『ヒックの家』)
ちなみに著者は30代の女性だ。
ヒックの趣味は、もっぱら「とーちゃん」を観察することだという。
「とーちゃん」は幼い頃から平凡で、人より一歩後れるタイプ。最初に入った大学は馴染めずに他の大学に入りなおし、なんとか卒業はしたが就職は決まらない。夢はなかった。それでも「済州島で暮してみたい」という思いはあって、旅で知り合った人が住む済州島へリュックひとつで旅に出る。現地のゲストハウスで2年ほどスタッフとして働いた時に出合ったのが「ヒック」だった。
保護猫だったヒックが幸せになっていく
「本を出す前から、ヒックはすでにインスタグラムで10万人ほどのフォロワーがいた“スター猫”でした。写真のヒックはとても愛らしくて、お茶目で、写真と一緒に添えられたコメントがまた秀逸で。保護猫ということも知って、何らかの形で本にしたいと思ってすぐに著者と連絡をとり済州島に飛びました。
著者と話をしながら、保護猫だったヒックが幸せになっていく過程と、そのヒックと関わることで癒やされながら著者が少しずつ変わっていく、成長していく、そんな暮らしぶりが心に沁みて、ヒックと著者との出会いから今までの暮らしぶりを綴る形にしました。
読者からのコメントを見ると、『最初から泣いた』というものがとても多いんですね。序章には、『平凡な人間と平凡ではない猫が出会って一緒に暮す話』とありますが、希望を探していた人間が家のなかった猫と出会ったことで、温かい家庭を築いて、平凡だけれど幸せな日々を送っている、ささやかだけれどそんなほっこりする姿が読者の心をとらえているのだと思います」(コ代表)
不幸せな猫を増やさないように
猫でも犬でも人気があがるのはいいが、一方で捨てられたりする保護犬、保護猫の問題は深刻だ。韓国でも捨て猫が増えている。ここ数年では、TNR活動(日本では地域猫活動)も広がりつつあり、自治体に専門の部署もできている。TNRとは、T=トラップ、捕獲する、N=ニュートラル、不妊・去勢手術を施す、R=リターン、本来の場所に戻すという意味だ。コ代表が言う。
「1年に一度は猫のことを考えてほしいなあと思い、2009年に日本のように猫の日を作ってしまいました(笑)。数字のように長く久しく生きて欲しいという意味を込めて9月9日(9つの命を久しく)を猫の日としてイベントも続けています。
野良猫だったヒックが幸せに暮しているように、ただ、かわいそうだからとご飯をあげるのではなく、不幸せな猫を増やさないよう繁殖させない不妊・去勢手術を施したりすることが大事だという認識を一般の人々と共感できるようにしていければと思っています」
写真の中のヒックは、とても楽しい。愛嬌たっぷりで、自由で、時々とぼけていて。
猫と暮したことがないので、猫は漠然と自立心が高くて、孤独を愛する、そんなイメージだったが、ヒックを見てすっかり裏切られた。
猫もそれぞれ十猫十色。
ヒックはかなりの甘ったれ屋なんだそうだ。
(菅野 朋子)