借金と信用
ヤバイ。アメリカは今、とてもヤバイ状態にあります。アメリカはなんと14.3兆ドル(大雑把に言って1300兆円!)の国家債務を抱えているのですが、この14.3兆ドルというのは実は国家が定めた国家債務の上限、すなわち「これ以上の借金は許しません」と自分で決めた額です。でも実際にはアメリカの借金はこの上限をすでに超えていて(笑)、法律で決めたこの上限額をもっと引き上げないと、アメリカという国家は「債務不履行(デフォルト)」に陥ってしまいます(参考:アメリカの債務時計)。この期限というのが1週間後の8月2日に迫っているにもかかわらず、アメリカはオバマ政権と野党の共和党の間で意地の張り合いが続いていて、上限額引き上げの条件について合意に至っていません。というのは、当然借金に借金を重ねているだらしない国家に対して枷(かせ)をはめるために法律で上限額を決めたのに、借金を返すどころかさらに上限額を上げようというのですから、そのためには「これこれこういう方法で将来ちゃんと借金を減らしていきますから、今回だけ大目に見て上限額を上げさせてください。」という条件(=借金削減計画)を定めた上でないと、とても信用して上限額を引き上げられません。この借金削減の方策として、オバマさんは歳出を減らすことに加えて「大金持ちの国民の税額を引き上げよう。」と提案しています。しかし、大金持ちの個人や企業が党の基盤になっている共和党は、必死になってこの「金持ちへの課税増額」という案に抵抗し、むしろ、オバマさんが政権を取ってからずっと力点を置いてきた健康保険だとか福祉の予算を減らすようなイジワルな案を出しています(笑)。これでは双方が合意に至らないのも無理もありません。しかし、アメリカという超大国が「ちゃんと借金を返す、信用のおける国」という前提で日本をはじめとするほかの国が「優良銘柄」としてアメリカ国債を買ってアメリカにお金を貸してきたのに、債務不履行すなわち「借金が増え過ぎてもう返せません」宣言をしてしまえば、アメリカの信用はがた落ちになり、もうこれまでの利率でアメリカにカネを貸すのはリスクが大き過ぎるということで、アメリカ国債の格付けが下げられます。そして、返ってくるかどうか怪しいだらしない国にカネを貸すことになるわけですから、利率が引き上げられます。世界経済の根幹にあるアメリカ国債でこれが起これば、利率の引き上げはすべてのローンに波及し、住宅ローンからクレジットカードまでドミノ式に利率が上がり、あちこちで「貸し渋り」が起こります。同時に米ドルの信用も落ち世界中の為替はドル安になり、アメリカ企業の株価も急落、これがあっと言う間に世界中に波及し、世界経済は大混乱に陥るのです。これは重大、深刻です!アメリカではトップ1%の大金持ちが全米の富の33.4%を独占し、これが上位5%の金持ちになると全米の6割以上の富を占めていると言います。つまり、アメリカの圧倒的多数である95%の平民~貧乏人どもが、パイの残り3分の1を寄ってたかって奪い合ってるわけですね(笑)。オバマさんは、そんな余裕のある超大金持ちに、「アメリカが膨れ上がった借金でこんな危機的な状況になっているんですから、富を独占しているお金持ちは国家のためにちょっとくらい分けてくれよォー」と言っているわけですが、共和党は「努力をして築いてきた富からすでに高額の税金を払って下さっている勝ち組の大金持ち様からさらにカネを掠めようとは何事だ!」「それより、タカリ体質になっている負け組の貧乏人たちに対する福祉予算を削ればいいだろ?」と言ってるわけですね(笑)。もはや同じ国の国民とは思えないくらい、両者の考え方には隔たりがあるようです。これは話し合いが平行線を辿るのも無理もないかな~と思えます。ところで14.3兆ドル(約1300兆円)って天文学的数字はピンと来ないかも知れませんが、これを国民1人当たりの負担額にすれば分かりやすいでしょう。アメリカの人口は3億1千万人ですから、14.3兆ドルを割ると、国民1人当たり46,000ドル、約400万円ですね。4人家族だとすると、1世帯あたり1600万円です。払えますか?(笑)こう考えるとアメリカの借金がいかに深刻か解かるかも知れませんが、実は日本の国家債務はもっとヤバイ(笑)。日本版の「借金時計」のサイトが公開されてますが、本日の時点で875兆円。国家予算の10年分以上です(笑)。2010年の人口が1億2800万人だそうですから、これで割ると国民1人当たり683万円です。4人家族だとすると、1世帯あたり2734万円。これを払えと言われたら、すでにローンを抱えている多くの家庭は破産するでしょう(笑)。日本がこれだけの借金を抱えていても経済が成立しているのは、アメリカと違ってまだほかの国から信用されているからです(笑)。ロクに貯金もせずにクレジットカードやサブプライムローンなどで消費に消費を重ねて借金に借金を上塗りするアメリカと違って(笑)、朝から晩まで働いて無駄遣いせずにコツコツ貯金を積み重ね、借金が返せなくなれば自殺するほど責任感が強い日本は(笑)、これだけの債務を抱えながらもまだ世界中から信用されているのです。大地震と大津波で経済が大打撃を受けても円高を維持できているのも、お金にだらしない(笑)アメリカや、ギリシャみたいなやる気のない国(笑)を抱えてるユーロ圏に比べてれば、相対的にまだまだ信用ができるからなのです!まあそんな日本も、アメリカが1週間後にデフォルト(債務不履行)に陥れば、リーマン・ショック以上の経済的大混乱に巻き込まれるのは必至です!大金持ちのお目こぼしでも貧乏人の福祉予算でも何でもいいから、とりあえずアメリカさんにはデフォルトだけは何とか回避してもらうよう、みんなで祈りましょう!