津軽は地吹雪の中(10)
この「かむなから神業旅行紀」は、平成9年1月20日から26日までの7日間の東北一周の記録です。登場する人物は、私を除いてすべて仮名です。遅い昼食を終えた私達は、雪の中を一路仙台を目指します。仙台市に住む小場さんは、かむなからの中で最初に「世乃元之神」を奉戴、つまり「お宮」を持つことを許された人です。その小場さんの家に辿り着くことが今日の神業予定ですから、そこまでは何もありません。助手席に座った島さんが、先ほどの祭りを記録したノートを取り出し、読み返し始めました。「多分私が国を治めた最後の姫と思います。 2300の民人(たみひと) 神祭はもう形ばかりの頃であったと思います。」ここを声に出して読みながら、語ります。「どうやらこの姫さんは卑弥呼のような立場の人だったんだな。彼女は紙と通信が出来たんだ。その能力で、2300人ほどのひとを束ねて、部族の長の仕事をしていたんだな。その頃は他の部族では、世乃元之神との通信は出来なくなっていて、形ばかりの、それもセレモニーしか出来なくなっていたんだ。一体何年前ぐらいの姫だったんだろう?」独り言のように島さんはつぶやきます。「ここからが凄いなあ、こんなリアルな表現は長い神業の中でも初めてだ。いいかい、読んでみるよ」(ちきちゃん)「赤くて牛の格好をしている。 目も真っ赤。 最後にここにいた人、皆食べられた。 しゃべっていた姫が最後。赤目牛、高い所から、遠い所からやってきた。8300年前、全部火の海、もう一度来た、またやった。そのときチキちゃん赤目牛を見た。またそこが焼かれたの。赤いの!歯がすごい!古墳の牛、外にいっぱい、いっぱい!そしてまた来る、焼くつもり5000年経つとまた来る。このヒトたち、赤目牛下は人間の形目は赤いナスカの地上絵、それもだめにしたひとたち戦車みたいなので襲ってくる。棒切れで最後の姫さん吊るして、ぶらぶらしている」「赤目牛、高い所から、遠い所からやってきた。ここの意味はな、赤目牛は地球を取り囲むフェリオスフェアーの地球神界の防御線を突破して、地球に侵入を果たした『彼ら』の戦闘精鋭部隊なんだ。まだ神と人間が何とか対話出来ていた状態を叩き潰すべく、最終兵器として彼らによって送り込まれたんだなあ。こんな凄いことをやられたんじゃあ、ひとたまりもなかっただろうよ。なるほどなあ、こんなことがあったんだ。郷土玩具の「赤べこ」には、こんな悲話があったんだ、東北というのは、えらい秘密が埋まっているところかもしれないぞ。」