|
カテゴリ:文化
徳島県に見る 公共交通の新施策 「BJエディタース」編集長 加藤圭一 加速する少子高齢化にコロナ禍が加わり、全国の交通事業者が厳しい経営を強いられている。そんななか今年、徳島県でバスと鉄道、物流の事業者が協調し、新たな公共交通の在り方を探る取り組みを取材したので紹介したい。
線路から道路へ直行するDMV 徳島県の阿佐海岸鉄道は昨年12月、世界初となるDMV(デェアル・モード・ビークル=鉄の車輪とタイヤを備え、線路と道路の双方を走れる車両)の運行を開始した。阿佐海岸鉄道は徳島県南陽町の海部駅と高知県東洋町の甲浦駅を結ぶ8.5キロの第三セクター鉄道だったが、沿線の過疎化により一日平均利用者が150人を切り、存続が危ぶまれていた。そこでマイクロバスが線路から道路に直通するDNV化することで、営業コストの削減と物珍しさによる観光客誘致を目論んだのである。 通学や通院などの地元利用者のニーズには、集落をきめ細かく回りながら併行道路を走る徳島バス南部の路線バスが応えている。そこで阿佐海岸鉄道は、DNVの起終点を駅から観光施設に延長するとともに、土日祝日の1往復を甲浦から国道を約40㌔軟化した室戸岬まで延長し、テーマパークのアトラクションのような存在になることで生き残りを図っている。
JRの乗車券でバスも乗車可能 徳島バスとJR四国(四国旅客鉄道)は今年4月、独占禁止法特例法にもとづく共同経営を開始した。具体的には、徳島バスの高速バス大阪~阿南・生見・室戸線の一般道走行区間のうち、JR牟岐線が並行して阿南~浅川間について、JRの乗車券類でバスにも乗車できる施策を開始したのである。対象のバス停は牟岐線の各駅最寄りの阿南駅、橘営業所、由岐、牟岐、浅川の6カ所で、運行本数の少ない阿南以南の牟岐線を高速バスが補完する形となった。 実は、この高速バスは2019年3月から、一般道区間の阿南~甲浦間ののみでも利用できるようになっていたが、今回の施策でさらに利便性が高まったといえよう。
貨客混載により積載効率を向上 三好市に本社を置く四国交通は2017年11月、三次市内の路線バスで徳島県内初の貨客混載を開始したが、今年3月には専用のマイクロバスを新製し、積載効率を向上させている。ドライバー不足が深刻なバスト物流の事業者の提携は全国で見られるが、専用の新車を用意した例は初めてである。 この貨客混載はヤマト運輸との連携によるもので、同社三好井川センターのトラックが四国交通本社で荷物をバスに積み替え、バスは本社前~阿波池田バスターミナル~久保間を営業運行する。荷物は途中の西祖谷中学校前と和田上のバス停で降ろし、ヤマト運輸の西祖谷と東祖谷の配送ルートで宅配される。沿線には大歩危峡や、かずら橋といった観光名所があり、バス旅を楽しみたい方にもぜひ、乗っていただきたい路線である。 (かとう・よしかず)
【文化】公明新聞2022.9.2 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 21, 2024 06:43:13 AM
コメント(0) | コメントを書く
[文化] カテゴリの最新記事
|
|