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カテゴリ:文化
世界遺産シルクロード展 東京富士美術館 学芸部長 平野 賢一 日中平和友好条約45周年 本年は日中平和友好条約から45周年、東京富士美術館の開館40周年に当たります。この記念の意義を込めて「世界遺産 大シルクロード展」を開催します。 東洋と西洋を結ぶシルクロードは、古代から重要な交流、通商ルートであり、多様な民族が興亡した文化融合の地でもありました。本展は中国の洛陽、西安、蘭州、敦煌、新疆地域などの各地の主要な博物館、研究機関の所属する文物の中から、シルクロードの名宝を紹介します。日本と縁が深い唐時代を中心に中国の名品を紹介するとともに、世界遺産に登録された遺跡の遺品を展示します。 シルクロードの研究は19世紀後半より始まり、約140年の歴史がありますが、日本では特に半世紀程前にNHKで放映されたテレビ番組の印象が深く、砂漠のかなたや最果ての地に多くの人が憧れを抱くようになりました。学術的にも、奈良の正倉院に伝わる宝物の故地として、ペルシアや中央アジア、ひいてはギリシア・ローマに期限する文化が注目され、交流の歴史が研究されてきました。近年では発掘調査や学術研究がこれまでにない勢いで進められ、新しい発見が続いています。
東西の文化交流の道から 一級文物を含む名宝が来日
シルクロードは「長安—天山回廊、カザフスタン、キルギスの3カ国共同で世界文化遺産に申請され、2014年に登録されました。そのうち中国では五つの省・自治区にある22の遺跡が含まれています。シルクロードに関連する中国国内の世界遺産としては、ほかに敦煌の莫高窟(1987年文化遺産登録)、大同の雲崗石窟(2001年文化遺産登録)、また新彊の天山(2013年自然遺産登録)などがあります。 東京富士美術館は2019年から足掛け5年をかけて現地調査を重ねて準備してまいりました。本展は中国側の全面的な協力の下、9勝2自治区の広範囲にわたる27カ所の博物館、研究機関から金銀器、青銅器、陶磁器、ガラス、染織、壁画、絵画、模写絵、経典、仏像、歴史資料など中国一級文物200点を展覧いたします。世界遺産認定後、中国国外で初めて行われる大規模なシルクロード展となります。 展覧会の構成は3章からなります。第1章「民族往来の舞台—胡人の活動とオアシスの遺宝」では、西方や北方の香り高い遺宝の数々のほか、シルクロードの金貨銀貨、砂漠の正倉院と称されるアスターな古墓群、近年注目されているもう一つのシルクロード、青海地域の出土文物などを紹介します。第2章「東西文明の融合—響きあう漢と胡の輝き」では、《車馬儀仗隊》《六花形脚付杯》など漢時代から唐時代の名品を中心に紹介します。第3章「仏教東漸のはるかな旅—眠りから覚めた経典と祈りの造形」では、投稿で偶然発見された鳩摩羅什訳の《妙法蓮華経》などの貴重な経典や、さらには新彊、中元の各地で収蔵されている仏教技術の優品を紹介します。 シルクロードを通じて日本と中国が長い文化交流の歴史を持っていることを、本店であらためて感じていただけたら幸いです。 (ひらの・けんいち)
【文化】公明新聞2023.9.13 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
October 24, 2024 05:22:27 AM
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