自由が丘 『 武蔵野推理劇場 』 懐かしの名画座
書棚公開などして以来お片づけモードに入り、積み上げてあった膨大な本を整理しています。覚えのないボロボロの茶封筒が本棚に突っ込んであって、開けてみたら、なんと、大昔の映画のチケットでした。ほとんどは捨てられたチケットの中で、どういう理由でこれらだけが残されていたのかは不明。傾向にも時代にも全く脈絡がありません。特に面白かったものってわけでもないようです ( 面白くなかったのも入ってますから )。たまたま気が向いた時に袋に突っ込んだのでしょう。映画を観た様々なシーンを思い出しました。むしゃくしゃして会社をサボって一人で見た映画とか、毎週末オールナイトで見た映画とか、映画館への道々や、一緒に観た友達や、観た映画について議論して、口論になって、喧嘩になったこととか。懐かしかったので、スキャンして保存。袋にはこんなものも入っていました。自由が丘 『 武蔵野推理劇場 』 の案内。( 映画チケットと同じ大きさで裏表 )鬱蒼と木の茂るちょっと不気味な雰囲気の熊野神社と隣り合って建つ古い建物で、名前も名前だし ( 推理劇場って ・・・・ )、自由が丘のお洒落な喧騒から、そこだけが別世界。ミステリー・ポケットみたいな映画館でした。この案内にある映画は、上1本以外は観ているので、多分ここで観たのでしょう。2本立てオールナイトは他に、『 フランス軍中尉の女 』 と 『 ソフィーの選択 』 とか『 レイジング・ブル 』 と 『 告白 』 とか、観たのを思い出します。‘83年10月リクエスト番組 と題してプログラムが載っていますが、いやはやキャッチ・コピーが笑えます。( 画像が不鮮明なので下に写しました )当時はこれを読んで可笑しいとは思わなかったのでしょうか。全く覚えていません。自由が丘には駅を挟んで反対側にもう一軒名画座があって ( 自由が丘劇場、だったかな )、そこでも毎週末オールナイト上映をやっていたので、どちらか良い方を選んで観ました。飲み屋が並んで酔っ払いがうろうろしているような界隈で、私が観たいような映画もやりますが、週によってはポルノもやる、みたいな不思議な映画館でした。客席には酔っ払いや、そこに住んでるようなおじさんが寝そべってたりして、煙草の煙がもうもうと煙るような映画館でした。そんなところでオールナイトで、ヘルツォーク 5本立て、なんてやるんです。『 アギーレ・神の怒り 』『 カスパー・ハウザーの謎 』『 フィッツカラルド 』『 ノスフェラトゥ 』『 緑のアリの夢見るところ 』。ゴダール、『 勝手にしやがれ 』、『 気狂いピエロ 』 などもここで観たように思います。今思えば、20代前半のお姉さんが一人でオールナイトを観に行くような所じゃないんだけど当時は何とも思わなかったんですね。上画像の案内を写します。< 冒険また冒険 >『 ハイ・ロード HIGH ROAD TO CHINA 』原作=ジャン・クルアリー 監督=ブライアン・G・ハットン 出演=トム・セレック/ジャック・ウェストン/ベス・アームストロング呑んだくれのパイロットと二機の複葉機のロンドン=中国1万4000キロの高く危険なテイク・オフ。『 スタートレック2 カーンの復讐 STARTREK2 THE WRATH OF KHAN 』監督=ニコラス・メイヤー 出演=ウィリアム・シャトナー/リカルド・モンタルド( カーン )ソ連のミサイル何のその、宇宙の悪<宿敵カーン>との対決のため再びエンタープライズ号が発進。シリーズ第3弾 『 スポックの帰還 』 もレナード・ニモイ( スポック ) 監督で堂々クランク・イン。< 愛 ― ショッキング >『 シベールの日曜日 Cybele ou les Dimanches de Villed Avry 』監督=セルジュ・ブールギニョン 出演=ハーディ・クリューガー/パトリシア・ゴッジ戦争で記憶を失った男と悲しい過去を背負った12才の少女シーベールの純粋愛。彼らの<秘密の花園>はガラスのように脆くクリスタルの輝きのように美しい。『 エゴン・シーレ EGON SCHIELE 』監督=ヘルベルト・フューゼリー 出演=マチュー・カリエルル/ジェーン・パーキンスエロスに魅せられ、エロスに生き、美に殉死した表現主義派画家エゴン・シーレ。その赤裸々な愛と性、衝撃的な半生。< 男騒ぎの ・・・・ >『 アメリカン・ジゴロ AMERICAN GIGORO 』監督=ポール・シュレイダー 出演=リチャード・ギア/ローレン・ハットンジゴロ・ザ・セクシー。刺すような毒気がなけりゃ、男稼業もお終いさ。『 ある日どこかで SOMEWHERE IN TIME 』監督=ジャノー・シュワーク 出演=クリストファー・リープ/ジェーン・シーモアまだ見ぬ恋人を追って70年前の世界へタイム・トラベル。いつも青春は時をかける。< トリュフォー、ヒッチコック / 映画術 >『 白い恐怖 SPELL BOUND 』監督=アルフレッド・ヒッチコック 出演=イングリッド・バーグマン/グレゴリー・ペック記憶を失った精神科医と女医との秘めたる恋と深い疑惑。病院内の謀略をタテ糸に真実の愛を求める若き日のバーグマン。『 隣の女 LA FEMME DA COTE 』監督=フランソワ・トリュフォー 出演=ファニー・アルダン/ジェラール・ドパルデュー逢ってはならぬ男と女の思いもかけぬ再会が二人を情念の道行きへ・・・。愛の映像詩人<トリュフォー>がおくる現代の罪物語。映画館の支配人が書いたのでしょうか。” 観たい ” 気持ちを別な方からくすぐっているような ・・・。どちらの映画館ももうないのでしょうね。自由が丘にはもう20年ほど足を踏み入れていません。どこもかしこも変わってしまったことでしょう。おっと、試しに検索してみたら、『 推理劇場 』 の方は名を変え、形を変えて今もあるとのこと。嬉しいような、嬉しくないような。行くことはないだろうなぁ ・・・・・。