建築仕上げ診断技術者
先日受講した「建築仕上げ診断技術者」更新講習について。これは一体何の資格か?以下のとおりです。タイルや外壁等の仕上の劣化を放置しておくと落下して人や器物に損害を与える危険があります。 平成元年11月に北九州市の高層住宅で起こった外壁タイル剥落による死傷事故(2名死亡・1名重傷)をきっかけとして、「剥落による災害防止のためのタイル外壁、モルタル塗り外壁診断指針」と「タイル外壁等剥離防止のための設計・施工上の留意事項」が建設省住宅局建築技術審査委員会によりまとめられました。あわせてもう一つの重要な事項として外壁診断技術者の育成方策等も提言されました。 建築仕上診断技術者はこの要請に応えるため、平成2年度にBELCAが創設した資格制度です。 建築仕上診断技術者については、平成3年6月13日付で「建築仕上診断技術者の活用について」(建設省住宅防発第14号)という通達が建設省(当時)から全国の特定行政庁に出され、資格者の活用が通達されています。 長寿命な建築が増えることが予想される今日、年月の経過した外壁等に関する安全性の問題は、人命にも直結した問題であり、今後一層深刻になっていくものと考えられます。 そのような背景から、建築仕上診断技術者の存在はますます重要になっています。だそうです。まあ屋上防水まで含めた外装の診断業務に対応する資格ということですね。(資格がなくても、診断業務は行えます)東京会場で受講したのだが、受講生は500人ほど。有資格者は全国で5,800人とのことです。現在建設投資は50兆円弱。バブル期は80兆円あったんですね。そんな中でも保全関連投資はバブル時代から変わらないとのこと。新築需要が落ち込んでいる中、これからは改修だ!ということで注目されているようです。今回の講義の内容は■建築関連法規改正の概要■建築仕上げに係る動向■コンクリート躯体に係る診断・補修の動向■デュー・ディリジェンス業務におけるエンジニアリングレポートの概要などなど。直接実務に関係する診断・補修の動向は興味深かった。とくに外壁のひび割れ補修について。講師は広島大学の大久保教授。「なぜひび割れを補修しなくてはいけないのか?」実は美観性や漏水などよりもっともっと重大な問題があるんですね。躯体コンクリートの中性化を促進するそうです。それも加速度的に。中性化による鉄筋腐食を避けるために、適時ひび割れ補修は必要だとのこと。建物の寿命に影響を与える要因だったんですね。自分自身認識が甘かったな。勉強になりました。あ、最後に、リフォーム後のアンケートを取ったそうです、大学の学生の父兄に。(通常の方法ではリフォームのアンケートは回収率が低すぎるため、学生を使ったとのこと)その結果、リフォームの目的の第1位は「美しくしたい」2位は「長寿命化」だそうです。例えひび割れ補修でも、雨漏り補修でも結果は同じとのこと。補修跡が残ったままでは到底納得できないんだって。なるほど。当初の目的さえ達成すれば良しというのはあくまで業者側の目線なわけだ。早速取り入れなくては。ではでは。