こまい壁
防水工事の打ち合わせで伺った現場です。大変珍しいものを見せてもらいました。左官屋さんが壁の下地を施工中ですが、本物のこまい壁(土壁)です。竹を編んで下地をつくり、粘土と土を混ぜた材料で仕上げるそうです。昔はよくあった仕上げだそうですが、最近はまず見ません。私も20年近く建築に携わっていますが、施工中の現場は初めて見ました。和室でも石膏ボードにクロス貼りの仕上げが大多数の現在、非常に新鮮な印象を持ちました。作業を眺めていると、やはり相当手間暇かかる工法ですね。石膏ボードなどの乾式工法と比べると工期も予算も相当余裕が必要でしょう。しかもひび割れは避けられないでしょうし、相当理解のある施主さん以外は受け入れられないでしょうね。だいいち施工できる熟練の職人さんたちもいまや希少でしょう(もはやほとんどいないんじゃないかな)。考えてみれば環境負荷はほとんどゼロ、調湿や蓄熱性能にも優れる素晴らしい素材ですよね。しかも新建材と違って経年するごとに味わいを増していく……。本物の自然素材と本物の職人さんたちが活躍できる場がもっと広がればいいのですが。やはり「本物」はいいですよね。