アメリカで稼ぐ人と稼がない人
「アメリカで広がる収入格差(Income gap is growing in U.S.)」という記事が8月17日の新聞(The Sacramento Bee)に掲載されていた。 日本では、全国民に、自分は中流という意識が強いが、アメリカでは、稼ぐ人と稼がない人の収入格差は大きい。 現在、アメリカの最低賃金は5ドル15セント(カリフォルニア州では5ドル75セントではないかと思う)で、最低賃金で働く人たちには、英語を話せない移民が多い。 私も、留学生時代に最低賃金で働いたことがある。大学院のインターンシップの時に、新聞社で働いたのだ。アメリカでは、移民や学生が、社会の底辺の仕事に従事していることが多い。夏休みになれば、学費を稼ぐために大学生が、一日に8時間以上働いたりしている。 アメリカでは、働こうと思っても、英語が話せなかったり、学歴がないと、ウエイトレスや、オレンジ摘みといったエントリー・ジョブを、なかなか卒業できない。(しかし、ビバリー・ヒルズやシリコンバレーの高級レストランのウエイターは、チップだけで、月に3、000ドル(330,000円)以上、稼ぐそうだから、仕事の種類だけで、low-paying jobとはいえない。) 私には高校生の友人(愛犬同士が仲良しなのでお友達)がいるのだが、彼女と今どきの仕事の賃金の話をしていた時のこと、「20年前に、最低賃金の4ドル25セント(時給)で働いたことがある」、と私が言うと、「ウッソー(アメリカ人なので英語で)」と彼女はビックリしていた。「それは、信じられないくらい低すぎる」とも言っていた。(彼女の生れる前の話なのだから、仕方がないのだけれど。) 20年の歳月を経て、カリフォルニア州の最低賃金だけを比べれば、4ドル25セントから5ドル75セントへと35%上昇したことになる。 しかし、新聞に掲載されていたアメリカ人の収入のボトム20%の人々の年収と、現在のボトム20%の年収を比べると、ほとんど変化がない。現在のアメリカ人のボトム20%の年収は、$9,990(1,098900円)で、20年前のアメリカ人のボトム20%の年収も、ほぼ同額。 しかし、現在のアメリカ人のトップ20%の年収は、$143,743(15,811,730円)で、20年前より、50%増えている。 ホワイト・カラーの人々は収入が増加したが、ブルーカラーの人の収入は、この20年間、ほとんど、変化していない。アメリカは、安い労働力を求めて、世界に労働市場を求めたからだ。 ”Highly skilled,educated workers in the United States will thrive as demand rises. While low-skilled jobs remain vulnerable to outsourcing(アメリカでは、能力や技術をもっている人々に対する需要は高まっているが、ブルーカラージョブは、アメリカ人から外国人へとシフトしている)”と新聞には書いてあった。 今や、アメリカのウエイトレスの多くは外国人。トールフリーの商品の苦情係りや商品説明係りに電話を掛けると、インドに繋がってしまう。国際電話料金を払っても、インド人を雇う方が、会社にとっては人件費を節約できるからだ。 アメリカで、高収入を得ようと思えば、自分が必要とされる人にならなければならない。 大統領選挙が近いが、ブッシュでもケリーでも、この状況を変えることはできないだろう。