極めて、極みへ。
「様々なところにこだわりがあるのですが、その極みつけがこれ」 某番組でのナレーションの一コマ。 こうやって文字におこすと、意外と違和感がないですね。ただ、やはり声に出して読むと、語感にひっかかりがあって変です。 無論、この耳慣れない言葉は間違い。 手元の『新明解国語辞典 第五版』をひいてみる。 【極(み)】 一、展開して行き着いた所。「天地の-〔=果て〕」 二、限度に達すること。「不孝の-〔=最大の不孝〕」 【極(め)】 一、鑑定。 二、(造語)動詞「極める」の連用形。 「極みつき」では意味は通りません。 さらに、「極め」には、 【-書 ガキ】 〔書画・こっとう類の〕鑑定証明書。 【-付 ツキ】 極め書がついていること。 〔定評の有る意にも用いられる。例、「-の演技」〕 とある。 つまり、「折り紙付」と同義ということか。 ということで、「折り紙付」をひいてみる。 【折り紙】 一、目録や公式文書を書くのに用いる二つ折りにした奉書など。 二、刀剣・美術品などの鑑定書。 三、保証すること。おりかみ。「-をつける」 四、紙を折って、いろいろな形を作ること(遊び)。また、その紙。 三番目がこれに当るのだろうか。 しかし、これでは「極め書」と「折り紙付」との相違が分かりづらい。となるともっと大きな辞典に当るしかないのだが、今は情けないことに漢和辞典すら手元にない。 一応、「折り紙つき 語源」で検索すると、いくつかのサイトに当る。歴史的な語源に触れているところも散見できる。ただし、何故かどこも参考文献が提示されていないので、どうも信用ならない。 それでも複合的に考えると、 鑑定証明書そのものを「極め書」。 鑑定証明書をつけられたものを「折り紙付」。 となるようだ。 これなら全くの別物だと分かる。 それでも、「極め書」と「折り紙」の違いは歴史的な語源に依らなければならないので、最近めっきり行っていない図書館で、一度調べてみないといけないなぁ とまれ、「見極める」を「見極みる」と言わないように、「極めつけ」は「極みつけ」とは言わない。 これは推測だが、「極付き」と書いてあったため、最初のような誤読となったのではないだろうか。