SF巨大さそり大都会襲撃
『恐竜グワンジ』を観たんで、同じく に収録されていた『黒い蠍』も観る。これまた初観。 オブライエン晩年の作品で、観なかったことにというシーン(特に合成)があったり、予算不足?と思わせるようなカットや編集もありますが、亀裂の中のサソリの巣からゾロゾロ登場するシーンやスタジアムでの巨大蠍との死闘(どちらのシーンも同じカットの反復があるのが残念)、電柱の上の人を襲うサソリなど見せ場はあります。 ヨダレをダラダラと垂らしながら迫ってくる巨大サソリの気色悪いインパクトも抜群。牙の奥の歯並びもいいですね。 ただ、地下での巨大サソリの相手が巨大畸形ミミズというのはどうかと。奇声を発して頑張ってはいますが、被捕食者にしか見えんのよね。 お馴染みの『エアスコーピオン』を観た後ではどんなサソリものも素晴らしく思えてしまうんで何なんですが、ゴム人形と違って、パペットとはいえ獲物を刺すサソリの仕種に活力はありますよ。プスッと。 まぁ、比べるのもあれなんですが、サソリものの映画って他に思いつかないんで。 シルル紀のウミサソリがいるんで、そのまま大きくしても造型的にはいいと思うんですけど、サソリ映画が少ないのは何故でしょう。『ザ・テンタクルズ』もムカデ映画としては唯一無二ですが、この辺りから考えるに、造型と見せ方の問題かなと。 ムカデは百足と強固な鎧、それに伴う容姿のインパクトとは裏腹に、攻撃面が地味。顎から注入される毒液に致死性がないのがイタイ。獣人大ムカデのように巻きつくのもあるが、それならヘビでも構わなかったりする。それと日常生活への関わりが薄いのも原因かなと。日本では藤原秀郷(俵藤太)の逸話が馴染み深いんで捨てたものではないけれど、怪獣となると厳しいか。なんにしろ、その特徴である多足が災いして、お手軽感がないのが最大の弱みかな。面倒だと。 サソリの場合は『スターシップトゥルーパーズ』のようにハサミでスパスパというわけにはいかないから、やっぱりメインは尻尾。スカーレットニードルですよ。このサソリなら頭から丸カブリされそうですけど。 造型も歩く様子はちょっとブサイクですが、全体のまとまりはいい。むしろ出来すぎな容姿のせいで面白味がないくらい。 結局、サソリはどこをとってもモンスター映画の主役にしてはスタイリッシュすぎるのかもしれません。不恰好でもいいんでパワフルなのがいいと思うのは主観でしょうか。 本作のサソリは見たとおり下品です。 そんなこんなで単品としては弱いと感じたのか、このDVDは特典映像が『恐竜グワンジ』よりはるかに充実しています。 ウィリス・オブライエンとレイ・ハリーハウゼンの共作『動物の世界』のオープニングが収録。さらに、未使用のモンスターの映像が二本。 レイの解説つきで、どちらも貴重な画ですな。 長くなりそうなんで、なおざりに。