ほぅー (18回目)
このページ立ち上げてもうすぐ1ヶ月ですね。どうも"ブログ"って呼ぶ気がしない。"ブログ"って発声すると響き悪くないですか?濁音だらけで。他に言い方ないかなあ。 これを記すにあたって、こういつも夜中に頭使ってると(午前2時・・)なにやら妄想めいたものも浮かんできておかしくなってきます。半分夢を見ているような。夢というと、夢をそのまま小説の作品にしたようなものを書いていた人もいます。その人、内田百間(うちだひゃっけん、"けん"はJIS基準外で漢字が打ち込めないので"間"で代用、"けん"と読んで下さい)は「サラサーテの盤」とか「山高帽子」、「冥途」といった幻想的な、でも何か不気味な印象の小説を多数書いています。この人は「阿房列車」の紀行物(かなあ?)とか「百鬼園随筆」として知られる面白い随筆も書いてます。黒澤明の映画「まあだだよ」のモデルでもあります。相当な頑固者というイメージと同時にとてもひょうきんなイメージもあってまだ全体像が掴み取れない。というのは、もしかしたら知っておられる方もいるかもしれませんが、百間氏が芸術院の会員に推された時、彼はこう言って断ったそうな、、、格別の御計らい誠に有難う御座います 皆さんの投票による御選定に由にて特に忝く存じますされども 御辞退申したいなぜか 芸術院と云う会に入るのがいやなのですなぜいやか 気が進まないからなぜ気が進まないか いやだから上の範囲内の繰り返しだけでおすましください吹き出しました。こんなことをさらっと言える大人になりたいです。上の画像に載せてますが、彼の作品はちくま文庫から内田百間集成として全24巻にまとめられています。是非お読みになることをお勧めします。そういえば黒澤明の「夢」も見ましたが、映像は美しいがストーリーはよく分からなかったです。そりゃ夢だからか。で、夢つながりで、なんでもあり、ということで、夜がふけて、辺りが静かになった頃、何処かで梟の鳴くのが聞こえた。「梟が鳴くね。」と一人が言った。するともう一人が「なに、ありゃあ梟じゃない。すっぽんだろう。」と言った。彼の顔の何処にも戯れの影は見えなかった。しばらく顔を見合わせていた仲間の一人が「だって、君、すっぽんが鳴くのかい」と聞くと「でもなんだか鳴きそうな顔をしているじゃないか」と答えた。 皆が声を放って笑ったが、その男だけは笑わなかった。彼はそう信じているのであった。 その席に居合わせた学生の一人から、この話を聞かされた時には、自分も大いに笑ったのではあったが、後でまたよくよく考えてみると、どうもその時にはやはりすっぽんが鳴いていたのだろうと思われる。 ………過去と未来を通じて、すっぽんが梟のように鳴くことはないという事が科学的に立証されたとしても、少なくとも、その日のその晩の根津権現境内では、確かにすっぽんが鳴いたのである。 これを書いたのは寺田寅彦という明治から昭和に生きた物理学者かつ随筆家です。科学での功績はもちろんのこと、彼の随筆は今も多くの人に愛読されています。夏目漱石に俳句を習っていたそうで、「三四郎」の中にも彼をモデルにした学者が登場します。そんな彼の著作の中で、上の話と、これから下に載せる話が入っている「柿の種」(岩波文庫)がとても気に入っています。私が科学の道を志した、最も単純で純粋な動機、それはこのためだったのだと気づかされました。 宇宙の秘密が知りたくなった、と思うと、何時の間にか自分の手は一塊の土くれを掴んでいた。そうして、二つの眼がじいっとっそれを見つめていた。すると土くれの分子の中から星雲が生まれ、その中から星と太陽とが生まれ、アミーバと三葉虫とアダムとイブとが生まれ、そこから自分が生まれてくるのをまざまざと見た。・・・…そうして自分は科学者になった。 しばらくすると、今度はなんだか急に唄いたくなってきた。と思うと、知らぬ間に自分の咽喉から、一人でに大きな声が出てきた。その声が自分の耳に入ったと思うと、すぐに、自然に次の声が出てきた。声が声を呼び、句が句を誘うた。そうして、行く雲は軒端に止まり、山と水とは音をひそめた。・・・…そうして自分は詩人になった。・・・ここで終わっとけばいいものを、妄想にまかせて最後にもう一つ・・・ Our nada who art in nada, nada be thy name thy kingdom nada thy will be nada in nada as it is nada, Give us this nada our daily nada and nada us our nada as we nada our nada and nada us not into nada but deliever us from nada i pues nada. Hail nothing full of nothing, nothing is with thee. He smiled and stood before a bar with a shining steam pressure coffee machine. ……"Clean Well-Lighted Place" by Ernest Hemingwayようするに不眠症の男の話。(私は違います。念のため)