おいでラスカル
「ラスカルにあいたい」という本を読む機会があったので、ちょっと覚え書き。それにしても、名作アニメは世代を越えて人気があるなぁ。親がそれを子供に「見せたい」と思って子供が見る、それがまた親の世代になって…で、ちょうどサイクルができるのだから、三世代目のファンがもうしっかり居るってことなんだなぁ。アニメ・あらいぐまラスカルについてのレビューと時代背景、原作についての情報や、アニメ制作時のエピソードがくわしく書かれた、ファンなら読んで損しない本なのですが(でも高いわぁ)ちょっと苦い話も。アライグマがペットとして大量に輸入されて、その後手に負えなくなって山林に放棄され、害獣として追われるようになったくだりが。そういえば、そうだった…そんなニュースが流れたのを思い出した。「アライグマは成獣になると気が荒くなって危険なので、ペットには向かない生き物なのです」というメッセージを、最後まで見ていればわかるはずなんだ…と、スタッフのインタビューにはあったのですが、残念ながらラスカルを見ていた当時の小学生には、そのメッセージは届かなかった、と言わざるおえないのです。「ラスカルが森に帰らなければならなかったのは、スターリングの家に不幸があったからであって、そうじゃなかったら、ラスカルとスターリングは、きっとずっと一緒に暮らせたはず!」だと、「アライグマの生態」を読んで、アライグマは可愛いけどやはり熊なのです、としっかりわかるまで、かなり長い間本気で信じていました。私以外にも、そう思い込んでしまった人は、けっこう多かったんだろうなぁ…。「あらいぐまラスカル」はとても質の良いアニメで、今見ても十分に楽しめるものなのですが、それほど質の高い作品であっても、メッセージを確実に視聴者に届けることは難しいんだなぁ。誤解や誤読はあって当たり前、何割かの人にだけでも確かなメッセージを伝えようとすれば、どう説明をするのかどう演出したらいいのか、いつも考えていないと、ああ何て難しい…。