化学工場見学 @ Chemiepark in Marl
ヨーロッパでは毎年さまざまな都市をその年の(←語呂合わせみたいになっちゃいました)、Kultur Hauptstadt(文化メイン都市?)に選び、その選ばれた都市はさまざまなイベント、コンサートを開催してたくさん観光客を集めようとします。ま、一種の村おこしといいますか、そんな感じですね。今年はドイツのルール工業地帯の都市が選ばれています。そんなわけで去年からいろいろ駅の改装工事をしたり、イベント会場を作ったりしてそれなりに燃えてたようですしかしルール地方はロマンチック街道でもなく、アルプスでもなく、メルヘン街道でもなく、何があるかというと、つまるところ炭鉱と工業地帯ですよ。それを売り物(?)にしているわけです。つまり閉山された炭鉱を博物館にしたり(ってこれは前からありましたが)、廃止された大きな化学工場にコンサート会場設けたり、いろいろけなげに頑張ってるんですね。ルール工業地帯めぐり、というパンフレットまでもあったりします。 スタンプリレー式になっていたりね。 しかし工業地帯めぐりに興味持ってる人なんてそんなにいるわけ?って思うのですが・・・・・・・。せいぜい、大学で自然科学系統を専攻してました~~って人くらいなんではないか、と。で、このパンフの中にですね、Chemiepark(化学パーク)というのがありまして、相棒は化学やってるし、私も自然科学は大好きだしってことで、以前から行きたいな~って思ってまして、昨日やっと行ってきました。「化学のことなら何でも説明してあげるからね~」としつこくいばる相棒を隣に、電車&バスに揺られてやっとこさ着いてみると、なんだかそこって100%、現役の工場なんですよ。 普通の工場のようです 「あの、これって入っていいのでしょうか~~~~」なんて恐る恐る守衛さんに尋ねると、「ああ、お客さんはそこ300m行ったところの右にあるインフォメーションセンターに行ってください」とのこと。 途端にガッカリ顔になった相棒、「だって、あっち、煙突も何もないじゃんか。ひょっとして、化学パークって名前だけで、ワンちゃんが走り回ってるだけの普通の公園なんじゃないだろうね、そうだったら僕スネルよ」 などと、横でかなりしょんぼりしてましたが・・・・。ま、あれだけ威張ってた後だから、余計ガッカリしたんでしょ言われたとおりにインフォメーションに入っていくと、おじさんが一人ポツンと受けつけに座っていました。ガイドさん無しでは入れないので、ガイドツアー式になっていること、そしてそのガイドさんはドイツ語でしか説明しないこと(可哀相な相棒)、そしてそのガイドさんからは、インフォメーションの建物内に展示してあるものは自由に撮影していいけども、工場の敷地内に入ったら携帯も撮影も一切禁止だと言われました。なぜってそこは現役の化学工場なので、やはり産業スパイを懸念してのことが理由なんだそうです。 ガイドツアー始まるまで時間あるので展示物を見ることにしました。そこにはこの化学工場パークの歴史、 ここで生産されてるものなどが展示されていました。 1980年にここで製造されたパラフィン 以前使用されていた化学の実験装置 私はエチルベンゾールだのパラフィンだのアクリル酸だのと聞いても 「どっかで聞いたことありますねぇ」程度なんですが、さすがに相棒はよく理解できるようです。ま、そうでしょ、相棒だって 「ルバートだ、リタルダンドだ、マズルカだ」、と言われても何のことやら分からないのと一緒。(音楽用語です)ところでガイドツアーが始まるまであと少しだ、というのに私達二人しかいないんですよ。どうするの~?なんて思ってたら一人、賢そうなメガネさんがやってきました。 メガネさんは、ボン大学の医学生なのだそうで、ボンからわざわざここまで見学しに来たとのこと。結局、この3名だけでガイドツアーが開始されました。 この化学工場、周囲はなんと16kmもあります。そしてこの工場はもともと1938年に創業された小さな化学工場だったのですが、ヒットラーがナチス時代に、軍用車などのタイヤを製造するためのゴム工場として巨大なゴム工場施設にした、といいます。 上空からみた化学パーク(画像はHPより引用) この工場施設はうまく連合国軍の爆撃をまぬがれ、ほぼ無傷なまま敗戦を迎えました。その後、この巨大な施設が連合国軍の手に渡るのをおそれたドイツ軍により破壊されそうになりましたが結局破壊はされず、また工場としての機能を取り戻すことになりました。ただし、ドイツの国力があがるのを恐れた連合国軍の命により、以前のようにゴムを生産することは禁じられ、その代わりとして今現在のように、香料、洗剤など石油から他の原材料(ポリマー)を精製する工場に変わっていった、ということだそうですが、私は化学のことはさっぱりなんで、間違ったことを書く前にこのへんでやめておきます で今は30ほどドイツ国内外の企業がこの施設に入っている、ということだそうです。工場見学は、中型の綺麗なバスに乗ってそのバスの中からしましたが、たった3名の客のためにあんな大きなバスを使うなんて、ちょっともったいない。しかし工場内は大きかったですね。至る所にめぐらされたパイプライン、まるで迷路のようです。・・・・・というより迷路です。 内部は撮影禁止のためこれもHPから引用 ガイドさんは化学専門用語をぶっつづけで、いろいろ説明してくれます。ふんふん頷きながら聞けてたのは、相棒と医学生だけだったんじゃないかしら、この私はまったくさっぱりこ・・・・・・・・でも相棒が親切にいろいろ解説してくれるので、たくさん知らなかったことが新たに発見できました。 ちなみにこの工場は環境についても真剣に取り組んでいるそうで、感心することにまったく臭いがしないのです。ちょっとだけ硫黄の臭いがした場所がありますが、あとは全くと言っていいほど無臭。ガイドさんはこの周辺の出身なんだそうですが、彼が子供のころは工場の煙突から緑やら黄色やらの煙が出て、そしてヒジョウに臭かったそうなんですが、最近は国も環境保護にうるさいので気をつけた結果、このような綺麗な工場に・・・・・・。2時間ほどの工場見学は、ここの施設内に医学研究所も入ってるそうなので、 ガイドさんが医学生君に 「ここで働かないかね?」などと言ってるシーンで終了しました。これ以上書くと長くなるので、このへんで私も終わりにしますが、本当にいい勉強になりました。しかし、お客さんは3人だったんだな・・・・・・。ちなみにその前の日、土曜にはたったの一人しかお客さん来なかったそうで・・・・・・・。皆様、化学の知識なぞなくっても十分楽しめます。実際、私にはあっという間に過ぎて行った2時間でした。ですから是非、こちらにお越しの際はこの化学パークを見学しましょうと、宣伝して今日のブログはおしまい。最後までお読みくださって有難うございました~