落合で出会った「きこ」は、尻尾が長かった=^_^=
落合のマンションに超して、何年ほど経った時だったろうか。地元を歩いていたら小学生高学年くらいの女の子が子猫を抱いているのに出くわした「かわいい猫ちゃんね。あなたの?」と声をかけると「捨てられてたの。でも、うちは飼っちゃダメっていうから、こっそり飼ってるの」と段ボールで作った小屋らしきものがある場所へ、案内してくれる。危ないな…。そう思った私は名刺を渡し「何かあったら電話して」と告げた。数日経ったある日。取材が終わり、外から留守電を聞くと、その女の子から伝言が入っていた。どうやら子猫が怪我をして、どうしたらいいか迷っているらしい。でも、電話をくれた時間からすでに数時間経っている。仕方なく再度の連絡を待つと、その後に泣きながら電話があった。女の子は貯金箱を壊して小銭約5,000円を搔き集め、それを持って、電柱に書かれてあった動物病院を探して連れて行ったそうだ。ところが、その病院の獣医師いわく「頭に怪我を負って、傷口にハエが卵を産んでいるね。お金は持ってるの? え? 5,000円だけ? じゃあ麻酔は無理だね。5,000円分の治療しかできないよ」そして5,000円払ったのに、まだ子猫はぐったりしているという。私は滅多に怒らない性格だが、この時は怒り心頭に達した。でもまずはいつもの渋谷の動物病院へ連れて行き、きちんとした治療を受けさせ、帰宅してから5,000円分の治療しかしなかったらしい獣医師に抗議の電話を入れたその人は「そんなことは言っていない」と否定したが、少女が嘘をついたとは思えない。それどころか治療もいい加減で、傷口にはハエの卵がまだ残っていたことを告げると、ガチャンと電話を切られてしまった。ちなみに、その治療に麻酔は必要がなかった。まだ12歳か13歳の子供に、なんて残酷な話し方をしたのだろう。その子猫は完全に治るまで、私が預かるしかない。学校が夏休みだったので、私はその少女(中一だった)に飼い主を探す努力を促した。彼女は2週間ほど本気で探していたが、飼い主候補は見つからない。結局は、預かっている間に、他の4頭と打ち解けたので、うちのコとして迎えることにした。渋谷の獣医さんが「名前はどうする?」と聞いたので「紀州の記に子供の子で、のりこにしようかと…」と答えると「あれ? 今度、礼宮(現・秋篠宮)様のお妃になる人は、その字できこ、だよ」ということで、命名「紀子・きこ」とても美人で、しかも他の4頭は皆、尻尾が短かったりカギ型だったりするのにきこちゃんは、まっすぐで長い。性格も誰にでも懐いてかわいらしいし、「やっぱりお妃になる名前だね」と猫仲間たちは口々に褒めたのだった。