母との確執・・母の日に思う
小学生だったころ、毎年の母の日にはお小遣いからプレゼントを贈った。それは洋裁用のきれいな待ち針だったり、湯飲み茶わんだったり、自分としては一生懸命選んだつもりだ。小3で確執が生まれてからも、ひとつの行事として誕生日以外にも母の日、父の日、敬老の日は贈り物をした。ただ結婚で家を出た後、数年経って私は母の日にプレゼントを贈らなくなった。 なぜなら、ある年、ハンドバッグしか持たない母に、両手が空いて楽だからとショルダーバッグを贈った時のこと。母はそれと同じ商品をわざわざデパートまで探しに行き、こう言ったからだ。「お父さんの誕生日に、あなたが贈った財布より安かったわ」。父は社会的にそれなりの地位がある。安物は贈りたくないから派手ではないブランドものにした。母へのバッグは、いろいろと迷ったが、色味が母がよく着る服に合うものを、と考え、色や形を優先して決めたのだ。もう何も贈りたくなくなった。そして・・祖母が亡くなった年のこと。私は当時住んでいたマンション傍の東急本店から、久々に母あてにとカーネーションの鉢を贈った。どうして急に贈る気になったのかは覚えていない。きっと鉢植えのスプレーカーネーションがとてもきれいで目をひいたから…。その鉢植えを見せつけ、母が祖母に何を言ったのかは定かではない。ただ想像はつく。 きっと祖母には辛すぎる言葉。それからすぐに祖母は仮病で外科に入院した。 そのことは以前に記した通り。仮病だったはずが、急に血圧が上がり、外科専門病院から内科病院へと救急車で転院し、そこからは、転がるように悪化を辿り、この世を去った。母の日のプレゼントは、それ以降、まったく贈っていない。贈ろうかと思っても、心がブレーキをかける。おばあちゃんがかわいそう・・と。母の日以外なら、母の好きそうなものは贈る。でも母の日には贈れない。母はそのことを決して理解してはくれないが・・・。