母との確執・・「あんかけ」を知らなくて・・
19歳の時のこと。付き合っていたアテネ・Fの彼が「俺、あんかけが好きなんだ」と言った。あんかけ? あんこ??・・・私は子どもの頃から(小豆の)あんこが大嫌い。小学校の創立記念日にお汁粉が出るのが、泣くほど嫌だった。あん=あんこ、だと思ってしまい、彼はあんこが好きなのかぁ・・正直、困ったなと思った。でも、違った。独り暮らしの彼が作ってくれたご飯は「あんかけ丼」。何やらご飯の上に、とろりとした具が載っている。一口食べて・・「おいし~い!!」初めて食べた。 これが「あんかけ」?何故食べたことがなかったのか、母に聞いたら、母もあんかけを知らなかったようだった。実家では食べたことがなく、嫁入り前に通った料理教室でも習わなかったようだ。でもそれを誤魔化すかのように「お父さんが嫌いだから作らないのよ」と言った。別に知らずにいたことは、恥ではないのに…。父が食べ物の好き嫌いを言うのは聞いた覚えがない。というより、家で父を含む家族が食べる食事は、昭和らしく父親ファーストで、好きなもの中心だったのだろう。同じように「お父さんは白いご飯でないと食べないから」と、家では混ぜご飯も出たことがない。ただ、記憶の隅っこに、栗ご飯や松茸ご飯があるのは、父がいない日の夕飯だったのか。それとも、秋の味覚である、これら2つは別だったのか・・・。父は半熟卵も苦手なのだと、母は言った。でも、私が40歳、父が70歳を超えた頃、ひとりで私のマンションへ来た父が、私が作ったトロトロのオムレツを見て「お父さんも食べたいな」と言い、嫌いなのでは? と思いながらも作って出したところ、ぺろりと平らげ、お替りしたのには驚いた。「あれ? 半熟卵は嫌いでも、オムレツは好きなの?」と問うと「前から半熟卵は大好物だよ」。何でも母に何度もリクエストしたが、いつも硬い茹で卵しか出てこず、諦めたのだとか。「お母さんは作れないみたいだよ。プロしか作れないものだと言っていた」とは呆れるが…。母は料理が苦手なようだ。 そして作るのも嫌いだったが、主婦だから仕方なく毎日作っていた様子。それは妹にも受け継がれ、妹は「私は義務で作っている」と宣言しているくらい。私は料理がうまいとは言えないが、少なくとも好きでよかった。もちろん家族全員の食事を一日2~3食、好みや体調や健康を考えて作り続けるのはとても大変な仕事だから、今の私のように、自分の分だけ作るのとは訳が異なるが・・・。私はアテネ時代の彼のおかげもあって「あんかけ」が大好きになった。もちろん、横浜発生の「サンマーメン」も(o^―^o)ニコま、身体に熱が籠りやすい体質なので、暑い時季は温かい汁ものは食べないが。育った環境によって、食べ物の好みも変わる。これって、思っているより相性に強く関わる問題なのかも。