Something
何ひとつ積み上げられたものがなくて、二人の距離も何も縮まってもいない。一緒に歩いていて、手と手が触れ合ったりするけれど、その手を繋ぐ事さえ躊躇してしまう。もう何度も二人だけで会っているというのに・・・。君は敬語で話続けているし。君の関西弁を聞きたいのに・・・本当に凄く飲んだ時に気まぐれに聞けるだけだった。一体どうしたらその距離が縮むのか、僕は思案にくれてしまう。いつも君をデートに誘う時、初めて誘うようにドキドキする。「もし断られたらどうしよう・・・」そんな言葉が頭から離れずにつきまとう。メールも親しみを感じる時と、素っ気無さを感じる時がある。昨夜はコンサートに行って、食事してお酒を飲んで、結構話をして、「とても楽しかったです」そんなメールをもらって、近い感じがしていたのに、次の日職場で会うと、またもとの距離間に戻っている。僕はもしかしたら昨夜のことは全て妄想だったのではないかと思うくらいに・・・。「僕と君の関係って一体何だろうね」僕はそれが言いたいけれど、とても臆病になって言えない。もし君が僕のことを、ただの友達と思っていたらって、考えると僕は無口になる。僕は自分に自信がなくて、君に嫌われないようにすることばかり考えている気がして。そんな弱気な自分に嫌気がさしたりする。自信のない僕だから、君は僕に魅力を感じないのかもしれないなって思う。でも僕は思うんだけど、君の外見とか、お洒落なところとか、何を思っているのかわからないほどの寡黙な君に惹かれているだけで、本当の君を何も知らない。僕たちはまだ表面をなぞるような付き合いしかしていないから・・・。当たり障りのない会話だけで。もっと君を知りたいけれど、君は僕を知りたいなんて思うことはあるのかな・・・君は君自身の中で全て完結しているような気もするし。君の事を思うと、少し淋しくなる。君が遠すぎて。