ともに生きること そして ― ラブラドール ―
ラブラドールは、俊敏な水陸両用の猟犬。水鳥猟犬らしく、泳ぎが得意で、また嗅覚は犬の中でも卓越しています。「カワウソの尾となめらかな毛並み」と評される美しさ。子供となじみ、外来者も親しみを持って受け入れます。作家キャスリーン・オズグッドには、次の体験談があります。彼の知人は、ウェスターというラブラドールを飼っていました。ウェスターは、その家の飼い猫と大の仲良し。16年も猫と親友でしたが、ウエスターは癌で亡くなってしまいます。親友を失った猫は、家の周りをふらふらとさまよい、ついには一晩中、ウェスターの墓で寝込むようになりました。家族にもウェスターの死は深い悲しみをもたらし、それから開放されるために、新しいラブラドールの子を飼いました。すると、その猫は、昼は新参の子犬とじゃれまわり、夜はやはりウェスターの墓で眠るようになります。よく見ると、猫はただ子犬と遊ぶのではなく、ウェスターの癖をその子犬に教え込んでいるようでした。猫は、今も子犬の中に、ウェスターを探していたのです。ある夕暮れ、ウェスターの飼い主は、海岸で驚く体験をします。海岸にいるのは、死んだはずの母親とウェスター。そして、まぼろしに違いないふたりは、ゆっくりと夕日の中に消えてゆきました。飼い主とその家族は、ウェスターが今は、母親と一緒にいると安心しました。そして強すぎるウェスターへの気持ちを、断ち切るべきだと感じました。また、家族は愛猫にも、そうあって欲しいと考えました。しかし、もうその必要はありませんでした。翌朝、墓で眠っているはずのその愛猫は、家族が迎えに行っても目を覚ましませんでした。それは目を覚ますことはない、永遠の眠りでした。愛猫は、ウェスターを追って、光の中に消えていったのでしょう。冷たくなったその愛猫は、とても安らかな表情をしていたそうです。***時間がありません。● 救いを待つ子達 ●● よし@兵庫さんのブログ ●