死者の結婚(冥婚)について
少し前、「めったいくやしい」の墓についてお話ししました。仏法修行中の青年僧に恋し、叶わぬ恋に「めったいくやしい」と言いながら衰弱死した娘の話。一番右端の小さな石が、その墓です。【めったいくやしい】 「めったいくやしいの墓」もしこの地に”冥婚”の風習があったなら、この娘の供養も違った形だったでしょう。今日でも台湾には、冥婚の風習があります。道に赤い封筒が落ちていたら、うかつに拾ってはなりません。赤い封筒を拾った人は、死者との婚姻を受け入れたとみなされます。冥婚は、死者がその相手を認めなくては成立しません。実際は遺族と冥婚の相手で、あらかじめ話し合いがされているものだそうです。台湾の冥婚では、持参金も婚姻相手に渡されます。その点では、この冥婚は死者より生者のための風習と言えるかもしれません。死者のための冥婚としては、むしろ山形県の”むかさり絵馬”がふさわしいでしょう。この風習では未婚の死者のために、架空の婚姻を描いた絵馬を奉納します。「むかさり絵馬」 (画像出典: https://www.wakamatu-kannon.jp/ema.html)やさしい気持ちが感じられる風習ですが、疑問もあります。死者が本当に冥婚を望んでいたのか?それはまさに”死人に口なし”なのですから。【絵馬に願いを】