焼き尽くす 火の竜巻 - 空爆 -
それは、空から降りてくる。空からの爆撃、空爆。空爆は、一般市民も巻き込む無差別な攻撃。文化豊かな古都、ドレスデン。1945年、敗戦色濃厚なそのドイツの古都には、多くの市民が避難していました。軍事施設、工業施設のないドレスデン。その街の難民は、女性、子供、老人を中心に、人口の2倍の130万人以上がいました。大半はキャンプ生活。防空壕もありません。その状況を明確に把握した米軍は、ドレスデンに空爆を始めます。1945年2月13日。夜10時、市民の就寝を狙って空爆は始まります。第1次爆撃250機。第2次爆撃500機は、その3時間後。第3時爆撃316機は、その11時間後。投下された高性能爆弾は3,146トン、焼夷弾は1,481トン。街では「火の竜巻」が起こり、人や乳母車が吸い上げられ、上空で投げ出されました。文字通り人体は灰燼に帰し、跡形もなくなり、死者の数すらわかりません。推定では13~14万人の、女性、子供、老人がなくなったといわれます。米軍の爆弾には、遅延装置が付けられていました。それは消火活動に人が集まるのを待って爆発させる仕組み。さらに火の海の街から逃れようとした人々は、市外に待ち構える戦闘機で狙い撃ちされました。あまりの無差別さに、米英軍の捕虜26,000人まで、米軍自ら焼き尽くしてしまいました。これが戦史に残る、最も不必要で無差別な、ドレスデン空爆。桜咲き、花びらの舞う春。この春の、青く澄んだ空に感謝します。あの時の、あのドレスデンの人々が迎えられなかった、春の空に。【過去の日記1】 科学は 誤り続ける ― 誤爆 ―【過去の日記2】 極めて効率的 - 原爆の正当化 -【参考】 田中利幸,空の戦争史,講談社現代新書,2008年,253P