回顧
◎『JCダート』 アドマイヤドンが負けたが、 負かしたのはタイムパラドックスというより武豊。 ドンは南部杯を取りこぼし、 その他のレースも勝つには勝っているが、 以前ほど凄みのある内容ではなく、 長い競走生活の中でいつの間にか 何かを失ってしまったんだろう。 それでも2着を確保するあたりは 頭の下がるところだが、 有馬記念で引退という陣営の選択は たぶんベストなものなんだろう。 タイムパラドックスはドンと 同じ厩舎に所属していたが、 これまで一度もドンに勝ったことはなかった。 それがこの大一番で逆転できたのは ドンの反応が悪くなっている間に 一気に引き離すという騎乗の成果。 もちろん引き離すだけの脚が必要だが、 後方で脚をため、さらには内を回ることで、 最高の末脚を武豊は引き出した。 前述のドンの南部杯は鞍上が 安藤勝己ではなく武豊。 ドン陣営は最高のピンチヒッターを 確保したと喜んだのだろうが、 そこでドンの弱点を把握されたことが 今回の武豊の好騎乗につながった。 なんとも皮肉な結果だ。 これで武豊は今年G13勝目、 ムードやグルーヴはいかに 当たり前に勝たせるかがテーマで、 今回のタイムパラドックスとは正反対。 このJCダートが今年の彼の ベストライドなのではないか。 最後、少しだけ馬についてコメントすると、 タイムパラドックスは今後も 磐石のチャンピオンではなく、 幾度も取りこぼすことになるだろうし、 3着に粘ったジンクライシスは 今後も勝ち切れないだろう。 このあたりの分類は 間違えると痛い目にあう。