[書物]の記事一覧 | Hard-boiled or soft-boiled

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◎『冒険の作法（小阪裕司）』　これほど考え方の近い人も珍しい。　僕は人生をドラクエ的にしか　考えられないドラクエジャンキーだけど、　この人もまぁ似たようなものだ。　だからほとんど赤線を引かずに　綺麗なまま読み終えてしまったんだけど、　「最高」と「最強」の違いは　なるほどと納得した。　そうこう言っている間に　日曜が終わってしまった。　なるほどと納得している暇があったら、　イタリア語の単語の一つでも憶えないと　このままでは本当に試験に落ちてしまう。　Arrivederci.

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◎『渋谷ではたらく社長の話（藤田晋）』　サイバーエージェントって　楽天やらライブドアと似たような　ポジションの企業かと思っていたら　全然そうではなかった。　とりあえずこの藤田晋という人は　あまりメディアに出てこない　印象があったので、　なんとなく貴重な一冊な気がする。　藤田晋の新人の頃の働き方が書かれているが、　やはりとてもとてもハードワークな人だった。　個人的には量は質に転化すると思うので、　ハードワーク信奉者ではあるのだが、　自分の仕事は全然ハードワークではない。　かといって残業代がついてしまう現状では、　単純に時間を伸ばすことはできない。　もっと朝型にするしかないのかな。　そういえば商社に勤める友人は　朝５時には出社していると言っていた。　まず、一度くらいはやってみよう。　再来週の火曜は５時出社で。

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◎『コンテンツビジネスの会計（あずさ監査法人編）』　簿記検定とかで出題される会計は　一般的な商品販売業あるいはメーカーの　経理業務が想定されているが、　コンテンツビジネスのようなマニアックな　領域は会計処理の方法が一癖あって面白い。　コンテンツビジネスと言っても、　映画、音楽、テレビ、ネット配信と　多種多様な産業が含まれる。　それぞれ全くビジネスモデルが異なるので　使用される勘定科目であったり、　収益の認識基準は異なる。　しかし、ちゃんと試験に通った会計士が書いた本なので、　会計の専門用語が適切に使用され、　マニアックな実務の実態を学ぶ一方で、　原則的な会計の仕組みの再確認もできる。　つまり、とてもいい本だということ。　そんなにこの分野の会計は　複雑なものではなかったので、　次は著作権について学んでみようと思う。　こっちの方がこの分野を攻略する　肝のような気がしてきた。

『百器徒然袋　風』　京極夏彦

「注文のキャンセルは困るんですよ」「ダメですか」「原則お引き取り頂くことになってまして」「いや、それ、もう持ってるんですよ」「じゃあ、今回限りということでキャンセル承ります」「すいません」と、間抜けな問答をしてしまった。この常に眉目秀麗、頭脳明晰その他美辞麗句が付きまとう榎木津礼二郎を主役とした探偵小説シリーズは、前作に『百器徒然袋　雨』という作品がある。先日、大学の書店に注文する時に間違えて商品名の欄に前作の方を記入してしまった。平均よりは本を読む人間なので、大学の本屋の一割引きサービスを重宝しているが、店内の狭さと取り扱う商品の偏りから、こうした娯楽作は大抵取り寄せになってしまう。それでもやはり一割が積もり積もれば化けラッタと諭吉先生になりうるわけで、今回のようなことがあってもめげずに大学の○善さんを使うことは止めないだろう。本の内容は一言で言うと探偵小説なのだが、この説明だと京極夏彦の読者とその他ではまったく異なった受け取り方をすることになる。京極未読の方は、あるところに探偵がいて、依頼人がやってきて難事件の解決を依頼して、探偵には助手がいて云々という多くの名探偵を生んできた所謂探偵小説を想像するだろう。しかし、講談社刊の京極を読んだことがある人は探偵小説の探偵という名詞が榎木津礼二郎を指し、その榎木津の振る舞いがかつての名探偵たちとは太い太い一線を画していることを知っている。事件、依頼人、助手と基本的な枠組みは同じなのだが、探偵がその枠組みの中に収まっておらず、むしろそれを破壊しようとすらしている。京極夏彦は文体、設定、トリックそして本の分厚さとやはり他の作家たちとは一線を画した存在だ。よく京極ワールドなどと言われるが、あの分厚い本の中には、そう表現するに足る世界が広がっている。

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『百器徒然袋 風』 京極夏彦

『百器徒然袋　風』　京極夏彦