ありあまるごちそう(劇場:2005年オーストリア)
監督:ERWIN WAGENHOFERプロデューサー:Helmut GrasserFOOD,ING.と同時上映で見た。それぞれ別々に制作されたものだけど、配給元が「食の社会見学」として、セットで配給しているようだ。飽食と飢餓の問題、乱獲による海洋資源の枯渇、遺伝子組み換えの問題、低コストで大量生産される養鶏業、アマゾンを切り開いて大農場の問題など、食にまつわる諸問題について、生産者側の取材も交えて淡々と描いている。まだ食べられるのに、廃棄されるパンの山。トラックで次々と運び込まれ、固形燃料のように燃やされていく。オーストリアでは年間2000万トンに達するという。一方では全世界で毎年10万人が餓死している。「これは殺人じゃないのか?」と訴え掛けている。ちなみに、世界で最も食品を破棄しているのは日本だ。安価で大量に生産され、工業製品化する農作物。行き着くところは、大資本、先進国、強者の利潤の追求のため、出来上がった社会構造の問題だ。今、求められているのは付け焼刃の援助ではなく、流通システムの再構築ではないかと監督は訴える。そして我々日本人は本人の意思とは関係なくても、間違えなく加害者側に立っている。ひと事ではない問題だ。公式サイトwww.cinemacafe.net/official/gochisou/