ミラノ初舞台
昨晩(日曜日)、夫がミラノでの初舞台を踏んだ。昼と夜の二部制で行なわれたオペラで、演目はヴェルディ作曲の「リゴレット」という作品。一般的にあまり馴染みのないオペラかも知れないけれど、ヴェルディと言えば、「アイーダ」や「椿姫」などでお馴染みの、イタリア・オペラの中では、かなりのテクニックと声量を要求される、とても難しいオペラである。今回はコンサート形式でのオペラだったので、二日前の金曜日にオーディションが行なわれ、土曜日一日でリハーサルを行ない、日曜日が本番というハードさだった。受かるかどうかわからないオーディションだったけど、受かってから練習したのでは間に合わないわけで、夫は2ヶ月ほど前から練習に取り組み、その甲斐あって見事、夜の部の主役、リゴレット役に選ばれた。今回がミラノで初舞台になるということは、今回の演奏が成功するか失敗するかが、今後のミラノでの活動の大きな鍵を握っているわけで、何が何でも成功させないといけないという、大変大きなプレッシャーを背負って臨んだ本番だった。さすがの究極のポジティヴ・シンキングの夫も、本番前のナーバスさは相当なもので、珍しく私も、腫れ物に触るように接したりした。そんな中で迎えた昨日の本番、朝から「調子が悪い」と気弱な電話を何度かもらって、私も生きた心地のしなかった一日だったけど、夜中の一時に「大成功だった!」という嬉しいメールが届き、私は明け方の4時にそれに気づき、思わず興奮して一時間ほど寝つけなかったりした。おかげで早速、新しい仕事の契約も取れそうだとの知らせもあり、今日からは早速、次のオペラに向けて、練習が始まるのだそうだ。ということは、本当なら今日、ナポリに戻ってくる予定だったのに、これでまた、数日は帰って来れなくなるわけなので、嬉しい悲鳴ではあるけれど、私は本当に悲鳴を上げたい気分である。しかし偶然なのか何なのか、昨晩寝る前にはまた、例の腹痛に悩まされていた娘。今朝起きて、私がホッとしている様子を見てか、はたまた夫からの以心伝心か、それとも単なる偶然なのか、朝起きてからは、何も言わずに元気に学校へ行きました。そして唯一、何事にも動じて無さそうな息子。パパが不在の間には、一日に何度も、「パパはいつ帰って来るの?」と聞いてくるお姉ちゃんとは反対に、パパの「パ」の字も出さない息子。なのに今日の夕方、突然、「パパは一人でキャンプに行っちゃったー!」と泣きました。な、な、な、なんで????