ジャズ・ダンス・ナウ ’05 A:I(ア・イ)
廃業が噂される北海道厚生年金会館でジャズ・ダンス・ナウを見てきた。毎年チケットがソールドアウトになるほど人気で、客席数2300を誇る大ホールなのに、私は実際入れなかったこともある。今回は事前にチケットを買って見に行った。 チケット販売は今回は低調と聞いていたが、私の見ている4階席の自由席のみならず、下の指定席も結構空席が目立つ。北海道は舞台文化が定着していないので、余計こういう老朽化している施設は運営の危機にある。JR札幌駅前の再開発の際に道立劇場の構想も平行してあったのだが、崩壊寸前の北海道財政故に箱物は全て中止となった経緯もある。だが、何とかこういう大舞台は次世代のためにも改築するなり新築してでも残して欲しい。 さて、第1部「LOVE・INFINITY」、第2部「愛のセレナーデ」、第3部「POWER OF LOVE」の3部構成で演じられたこの舞台。道内のダンススタジオの生徒や講師が出演して踊っているのであるが、彼らにとって見れば年に一度か二度の大舞台。中には素晴らしい演舞を見られることもある。 しかし、今回は全体に低調だった。凄いと思える演目は私の中では皆無。比較的大きな拍手を受けていたのは「ダンススタジオDET」「R・WAVE・CREW」くらいか。この二つも全体としてのダンスと言うより、個人技で魅了したと言っていい。どちらも少人数だった。 私がミュージカルで教えていただいている先生達が出演している「スタジオ・セイビ」も今回は今ひとつ。衣装替えが多いため、わずか数分の舞台だが舞台の暗転が多用され、曲もたびたび全く変わった曲調になるため、全体としての繋がりがよくない。加えて冒頭はウェディングドレス、また「A:I・愛・傘」とテーマであったため、途中から傘を多用したことにより、どうしても動きが制限されてしまう。でも工藤先生の踊りは顔もわからないほど遠くから見ているのにやはり飛び抜けて凄かった。今回はセンターではなく目立たないポジションなのだが、一人だけ動きが違いすぎる。 毎年見ていて思うのだが、ソロで踊るからにはそれなりの覚悟を持って出てきて欲しいと思う。アマチュアのステージとはいえ、私の見ていたA席でも2,000円、下のSS席なら4,500円も取っているのだ。いくら観客の大半はスタジオ関係者とダンサーの家族友人とはいえ、これだけのお金を取って見せるからには、特にソロはダンサーとしてプロの自覚を持って欲しい。 どこのスタジオとは言わないが、衣装も別で、ソロまたは2~3人の絡みで踊る人たちがいるが、たぶんそのスタジオのインストラクターなのであろうが、もうとっくにダンサーとしてのピークは終わっており、スピードはおろか表現力のオーラも全くないのにスポットライトを浴びて長時間踊るのは観客に対して失礼である。先生、先生と持ち上げられるがあまり、客観的に自分の実力を見つめることができないのであろうか? 教える実力はあっても魅せる実力はもうとっくにないというのに。高齢になって出てくるなとは言わない。だが、ポジションはわきまえて欲しい。正直見苦しいし、ダンサー全体のレベルも頭打ちになる要因になる。教わる者も誤解するのだ。以前ある先生がどこで踊っているのかと私が聞いたときに「一人だけ動きが違うし、真ん中で踊ってるからすぐわかる」と教えてもらって見たことがあるが、正直「本当にこの人のことを言っていたのか?」と唖然としたことがある。“先生”という肩書き故に必要以上に神聖視してしまう部分はやはりある。 正直、途中からは退屈な時間だった。YOSAKOIソーランのほうがよっぽど見応えがある。