カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
秋風の駅や立ち食い鴨南蛮 CMのオファー来老舗の新蕎麦を 望月や蕎麦と肴の箸休め 台本見ながら4人で新蕎麦 七味の蓋差し直し初蕎麦待つ 麦猪口の藍に濃淡水の秋 梁太き山家色濃き走り蕎麦
プレバト俳句。 お題は「お蕎麦屋さん」。 最下位が65点ってことで、 先生の評価はかなり高めでしたが… わたしの評価は全体的に低めですw ◇ ゆうちゃみ。 秋風の駅や 立ち食い鴨南蛮 これが1位。 句材は平凡ですけどね。 俳句の形としては出来ている。 冬の季語「鴨」と重なってますが、 そこは不問にしたようです。 追記: 渡り鳥の季語って難しいのよね。 「鴨」「鴨鍋」が冬の季語。 「引鴨」「残る鴨」が春の季語。 「夏鴨」「鴨の子」が夏の季語。 「初鴨」「鴨渡る」が秋の季語。 去年のNHK俳句では、 「燕」「燕の巣」が春の季語。 「親燕」「燕の子」が夏の季語。 「帰燕」が秋の季語。 …との解説もありました。 https://www.kohaneko.tokyo/2019/10/212.html ◇ フルポン村上。 蕎麦猪口そばちょこの藍に濃淡 水の秋 中七の「濃淡」が説明くさいです。 濃い部分と淡い部分を見たあとに、 はじめて「濃淡」と判断できるのだから、 それは描写というよりも、把握された概念だというべき。 むしろ、 濃い部分と淡い部分を見るときの視線の動きを、 そのまま進行形で描写するならば、 蕎麦猪口の藍濃し淡し 水の秋 のようになると思います。 ◇ 梅沢富美男。 梁はり太き山家やまが 色濃き走り蕎麦 梅沢には珍しい対句です。 しかし、 「山家の梁が太い」だの、 「田舎蕎麦が黒い」だのは、 いたって凡庸な発見というべき。 それでもなお、 あえてその詩情を言いたいのなら、 述語を後ろにもってきて、 山家の梁太し 走り蕎麦黒し と書くのが妥当でしょうね。 …ただ、この蕎麦の色合いは 田舎蕎麦の「黒さ」ともいえるし、 走り蕎麦の「青さ」ともいえるので、 それを考えると「色濃し」と描写するしかないのかな。 ◇ 浅野ゆう子。 CMのオファー来く 老舗の新蕎麦を CМのオファー 新蕎麦かぐわしき(添削後) 前段と後段の取り合わせの是非。 「新・新」の取り合わせなのか。 「新・旧」の対比なのか。 そこがボヤけているので焦点が定まらない。 新しさに別の新しさを取り合わせるなら、 先生の添削のようにすべきだし、 新しさに古さを対比させるなら、 CMのオファー 老舗の秋の蕎麦 のようになるかと思います。 なお、 中八にしてまで「来」を入れる必要はないですね。 ◇ 酒井美紀。 望月や 蕎麦と肴の箸休め 新蕎麦や 出でくる月が箸休め(添削後) 原句の前段と後段は、 主語と述語の関係(=望月が箸休めになる)とも、 目的語と述語の関係(=望月を箸休めにする)とも、 補語と述語の関係(=望月に箸を休める)ともいえますが、 いずれにせよ切れを入れず一句一章にまとめるべき。 わたしなら前段を補語にして、 望月に肴と蕎麦の箸をとめ のようにします。それがいちばん整うと思う。 かりに「肴」を省くなら、 望月の出で蕎麦の箸休めたり のようにも出来ます。 それはそうと、 添削はあえて「月」と季重なりにしたのかしら? ◇ 皆藤愛子。 七味の蓋差し直し初蕎麦待つ 新蕎麦待つ 七味の蓋を差し直し(添削後) 中七の「蓋を差す」ってのは耳慣れない言い方。 本体より蓋のほうが大きいなら、 「蓋を被せる」「蓋を嵌める」「蓋をする」と言うだろうし、 逆だとしても「蓋を閉める/締める」と言うはずです。 初蕎麦を待つ間ま 七味の蓋を締む としてみました。 追記: 考えてみたら七味入れって5種類くらいはあって、大きく「栓」タイプと「蓋」タイプがありますね。問題は、動詞「差す」の是非じゃなくて名詞「蓋」の是非だなと思いました。ネットを見ると、木栓のことを「蓋」と呼ぶ例もなくはないけど、やはり「栓」と呼ぶのが一般的です。 ◇ 清水アナ(Twitter)。 満月や 蕎麦屋が父の秘密基地 下五の「秘密基地」という比喩の是非。 比喩の使用を認めるとしても、 この比喩が適切なのかどうか疑問。 基本的に「秘密基地」は子供の遊び場の比喩でしょ。 大人の隠れ家に用いるべき比喩ではない。 そもそも比喩を使わずとも、 満月や 父は蕎麦屋に引き籠る とかでいいのでは?
◇ キスマイ二階堂。 台本見ながら4人で新蕎麦 台本を見つつ四人で食う新蕎麦(添削後) 台本を置いて四人で食う新蕎麦(添削後) なぜ字足らずの破調?? 8・9の句またがりは諦めたの? 助詞の「で」を排除して、 台本をめくり新蕎麦喰う四人 と定型にすることも出来るし、 かりに8・9の句またがりなら、 台本四冊 新蕎麦四人前 でもいいわけで。 句材は悪くないけど、65点の評価は高すぎ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.10.03 23:20:22
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