カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
席替えは窓側蜜柑お裾分け 弁当の輪ゴムで鉄砲冬の空 顔見せや贔屓出る前幕の内 パプリカを子ども包丁冬の朝 浅漬と三歩先では米硬き 白息や弁当運ぶ吊足場 セット裏鯛焼を選るホシとデカ 放課後のコンビニおでん爪の土
12月7日のプレバト俳句。 お題は「お弁当」。 ◇ こがけん。 白息や 弁当運ぶ吊足場 これまでになく模範的な出来。 文句のつけどころはないですね。 ◇ 村山輝星。 席替えは窓側 蜜柑お裾分け これも文句のつけようがない出来ですが、 …小学生らしさという点で疑義がなくはない。 子供らしからぬところが彼女の売りとはいえ、 13才の子供が、句またがりを用いて、 「蜜柑」や「お裾分け」を漢字で書くかしら? ちなみに、わたしなら書けませんw 字面だけ見ると、 教室での小学生の席替えでなく、 職場でのOLの異動の句かと思ってしまう。 …まあねえ。 小学生でも仲邑菫ちゃんみたいな天才がいるし、 ほんとうに輝星ちゃんが自分で作ったのなら、 凡庸な大人ごときに文句のつけようもないですが。 ◇ 千原ジュニア。 セット裏 鯛焼を選よるホシとデカ 作者は、 「様々な差し入れの中から鯛焼きを選ぶ」 という場面を詠んだらしい。 かたや先生は、 「様々な鯛焼き(カスタードとか餡子とか)からどれかを選ぶ」 と解釈したようです。 辞書的には「選ぶ」も「選る」も同義なのだけど、 「鯛焼きを選ぶ」と書けば前者の意味になって、 「鯛焼きを選る」と書けば後者の意味になる気がする。 これは現代日本語の感覚かもしれませんが。 ◇ 鈴木梨央。 弁当の輪ゴムで鉄砲 冬の空 弁当の輪ゴム鉄砲 冬うらら(添削後) この添削はやや疑問。 たしかに、 助詞の「で」は避けたほうがいいし、 中八もできれば7音に収めるべきだけど、 機械的に「で」を除けばいいってものでもない。 弁当に「輪ゴム」は付いてるけど、 弁当に「輪ゴム鉄砲」は付いてません。 しかし、添削句の「弁当の輪ゴム鉄砲」は、 《弁当に付属の輪ゴム鉄砲》とか、 《弁当を使った輪ゴム鉄砲》のように読める。 以前、梅沢が、 「一段飛ばしで来る」と書くべきところを、 「一段飛ばし来る」と書いてましたが、 助詞を除いて合成語や複合動詞を作れるとしても、 それによって意味が変わってしまう惧れがある。 ※ちなみに梅沢の場合は「一段飛ばしに来」と書くべきでした。 この添削も同様の過ちじゃないかと思います。 ◇ 尾上右近。 顔見せや 贔屓出る前 幕の内 顔見世や 贔屓待つ間の幕の内(添削後) 季語は「顔見世」で冬。 原句は、 (内容的には二句一章だろうけど) 形のうえで三段切れになってます。 なお、下五の「幕ノ内」について、 "幕の内側"という場所の意味になるのでは? と疑ったのですが、 一般的な意味としては、 《幕間》の時間か《幕の内弁当》の略かどちらかなので、 誤読の惧れはなさそうです。 添削句は、言葉遊び的な「ma」の押韻。 ◇ 清水アナ。 放課後のコンビニおでん 爪の土 基本型に則れば、 二句一章を中七で切る場合は、 季語を下五に置くのが常道です。 そうしないと、 取り合わせのバランスが悪い。 前段に対して後段が弱くなるから。 この句の場合は、 下五「爪の土」の印象がわりと強いので、 取り合わせのバランスはさほど悪くないけど、 主役はあくまで季語の「おでん」なので、 無理やり最後に脇役を取って付けた感が否めない。 先生が言うように、 「放課後」を「部活後」に置き換えて、 あえて因果関係をもたせたほうが、 その"取って付けた感"が解消できるのかもしれません。 でも、 句材は面白くてリアリティがありますね。
◇ 住田萌乃。 パプリカを子ども包丁 冬の朝 冬の朝 パプリカを切るおてつだい(添削後) 上五の助詞は「を」でなく「に」にすべきですね。 「パプリカを包丁で」と書くのは、 やや説明的だし、最後の「で」も省略不可です。 「パプリカに包丁を」と書くほうが、 より描写的だし、最後の「を」を省くこともできる。 語順的にいうと、 中七で切って季語を下五に置いた二句一章なので、 清水アナとはちがって、基本型に則っています。 ただ、先生も言ったとおり、 「パプリカ」のあとに「冬の朝」が来ると、 どことなく季重なりっぽい印象を与えるので、 添削の語順にするほうが違和感は少ないのかも。 ◇ 小林星蘭。 浅漬と三歩先では米硬き 浅漬や 弁当の飯ひえびえと(添削後) 浅漬や 冷たきものに飯と妻(添削後) 季語は「浅漬」で晩秋~初冬。 作者の説明によれば、 《妻たる浅漬の三歩先を行く夫たる米が冷えて硬い》 …みたいな擬人化の句。 原句は日本語の体をなしてないので、 とりあえず、 浅漬と三歩先行く硬き米 浅漬の三歩先には硬き米 浅漬の三歩先なる米硬し ぐらいにしないといけませんが、 たとえ日本語らしくしてみても、 浅漬と米の擬人化だとは分からないし、 そもそも何を言わんとしてるかが謎です。 一方、 添削句は季重なりの疑いがあるのだけど、 一般的な「冷や飯」なら季語にはならないと思う。 力づくで作者の意図を推し量り、 冷や飯に浅漬添える夫婦めおと椀 との写生句に改めてみました。 ▽過去の記事はこちら https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.12.11 10:00:24
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