カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
電車降り夜空に息を吐く溽暑 帰省子のデッキに立ったまま眠る 各停の列車冷房逃げていく ラッシュ降り消残る皺や麻スーツ 止まらない揺れる想いと脇汗が メイク落ち極暑の車窓 あんた誰? 飛んできた謎の水滴梅雨であれ 幼子を守る隙間に青田風
7月19日のプレバト俳句。 お題は「夏の満員電車」。 ◇ 清水アナ。 各停の列車 冷房逃げていく 句材として、 > 各駅停車だと冷房が逃げるよねえ。 …と詠むだけなら川柳かな。 俳句の背景ではあっても主題とは言いがたい。 ためしに、 冷房の逃げる各停 坊主の子 としてみました。
◇ 山田邦子。 メイク落ち極暑の車窓 あんた誰? 極暑なる車窓 メイクの落ちし吾われ(添削後) これも原句は川柳ですね。 かたや添削句のほうは、 「極暑なる車窓」って言い方に違和感がある。 暑いのは「車内」であって「車窓」ではない。 さらに、 季語に「暑し」「汗」などを選ぶと、 取り合わせが因果関係になってしまうので、 すこし離す必要がありますよね。 ためしに、 梅雨明の車窓にメイク落ちし吾 としてみました。 ◇ Hey! Say! JUMP薮宏太。 幼子を守る隙間に青田風 子が潰れそう 満員の冷房車(添削後) 作者いわく、 > 幼子のために確保した電車内の僅かなスペースに > 青田風のようなエアコンの冷気が流れ込む …という様子を詠んだらしい。 しかし、字面からは、 電車内の場面とは分からないし、 人の隙間ではなく隙間風のように見える。 季語の「青田風」を比喩に用いたのも失敗。 かたや添削句のほうは、 原句の意図とは異なる改作だし、 やはり取り合わせが因果関係になってます。 作者の意図を17音で表現するのは困難ですが、 ためしに、 隙に立つ子は涼しげな満席車 としてみました。 ◇ 紅しょうが稲田。 止まらない 揺れる想いと脇汗が 脇汗の滂沱 想いは揺れている(添削後) 原句も、添削句も、 字面だけでは電車内とは分からない。 なお、 「冷や汗」は季語じゃないと思うけど、 精神的な緊張から来る「脇汗」も、 夏の季語になりうるのかどうか微妙です。 ためしに、 通学の君と相席 止まぬ汗 としてみました。 ◇ KEIKO 。 飛んできた謎の水滴 梅雨であれ 満員電車 水滴は汗か梅雨か(添削後) これも原句には電車の描写が欠けてる。 しかし、 それ以前の問題として… 梅雨は飛んできたりしないし、 電車のなかでは雨も降りません。 その意味でいえば添削句も意味不明です。 ためしに、 満員の電車に汗の雨と降る としてみました。 ◇ 金子恵美。 ラッシュ降おり消け残る皺や 麻スーツ 麻服にラッシュの皺の残りけり(添削後) 原句は、 「降り消残る」と動詞が続くのが難点かな。 そして、 中七で切れてるけど内容は一句一章です。 これは倒置法とも解釈できますが、 芭蕉の「最上川」と同じように、 明治以前のシステムで詠んだとも解釈できる。 誤読の惧れはないので、 原句のままでもいいとは思うけど、 先生はやはり一句一章に直してますね。 そのほうが形式と内容が一致する。 ◇ 的場浩司。 電車降り夜空に息を吐く溽暑 電車降り夜よるへ溽暑の息を吐く(添削後) 原句も悪くはないけど、 これは添削のほうが一枚上手でした。 ◇ 梅沢富美男。 帰省子のデッキに立ったまま眠る 帰省子か デッキに立ちしまま寝るは(添削後) 先生は、 「見ただけじゃ帰省子とは分からない」 と言って倒置法の疑問形に直しましたが、 …これは原句のままでもよいのでは?? わたしは以前、 二月の焼肉屋 涙の受験生 という清水アナの句に対して、 「見ただけじゃ受験生とは分からない」 と書きましたが、 https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202402120000/ それは制服の若者がいたとしても、 1年生か2年生か3年生かは分からないから。 しかし、 夏休みに満員の下り列車に乗ってるのは、 ほとんどが帰省客なのだから、 そこを疑問形にしたら、かえって不自然です。 ◇ なお、昔から世間では、 盆と正月に帰省する人がほとんどだと思うけど、 なぜか「帰省」は夏の季語で正月の季語ではなく、 他方で「お盆」は秋の季語になっている。 つまり、 俳句の世界で「帰省」は盆でも正月でもないってこと。 その理由は謎ですが、 もしや「バカンス」の訳語のつもりだったのでは?? …などと考えてしまいます。 ▽過去の記事はこちら https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.10.18 01:20:13
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