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まいかのあーだこーだ

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2024.08.19
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山積みのプリント救いのかき氷 餅飯殿にも賑はひ戻りかき氷 まどろみの友は臨月夏氷 炎ゆる雲ボール回した帰り道 口元や甘いドラキュラかき氷 高原の氷菓エスプーマの瑞煙 秋淋し宇治金時のほろ苦く 駄菓子屋は今日までだってかき氷
8月15日のプレバト俳句。
地震の影響で一週ズレましたが、
お題は「かき氷」です。




玉井詩織。
山積みのプリント 救いのかき氷
山積みのプリント置いてかき氷
(添削後)
山積みのプリント終えてかき氷(添削後)

原句は中八の句またがり。
「救いの」が描写ではなく説明なので、
これは添削のほうが妥当です。



辰巳琢郎。
餅飯殿もちいどのにも賑はひ戻りかき氷
餅飯殿に戻る賑はひ かき氷
(添削後)

奈良の「餅飯殿」なる地名は初耳でした。
まるで平安時代の御馳走邸みたいな名前ですが、
もちめしでん…じゃないんですね(笑)。

原句は7・7・5の字余り。

助詞の「も」で言外のことまで説明するのは、
やはり描写の範囲を超えてるので、
これも添削のほうが妥当です。



野村麻純。
まどろみの友は臨月 夏氷


これも描写的に書くならば、
臨月の友のまどろみ 夏氷

となるわけですが、

原句は、
友をいたわる作者の心のセリフと読めるので、
これはこれでありかなと思います。


ちなみに、
作者は短大で俳句や短歌を学んだとのこと。
それで大河の「さわさん」役に起用されたのかしら?
さわさんのモデルは、
行きめぐり逢ふを松浦の鏡には誰をかけつつ祈るとか知る

と詠んだ筑紫の君ですよね。




Aぇ! 佐野晶哉。
炎ゆる雲 ボール回した帰り道
夕焼ゆやけ雲 ボール回した帰り道
(添削後)
夕焼や ボール回した帰り道
(添削後)

37点の才能ナシ。
夕焼雲の意味で「炎ゆる雲」と書いたのは、
まあ無理もないかなあと思うけど、

それより不可解なのは、
野球のボールと台所のボールを掛けたって話。

帰り道のキャッチボールと、
帰宅後に回し食いしたかき氷とを掛けて、
「ボール回した帰り道」と書いたらしい。
しかし、読み手にはまったく伝わらない。

なんか上達を見込むのが難しそうな才能ナシです。

かき氷をボールで食べる場面に絞るなら、
削氷けずりひをボウルに盛って友と食う

野球の要素を取り入れるなら、
友と分ける野球のあとのかき氷

って感じでしょうか。



ずん飯尾。
口元や 甘いドラキュラ かき氷
口元は甘いドラキュラ かき氷
(添削後)

原句は三段切れです。
「甘いドラキュラ」も意味不明。
ギリ凡の45点だけど、これも才能ナシでしょ!

作者の話によれば、
口の周りが苺シロップだらけの子供を詠んだらしい。
しかし、字面だけでは隠喩かどうかも分からない。

添削句は「口元は甘いドラキュラ」と書いてますが、
それでも意味が明確になったとは言えない。

苺シロップの味の話ではなく、
甘い顔だちのドラキュラとも読めるし、
甘い性格のドラキュラとも読めるからです。

直喩で書けば、
ドラキュラのごと口赤し かき氷
削氷や ドラキュラのごと口赤く

のようになりますが、

隠喩で書くならば、
口染めた氷いちごの吸血鬼

みたいな書き方もあるかな。



こがけん。
高原の氷菓 エスプーマの瑞煙ずいえん
エスプーマの瑞煙 高原の氷菓
(添削後)

1ランク昇格でしたが、
梅沢の意見と同じで、わたしならボツです。

読んだだけでは、
隠喩かどうかも分からないし、
何が何を比喩してるのかも分からない。

「瑞煙」とは雲のことで、
「エスプーマ」とは泡のことですが、
《高原の雲が泡のようだ》と言ってるのか、
《氷菓の泡が雲のようだ》と言ってるのか。
原句でも分からないし、
添削句ではいっそう分からない。



なお、俳句の世界では、
「氷菓」と「アイスクリーム」を同一視してますが、
一般的には別のものだというべきだし、
まして、かき氷とは別のものだと思います。

ためしに直喩で、
削氷に瑞煙のごとエスプーマ

としてみました。



梅沢富美男。
秋淋し 宇治金時のほろ苦く
秋淋し 宇治金時のほろ甘く
(添削後)

これも微妙。
作者はかき氷のことを詠んだわけですが…

宇治金時というのは、
一義的には小豆のことであって、
かき氷のことではありません。

百歩ゆずって、
「夏の宇治金時」と書けば、
抹茶シロップのかき氷とも解釈できるけれど、
「秋の宇治金時」となると、
さすがに小豆という解釈にしかならないと思う。

そして「小豆が苦い」となれば、
それはもう抹茶の苦さじゃないので、
せいぜい心情的な苦さと解釈するほかない。

添削のほうは、
小豆の句としてなら成立してますが、
小豆は秋の季語なので季重なりかもしれません。

たとえば夏の句として、
日暮れれば氷金時ほろ苦し

のように詠む方法もある。
それなら「抹茶の苦さ」という解釈も可能です。



清水アナ。
駄菓子屋は今日までだって かき氷


かき氷を出す駄菓子屋があるんですねえ。

わたしの近所にそんな店はなかったな。
地域にもよるんでしょうか?
先生は「駄菓子屋」と「かき氷」が近いというけど、
わたしはそんな風にも感じなかった。

全体が伝聞のセリフ形式で書かれてるので、
季語の映像がやや弱いかもしれません。

たとえば倒置法の句またがりで、
食べ納めたり 駄菓子屋のかき氷

のようにも書けます。



▽過去の記事はこちら
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12




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最終更新日  2024.08.22 08:58:31
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