カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
山積みのプリント救いのかき氷 餅飯殿にも賑はひ戻りかき氷 まどろみの友は臨月夏氷 炎ゆる雲ボール回した帰り道 口元や甘いドラキュラかき氷 高原の氷菓エスプーマの瑞煙 秋淋し宇治金時のほろ苦く 駄菓子屋は今日までだってかき氷
8月15日のプレバト俳句。 地震の影響で一週ズレましたが、 お題は「かき氷」です。 ◇ 玉井詩織。 山積みのプリント 救いのかき氷 山積みのプリント置いてかき氷(添削後) 山積みのプリント終えてかき氷(添削後) 原句は中八の句またがり。 「救いの」が描写ではなく説明なので、 これは添削のほうが妥当です。 ◇ 辰巳琢郎。 餅飯殿もちいどのにも賑はひ戻りかき氷 餅飯殿に戻る賑はひ かき氷(添削後) 奈良の「餅飯殿」なる地名は初耳でした。 まるで平安時代の御馳走邸みたいな名前ですが、 もちめしでん…じゃないんですね(笑)。 原句は7・7・5の字余り。 助詞の「も」で言外のことまで説明するのは、 やはり描写の範囲を超えてるので、 これも添削のほうが妥当です。 ◇ 野村麻純。 まどろみの友は臨月 夏氷 これも描写的に書くならば、 臨月の友のまどろみ 夏氷 となるわけですが、 原句は、 友をいたわる作者の心のセリフと読めるので、 これはこれでありかなと思います。 ちなみに、 作者は短大で俳句や短歌を学んだとのこと。 それで大河の「さわさん」役に起用されたのかしら? さわさんのモデルは、 行きめぐり逢ふを松浦の鏡には誰をかけつつ祈るとか知る と詠んだ筑紫の君ですよね。 ◇ Aぇ! 佐野晶哉。 炎ゆる雲 ボール回した帰り道 夕焼ゆやけ雲 ボール回した帰り道(添削後) 夕焼や ボール回した帰り道(添削後) 37点の才能ナシ。 夕焼雲の意味で「炎ゆる雲」と書いたのは、 まあ無理もないかなあと思うけど、 それより不可解なのは、 野球のボールと台所のボールを掛けたって話。 帰り道のキャッチボールと、 帰宅後に回し食いしたかき氷とを掛けて、 「ボール回した帰り道」と書いたらしい。 しかし、読み手にはまったく伝わらない。 なんか上達を見込むのが難しそうな才能ナシです。 かき氷をボールで食べる場面に絞るなら、 削氷けずりひをボウルに盛って友と食う 野球の要素を取り入れるなら、 友と分ける野球のあとのかき氷 って感じでしょうか。 ◇ ずん飯尾。 口元や 甘いドラキュラ かき氷 口元は甘いドラキュラ かき氷(添削後) 原句は三段切れです。 「甘いドラキュラ」も意味不明。 ギリ凡の45点だけど、これも才能ナシでしょ! 作者の話によれば、 口の周りが苺シロップだらけの子供を詠んだらしい。 しかし、字面だけでは隠喩かどうかも分からない。 添削句は「口元は甘いドラキュラ」と書いてますが、 それでも意味が明確になったとは言えない。 苺シロップの味の話ではなく、 甘い顔だちのドラキュラとも読めるし、 甘い性格のドラキュラとも読めるからです。 直喩で書けば、 ドラキュラのごと口赤し かき氷 削氷や ドラキュラのごと口赤く のようになりますが、 隠喩で書くならば、 口染めた氷いちごの吸血鬼 みたいな書き方もあるかな。 ◇ こがけん。 高原の氷菓 エスプーマの瑞煙ずいえん エスプーマの瑞煙 高原の氷菓(添削後) 1ランク昇格でしたが、 梅沢の意見と同じで、わたしならボツです。 読んだだけでは、 隠喩かどうかも分からないし、 何が何を比喩してるのかも分からない。 「瑞煙」とは雲のことで、 「エスプーマ」とは泡のことですが、 《高原の雲が泡のようだ》と言ってるのか、 《氷菓の泡が雲のようだ》と言ってるのか。 原句でも分からないし、 添削句ではいっそう分からない。 … なお、俳句の世界では、 「氷菓」と「アイスクリーム」を同一視してますが、 一般的には別のものだというべきだし、 まして、かき氷とは別のものだと思います。 ためしに直喩で、 削氷に瑞煙のごとエスプーマ としてみました。 ◇ 梅沢富美男。 秋淋し 宇治金時のほろ苦く 秋淋し 宇治金時のほろ甘く(添削後) これも微妙。 作者はかき氷のことを詠んだわけですが… 宇治金時というのは、 一義的には小豆のことであって、 かき氷のことではありません。 百歩ゆずって、 「夏の宇治金時」と書けば、 抹茶シロップのかき氷とも解釈できるけれど、 「秋の宇治金時」となると、 さすがに小豆という解釈にしかならないと思う。 そして「小豆が苦い」となれば、 それはもう抹茶の苦さじゃないので、 せいぜい心情的な苦さと解釈するほかない。 添削のほうは、 小豆の句としてなら成立してますが、 小豆は秋の季語なので季重なりかもしれません。 たとえば夏の句として、 日暮れれば氷金時ほろ苦し のように詠む方法もある。 それなら「抹茶の苦さ」という解釈も可能です。 ◇ 清水アナ。 駄菓子屋は今日までだって かき氷 かき氷を出す駄菓子屋があるんですねえ。 わたしの近所にそんな店はなかったな。 地域にもよるんでしょうか? 先生は「駄菓子屋」と「かき氷」が近いというけど、 わたしはそんな風にも感じなかった。 全体が伝聞のセリフ形式で書かれてるので、 季語の映像がやや弱いかもしれません。 たとえば倒置法の句またがりで、 食べ納めたり 駄菓子屋のかき氷 のようにも書けます。
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最終更新日
2024.08.22 08:58:31
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